メキシコ経済省、USMCAの見直しに向け30セクター・32州との会合を実施
(メキシコ、米国)
メキシコ発
2025年11月19日
メキシコ経済省は11月6日のプレスリリース
で、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の見直しをメキシコ経済の競争力強化につなげるために、30のセクター(注)および32州と会合を実施したことを報告した。会合での意見交換に加え、政府は民間企業・団体向けにUSMCAの見直しに関するアンケートも実施。11月5日時点で、アンケートの回答が各州政府に対しては2,000件以上、各業界や経済分野の代表者からは500件以上の回答が寄せられているとした。会合とアンケートの双方で収集された情報は全て文書にまとめられ、2026年1月にクラウディア・シェインバウム大統領および上院に提出される予定だ。マルセロ・エブラル経済相は会合やアンケートの目的について、「USMCAの見直しに向けたメキシコの立場を構築する一環」と発言した。
今回の会合に加えて、USMCAの見直しに関するパブリックコメントも実施している(2025年9月18日記事参照)こともプレスリリースで付け加えた。
経済界はトランプ関税維持に対しても懸念を表明
メキシコ政府は、パブリックコメントの内容を公開していないが、USMCAの見直しの内容だけでなく、現在賦課されているトランプ関税についても、業界団体や議会で懸念が表明されている。全国マキラドーラ産業評議会(INDEX)西部支部のギジェルモ・デル・リオ支部長は「1962年通商拡大法232条に基づいて課された関税はまったくの不当だ。業界への影響を理解せずに、特定の製品に関税が課されている。われわれが求めているのは、232条に基づくこれらの関税を全て撤廃することだ」と述べた(「レフォルマ」紙11月10日付)。
また、ワルド・フェルナンデス上院議員(USMCA継続委員会会長)は、USMCA見直しにおけるメキシコの最優先事項は「メキシコが現在賦課されている追加関税の撤廃を要求すること」と主張した。特に鉄鋼・アルミニウム製品に対する50%の追加関税について、「米国の鉄鋼業界でさえ、米国国内で供給の問題に直面している。なぜなら、多くの鉄鋼がメキシコに輸入され、メキシコ国内で加工された後、米国に再輸入されていたが、追加関税によりこのプロセスが滞っている」と指摘した。
さらに、同氏は「来週木曜日に上院でUSMCAの見直しに関する会合が開催される。2日間で16の作業部会が行われ、来週土曜日には仮の結論を出すだろう」と述べ、メキシコ側のUSMCAに関する意向を公表する可能性を示唆した(「レフォルマ」紙11月17日付)。
(注)会合が実施されたセクターは次のとおり。大型車両、物流、牛乳・乳製品・乳加工品、飲料・加工食品、家具・紙製品、鉱業、化学、プラスチック・玩具、IT、専門・ビジネスサービス、アグロインダストリー、乗用車、エネルギー・石油化学、金属製品・金属加工・派生製品、循環型経済、航空宇宙、靴・繊維・衣料、セメント・ガラス・セラミック、電気製品、農業、畜産業、クリエーティブ産業、エレクトロニクス、鉄鋼・アルミニウム、観光、不動産・建設、医薬品・医療機器・化粧品、自動車部品・タイヤ、漁業、社会経済。
(阿部眞弘)
(メキシコ、米国)
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