ドイツの対外貿易、輸入増で黒字縮小、米国向け輸出減傾向は継続
(ドイツ、米国、中国)
ベルリン発
2025年12月18日
ドイツ連邦統計局が11月19日に発表したプレスリリース
によると、2025年1~9月までの輸出と輸入を合計した対外貿易総額は、中国が1,859億ユーロとなり、再び米国を抜いてドイツの最大の貿易相手国になった。同期間の米国との貿易総額は1,847億ユーロだった。前年同期比で、中国との貿易総額は0.6%増加した一方、米国との貿易総額は3.9%減少した。中国は2016年から2023年までドイツの最大の貿易相手国だったが、2024年に米国が首位となっていた。
同期間のドイツから中国に向けた輸出は前年同期比12.3%減、輸出額は614億ユーロだった。米国向けの輸出額は1,127億ユーロで7.8%減。米国は2015年からドイツ製品の最大の輸出先だ。米国向け輸出は1~9月累計で減少傾向にあるものの、9月単月では前月比で35.5%増となった。ただし、前年同月比では10.2%減となっている。両国に対する輸出が減少する一方で、輸入は増加傾向にある。中国からの輸入は前年同期比8.5%増の1,245億ユーロで、ドイツにとって最大の輸入元国となった。米国からの輸入は719億ユーロで2.8%増、オランダに続く3位につけている。
中国からドイツへの輸出増の傾向は顕著で、ケルン経済研究所(IW)は、中国の米国向け輸出製品がドイツにシフトしている可能性があることを指摘。また、特定の製品を欧州市場により深く浸透させようとしている中国側の意図に言及している(2025年11月25日記事参照)。
また同統計局のデータによると、2025年1~9月の輸入総額は1兆227億ユーロとなり、前年同期比4.4%の増加を示した。輸出総額は1兆1,741億ユーロで、0.25%の微増だった。貿易収支は1,514億ユーロの黒字だが、これは前年同期比21.0%減で2025年1~5月の統計に続いて縮小傾向が見られる(2025年7月24日記事参照)。
ドイツ貿易・投資振興機関(GTAI)は12月2日に発表した報告書
において、米国の追加関税による2025年の輸出減少率は8~9%と見込んでいるが、2026年は減少幅が縮小する可能性を指摘している。
(打越花子)
(ドイツ、米国、中国)
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