特集:米国関税措置への対応

米国の第2次トランプ政権が発表した関税措置により、賦課対象となった地域に展開する日本企業の事業運営にも影響が予想されます。
かかる状況を踏まえ、ジェトロは米国関税措置等に関する相談対応や様々な情報発信を行い、中小企業等の日本企業の皆様の活動を支援します。

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統合通関管理・処理システム(CAPE)」解説動画

IEEPA関税還付プロセスの解説PDFファイル(1.8MB) CBPへのQRコードは4/20時点でメンテナンス中

テキスト解説:視覚障害のある方のための文字おこしテキストです。

皆様、こんにちは。米国のIEEPA関税還付プロセスに関する解説動画をご覧いただき、ありがとうございます。

本解説動画では、米国時間2026年4月20日に運用が開始される関税還付システムについて、その還付の対象となる関税の種類や還付手続きの対象者のほか、還付手続きの方法やタイムラインについて、解説いたします。

なお、本解説動画は日本時間2026年4月17日時点で米国政府から発表されている情報を基に作成しています。最新の情報は、本解説動画の資料にリンクを記載している米国税関(CBP)のウェブサイトや資料、米国政府の最新の発表を随時ご確認いただけましたら幸いです。

解説動画の資料は、本ウェブページからダウンロードいただけます。

まず、今回の関税還付の対象になる関税の種類について確認していきます。

第2次トランプ政権は複数の根拠法に基づいて、さまざまな関税措置を導入してきました。こちらのスライドでは、その関税措置の全体像を示しており、このうち、今回の関税還付の対象となるのは、赤枠で囲った国際緊急経済権限法(IEEPA)を根拠法として発動された関税となります。具体的には、相互関税のほか、中国やカナダ、メキシコなどに対して国・地域別に課されていたいわゆる「フェンタニル関税」に基づいて徴収された関税が含まれます。

また、このIEEPA関税の中でも、関税清算の状況などによって、関税還付システムの第1段階で還付申請できるか否かが細かく決まっているため、注意が必要です。この点については、おって詳しくご説明します。

反対に、青枠で囲った1962年通商拡大法232条に基づいて自動車や鉄鋼・アルミ製品などに課されている関税や、1974年通商法122条に基づいて課されている関税は、還付の対象にはなりません。

関税還付の対象となるIEEPA関税は、それぞれスライドの上の表の通りの期間で発動されていましたが、2月20日に米国の連邦最高裁判所がIEEPAに基づいて大統領が関税を課すことはできないと判決を下したため、発動中のすべてのIEEPA関税は2月24日に適用停止となりました。

最も発動が早かったものですと、中国に対するフェンタニル関税は第2次トランプ政権発足直後の2025年2月4日に発動されたため、約1年近く関税が適用されていたことになります。

一方で、トランプ政権は還付手続きの複雑さなどを理由に、最高裁が判決を連邦巡回区控訴裁判所へ送付してから90日間、判決の執行命令を出さないよう控訴裁へ要請していましたが、訴裁判は3月2日にそれを却下し、判決の執行を再開するよう指示しました。

これを受け、3月4日に、国際貿易裁判所(CIT)はCBPに対して、IEEPA関税の還付を命じ、CBPはそれ以降、CITに対しIEEPA関税還付に向けたシステムの開発状況をこれまで4回にわたって報告しています。

また、CITはのちに、それまで明確な還付を指示していなかった、清算後のIEEPA関税についても還付を命じています。

それではここから、具体的な関税還付の手続きについてご説明します。

こちらのスライドでは、還付申請を行うためのステップの概要を示しています。還付申請は、CBPが運用しているACEと呼ばれる電子通関システム内に構築された専用のシステムである「統合通関管理・処理システム(CAPE)」を通じて行います。そのため、輸入者または通関業者は、還付申請を行うために、このACEポータルアカウントを登録した上で、輸入者としてのサブアカウントを開設していることが前提となります。

また、重要なステップとして、ACEアカウント内で、関税還付を受け取るための米国銀行口座の情報を登録する必要があります。CBPは、銀行口座情報が登録されるまで還付金は支払われないと説明しているため、還付を受けるために必須のステップとなります。

こちらのスライドの右側の表では、各ステップについて詳細な手順を解説したCBPの資料やウェブサイトへのリンクを記載していますので、資料をダウンロードの上、ご確認いただけましたら幸いです。

CBPが現在開発を行っているIEEPA関税の還付を行う「統合通関管理・処理システム」、通称CAPEの概要を示したのが、こちらのスライドになります。

CBPは4月10日と13日に、CAPEについて米国東部時間4月20日午前8時から運用を開始すると発表しました。4月20日の導入開始後、まずはフェーズ1として未清算の輸入申告および清算から80日以内の輸入申告を対象に還付申請を受け付ける予定です。 具体的にCAPEでは、まずIORとよばれる記録輸入者または記録輸入者に代わって輸入概要書を提出した通関業者が、還付の申請を行うことができます。申請は在米の輸入者または通関業者のみが行えるため、在日本企業が還付の申請を行う際には、在米の取引先へ相談する必要があります。

記録輸入者または通関業者は、CAPE上で輸入概要書の番号を記載したCSVファイルを提出することで還付を申請します。提出を完了すると、CAPEでは右に示した4段階のフローで還付までの手続きを行います。

関税の還付先は、記録輸入者または輸入概要書に記載の通知先(notify party)となりますが、先ほどご説明したとおり、関税の還付には還付専用の米国銀行の口座情報をACE内で登録しておく必要があります。

1つの前のスライドにリンクを記載したとおり、銀行口座の登録方法やCAPEでのCSVファイルの提出方法など還付の申請方法についてはCBPが手順書を公開しています。

CAPE申請は複数回に分けて行うことできます。もし申請内容にエラーがあり個別の輸入申告番号に対する申請が却下された場合でも、正しい輸入申告番号を記載して別のCAPE申請として再申請できるようになっています。

CAPEシステムは4月20に運用が開始される予定ですが、すべてのIEEPA関税の還付申請が4月20日から開始されるかと言えば、そうではありません。

ここで、米国の関税の支払いと還付の仕組みについて振り返ります。輸入者は輸入時に推定関税を支払います。通常314日後に、推定関税と確定関税に差額があれば、納付または還付が行われます。これを「清算」と言います。もし、この清算に誤りがあれば、CBPは90日以内に自主的に「再清算」できます。

CBPの発表によれば、IEEPA関税が支払われたすべての輸入申告のうち、だいたい4割が314日未満の「未清算」状態、3割が清算後90日以内の「CBPによる自主的な再清算可能な状態」、そして残りの3割が清算後90日経過、となっています。

4月20日開始の「フェーズ1」の段階では、スライド内で赤枠で囲った部分の清算後80日以内の輸入申告までが還付申請の対象となります。CBPが自主的に再清算が可能な90日間の期限が迫る輸入申告や、それ以上の日数が経過した輸入申告、さらに、スライド内の下部の破線で囲った部分に列挙される輸入申告(例えば、アンチダンピング関税や補助金相殺関税も同時に適用されているなど、複雑な輸入申告)は、今後、CBPがCAPEの機能を拡張した後に、還付申請できるようになる見込みです。ただし、具体的な次の段階の拡張スケジュールは現時点で未定です。

関税の還付は小切手などではなく、電子送金されますので、記録輸入者または通知先(Notify Party)は事前に電子還付プログラム(ACH)への米国銀行の口座情報の登録が必須となります。それから、還付請求する輸入実績の一覧を記載したCSVファイルをCAPEシステムにアップロードする必要があるため、〇月○日のこの件と、○月○日のこの件、というように輸入申告に関する情報をすべて揃えておくことが重要になります。こちらのスライド下部で紹介しているように、米国ワシントンの通商弁護士やシンクタンクの通商専門家も、この電子還付プログラムへの登録と、輸入実績の情報整理が重要だと指摘しています。

また、記録輸入者に関税が還付されても、そのサプライヤーや消費者に還元されるかどうかはわからない、という問題も指摘されており、輸出者側の日本企業と在米の記録輸入者の間で、別途の折衝が必要になる可能性があります。

次に米国の関税措置を巡る今後の見通しについてみていきます。

まず、IEEPA関税還付に関しては、CAPEのフェーズ1の運用は4月20日に開始されますが、フェーズ1で還付対象とされていない輸入申告について、いつ、どのような方法で還付手続きが実装されるのかは、まだ明らかにされていません。フェーズ2以降の運用について、CBPは「新たな機能が開発され次第、あらためて通知」と説明しており、今後の発表を注視する必要があります。

また、相互関税は2025年4月5日に発動されたため、発動直後に支払った相互関税のフェーズ1における還付申請の期限は2026年5月上旬にも到来する見込みです。もちろん、フェーズ1で申請できなくても、フェーズ2以降で申請できるようになる見込みですが、タイムリーに還付申請を行うためには、自社が支払った関税の清算状況をしっかりと把握しておくことが重要となります。

関税還付の対象ではありませんが、IEEPA関税の代替措置として導入された関税措置の動向にも引き続き留意が必要です。IEEPA関税の失効と同時に全世界を対象に導入された1974年通商法122条に基づく関税は、2026年7月24日に期限を迎える予定です。しかし、トランプ政権は別途、通商法301条に基づく調査を行っており、122条が失効した後に遅滞なく301条に基づく関税を導入する可能性があります。

こちらのスライドでは、現在、日本から米国への輸出に課されている関税を整理しています。

1つ前のスライドでも触れたとおり、連邦最高裁によるIEEPA関税の無効判決を受けて、トランプ政権は通商法122条に基づく関税を課す大統領布告を発表し、2026年2月24日から適用が開始されています。IEEPAに基づく相互関税では、日本産品に対して、一般関税率が15%未満の場合には一般関税率と相互関税の合計が15%、一般関税率が15%以上の場合には一般関税率のみが課され相互関税は課されないという、いわゆる「ノー・スタッキング」のルールが設けられていました。しかし、122条関税では、単純に一般関税率に122条関税が上乗せされます。2024年の米国の単純平均譲許税率は3.3%であることから、品目によって差はありますが、一般関税率と122条関税の合計でおおむね13%程度の関税率が課されていると考えられます。 なお、122条関税は、重要鉱物、エネルギー製品、農産品、医薬品、特定の電子機器などが適用対象外であるほか、通商拡大法232条に基づく追加関税の対象品目も適用対象外とされています。

最後に米国の関税措置に関する情報収集をする際に参考となるウェブサイトなどをご紹介します。

まず、CBPはIEEPA関税還付に関する全ての情報を特設ウェブサイトに集約しています。同じページでよくある質問も併せて公開しているため、還付申請について不明な点がある場合には、まずこちらのページにアクセスすることで基礎的な情報を入手できると思われます。

また、関税還付に関する個別の質問はCBPの問い合わせ窓口にメールで直接問い合わせることも可能です。技術的な質問と一般的な質問で窓口が分かれていますので、本スライドに記載のメールアドレスをご参照ください。

ジェトロでも米国の関税措置に関する特集サイトを立ち上げ、ビジネス短信などを通じて随時最新の情報を発信しています。関税政策の要旨をまとめた資料も公開していますので、ぜひ日々の情報収集にお役立ていただけましたら幸いです。

IEEPA関税の還付プロセスに関する解説動画の内容は以上となります。ご覧いただき、ありがとうございました。

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