アフリカでのビジネス事例オレンジの世界市場でシェア拡大を目指す(ガーナ)

2025年1月17日

米国の調査会社コグニティブマーケットリサーチ社によると、世界のオレンジ市場は2024年に39億ドル規模と予測されており、2024年から2031年にかけては、年平均4.8%の成長が見込まれている。主な要因は、オレンジの健康効果に対する消費者の意識の高まりにある。オレンジの栽培、加工、輸出を含むガーナのオレンジ産業の発展に取り組むオレンジ生産者協会(ORANGE GROWERS ASSOCIATION、以下、OGA)のナナ・ヤウ・バフォー・フリンポン会長に、ガーナのオレンジ業界の現状とビジネスの可能性について、話を聞いた(インタビュー日:2024年10月16日)。フリンポン会長は、ガーナは現在、アフリカでは南アフリカ共和国とエジプトに次ぐ第3位のオレンジ生産国だが、地理的条件などを勘案すると、生産量は拡大可能で、大きなポテンシャルがあると語った。


OGA会長のナナ・ヤウ・バフォー・フリンポン氏
(本人提供)

OGAのオフィス(ジェトロ撮影)
質問:
組織の概要は。
答え:
OGAは2020年に設立され、ガーナでオレンジ栽培とバリューチェーン発展に取り組んでいる。主な活動は、オレンジ栽培農家を増やすことや、技術支援の提供、持続可能な農業慣行の推進、国際市場アクセスの促進、標準化と公正な価格設定の推進などがある。これらの取り組みを通して、OGAはオレンジ農家の生活を向上させ、国内や国際市場向けの高品質、かつ安定したオレンジの供給を確保している。ガーナのオレンジ産業には、害虫や病気、収穫後の管理、市場価格の不安定など、数多くの課題があり、10年以上にわたって放置されていたが、2020年にオレンジ産業振興のために、OGAが設立された。OGAは現在、国内で約5,000エーカー(約20.2平方キロ)の農園を再建し、1,115の農家が同協会に所属している。ガーナには2万エーカーのオレンジ農場があると推定しており、残り1万5,000エーカーの再建が進むにつれて、農家の数と収穫量は増加する見通しだ。

OGAが管理するオレンジ農場
(ジェトロ撮影)

収穫後の管理がされていないオレンジ
(ジェトロ撮影)
質問:
ガーナでのオレンジ栽培、輸出の特長、利点は。
答え:
生産面では、ガーナは熱帯気候で、安定した降雨量と日照量はオレンジ栽培に最適な環境にある。ガーナの豊かで肥沃(ひよく)な土壌は生産性を高め、高い収穫量を支えている。この自然条件の利点により、ガーナでは世界市場の厳しい基準を満たすオレンジの生産が可能だ。また、栽培できるオレンジの品種が多いため、一年中の栽培、収穫が可能で、安定供給が実現できる。
輸出面では、米国やEU、英国向けの輸出で優位性を持っていることだ。関税面では、米国とはアフリカ成長機会法(AGOA)、EU、英国とは経済連携協定(EPA)を有しており、無税か低税率での輸出が可能となる。加えて、ガーナは西アフリカに位置し、米国、EU、英国にも距離が近く、輸送ネットワークも確立されているため、物流でも他の生産国と比べて優位性がある。米国とEUはそれぞれ世界のオレンジ市場の40%と30%を占めているとされ、この関税面での優位性と地理的利点により、世界の主要市場への輸出が可能となっている。
質問:
ガーナ国内の食品加工、オレンジ加工の現状は。
答え:
国内の食品加工やオレンジ加工は発展しているとは言えないが、大きな成長の可能性を秘めている。未整備のインフラ、加工能力の不足、収穫後の管理不足などが課題だ。国内消費と輸出機会の増加により、ジュース、その他の加工品への需要は増している。さらに、オレンジの皮を化粧品に加工することや、オレンジの廃棄物を肥料や動物飼料に利用することは付加価値を高め、廃棄物を減らし、環境の持続性に貢献する。興味深いことに、近隣諸国もガーナからオレンジの廃棄物を購入し、さらに加工しており、この地域の貿易の可能性を感じる。また、OGAは工場インフラなどへの投資を推進する上で重要な役割を果たしている。ガーナ基準局や食品医薬品局などの政府機関と協力し、標準化と品質管理への協議を続けている。これらの取り組みは雇用を創出し、経済成長を促進する。農家と加工業者の生活を向上させる競争力のあるオレンジ加工部門の構築を目指している。
質問:
ガーナのオレンジとOGAの現在の課題と事業展開の方向性は。
答え:
農家は近代的な農法を行っているとは言えず、それが収穫量の低下や品質の低下、栽培環境の悪化につながっている。また、オレンジのジュース、濃縮物などへの加工がほとんど行われていないため、付加価値を生めていない状況だ。害虫や病気、特に黒点病も生産を阻害している。業界基準、価格設定、市場へのアクセスを規制する包括的な政策と規制の枠組みが欠如していること、また、農家の資金が限られていることが規模拡大と生産性向上を阻害している。OGAはこれらの課題に対処するため、輸出準備の整った企業との提携や、新しい国外市場を模索する取り組みを通じて、国内市場と国際市場の両方へのアクセスを拡大するなどの支援策を導入している。銀行や政府機関、開発組織と緊密に連携し、事業、インフラ、能力開発活動のための資金を確保することで、農家に資金援助をしたり、ビジネススキル開発プログラムを提供したりしている。今後、OGAは付加価値と加工、標準化と規制、持続可能性、政府機関や民間組織、国際機関とのパートナーシップの強化を通じて機会を拡大し、業界の課題に対処して、技術サポート、最新の設備、国際市場にアクセスできるようにすることを目指している。
質問:
OGAから日本企業への要望は。
答え:
ジュース、濃縮果汁、肥料や化粧品など、付加価値のある製品を生産できる加工施設や設備への投資を歓迎する。これによって廃棄物が削減され、農家に新たな経済的機会が生まれ、業界全体の成長につながる。OGAはまた、サプライチェーンの強化、より公正な価格設定、国際市場へのアクセスの促進を目的とした日本企業とのパートナーシップが農業活動の商業化を促進してくれることを期待する。技術指導についても、日本企業に期待している。収穫量の増加、収穫後の損失の削減、ガーナにおけるオレンジ農業の長期的な持続可能性の確保を目指したい。
質問:
日本企業がガーナでビジネスを行う際に考慮すべきことは。
答え:
信頼できる現地の企業、組織とのパートナーシップ協力が大切だ。なぜなら、現地での幅広い知識や強力なネットワークを有しており、ニーズを把握しているからだ。また、ガーナ現地の状況や規制を理解することも重要で、その観点でも現地の政策や貿易規制、税制を認識している現地の企業、組織との協力が大切となる。協力関係があってこそ、固有の課題や機会にうまく適応することができる。最後に、長期的で相互に利益のあるパートナーシップを築くことも重要だ。
執筆者紹介
ジェトロ・アクラ事務所長
中川 翼(なかがわ つばさ)
2016年、ジェトロ入構。農林水産・食品部、ジェトロ青森、ジェトロ・ナイロビ事務所を経て2024年9月から現職。
執筆者紹介
ジェトロ・アクラ事務所 事業・調査マネージャー
アチェンポン・フランク
ガーナ大学卒業、関西学院大学MBA、商社、金融機関の勤務を経て、2022年4月から現職。

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今後記事を追加していきます。

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