在中米国企業、過半数が投資拡大の意向も、中国経済の減速や米中関係を懸念
(中国、米国)
北京発
2026年01月22日
在中国米国企業などで構成する中国米国商会は1月16日、「中国ビジネス環境調査レポート2026年版
」を発表した。同レポートは2025年10~11月に実施した同商会の会員企業向けアンケートの結果を取りまとめたもの(注1)。
レポートによると、2025年の売上高が前年比で増加すると回答した企業は36%(前年比2ポイント上昇)だった。2025年の業績について、黒字との回答は前年より6ポイント上昇して52%になった。また、税引き前・利払い前利益(EBIT)が前年比で増加したとの回答は31%、横ばいとの回答は47%となった。
今後の事業展開について、2026年に中国における「投資を拡大する」と回答した企業は57%となり、前年比4ポイント上昇した。業種別では、技術・研究開発業(59%)や消費者向け産業(59%)で「投資を拡大する」との回答が全体平均を上回った(注2)。
生産・調達の中国からの移転を開始している企業は18%(前年は17%)で、生産・調達の中国からの移転を検討しているが、まだ具体的な行動は取っていない企業は8%(前年より5ポイント縮小)だった。このほか、今後2年間の中国市場の成長見通しについて楽観視しているとの回答(「楽観」と「比較的楽観」を合わせた回答)は48%となり、前年比では11ポイント上昇した。
2026年の中国事業における課題については、今回調査から新規に追加された「中国経済の減速」が64%で1位となったほか、2021年以降5年連続で最大の課題として挙げられていた「米中関係の緊張の高まり」が58%で2位になった。また、「業界における生産過剰」(30%)が4位となり、初めて課題の上位5位以内に入った。業種別にみると、「業界における生産過剰」が資源・工業(54%)、消費者向け産業(32%)、サービス業(30%)でそれぞれ3位となった。このほか、2026年の米中関係に関して、「改善」もしくは「現状維持」と回答した企業は約8割で、前年より30ポイントと大幅に上昇した(注3)。
米中双方の関税措置については、中国側の対米追加関税措置(5割弱)、米国側の対中追加関税措置(4割弱)のいずれも影響があるとの回答だったが、現行の関税率が今後半年から1年程度の期間維持された場合にも、約6割の企業は中国事業を調整しないと回答した。一方、輸出管理措置の影響として、コンプライアンス対応や事業運営コストの上昇(65%)、サプライチェーン調整の実施・検討(38%)、中国市場での現地化強化の検討(15%)などが挙げられた。
また、同レポートでは、在中国外資系企業を支援するために中国政府が今後2~3年のスパンで取り得る措置として、在中国米国企業にとって公平な競争環境の確保、米国商品に対する輸入関税の引き下げ・適用除外の範囲の拡大、外国ビジネス界との積極的な対話などが挙げられている。
(注1)回答数は368となっている。なお、前年の調査結果は2025年3月19日付地域・分析レポート参照。
(注2)レポートにおいて、回答企業は次の4種に分類されている。これ以外にNPOや業界団体などが25ある。
- 技術・研究開発業(86社):航空宇宙、医療製品(製薬、医療機器など)、テクノロジー・電気通信(ハードウエア、サービス)。
- 工業・資源産業(71社):農業、自動車・車両、機械、設備、システム・コントロール、石油・天然ガス、エネルギー、その他の工業分野(化学品、鉱業、製紙・包装など)。
- 消費者向け産業(99社):消費財、小売り・流通、医療サービス、教育、メディア・エンターテインメント、ホテル・旅行・娯楽。
- サービス業(87社):金融サービス(銀行、保険など)、不動産・開発、運輸・物流、投資(プライベートエクイティ、ベンチャーキャピタルなど)、その他サービス(法律、人的資源、会計、マーケティング、広告・PR、調査、コンサルティングなど)。
(注3)中国米国商会は、同アンケートの実施期間中に行われた韓国での米中首脳会談(米国側の発表は2025年10月31日記事、中国側の発表は2025年10月31日記事参照)など、ハイレベル対話の活発化が企業の米中関係への期待を改善させたことがこの回答結果につながったと分析している。
(張敏)
(中国、米国)
ビジネス短信 ec2a1fc3c16b52a8




閉じる
