台湾、米国との関税交渉が税率15%、最恵国待遇税率の累加なしで妥結と発表

(台湾、米国)

調査部中国北アジア課

2026年01月19日

台湾の行政院は1月16日、米国との関税交渉が関税率15%、最恵国待遇(MFN)税率の累加なしで妥結したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。米国商務省も1月15日付でファクトシートを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。台湾に対する米国の相互関税率は、2025年4月に32%と発表された後、7月の大統領令で20%とされていた。これに関し、台湾の頼清徳総統は、20%は暫定税率であり、さらなる引き下げを求めて交渉していくと表明し、米台間の協議が続いていた(2025年8月4日記事参照)。また、7月時点の暫定税率20%には、MFN税率が累加されており(注1)、台湾は日本や韓国、EUと同様に累加されないかたちでのさらなる税率引き下げを目指していた。

行政院によれば、関税率に加え次の点でも合意した。

(1)半導体および関連製品、自動車部品、木材等について1962年通商拡大法232条(以下、232条)に基づく追加関税のMFN税率を獲得。半導体および関連製品企業による対米投資について、一定の配分枠に対する免税措置を獲得し、枠超過分もMFN税率が適用される。MFN税率については米国の発表待ちである。

なお、1月14日に米国は232条の半導体関税を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし(2025年1月15日記事参照)、一部のチップ、サーバー、グラフィックカード、コンピュータ部品の高度なコンピューティングチップに25%の関税を課したが、米国はすでに台湾の半導体および関連製品企業に最恵待遇を与えることを約束しており、これにより台湾の半導体関連企業の米国市場での展開における不確実性が大幅に低減されるだろう。

(2)「台湾モデル」での関連企業の米国サプライチェーンへの参入および産業クラスターの形成。台湾企業の自主的な投資計画に基づき、台湾は2種類の異なる性質の資本コミットメントで米国に投資することに合意した。1つ目は、台湾企業が2,500億ドルを自主的に投資することであり、対象は半導体、AI(人工知能)アプリケーションなどのEMS、エネルギー、その他の産業。2つ目は、台湾当局が信用保証を通じて金融機関に最大2,500億ドルの企業融資枠を提供する支援を行うことであり、投資分野には半導体およびICTサプライチェーンなどが含まれる。

(3)台湾と米国のハイテク分野における相互投資を促進し、台湾と米国のグローバルAIサプライチェーン戦略的パートナーシップを確立する。米国は台湾の奨励の下、台湾の「5大信頼産業」(注2)への投資を拡大し、米国輸出入銀行および米国国際開発金融公社などの米国金融機関も台湾の主要産業での米国民間部門の投資融資を支援する。

交渉妥結を受け、台湾最大の商工団体である中華民国全国工業総会は、相互関税の15%への引き下げを高く評価し、これにより台湾の輸出条件は日本・韓国と同水準となり、米国市場での競争圧力が緩和されるとした。一方、為替やサプライチェーン再編といった課題に引き続き注意が必要だと指摘した(「中央広播電台」1月16日)。

TSMCは1月16日、「台湾と米国が強固な貿易協議を妥結したことを歓迎する」と表明した(「経済日報」1月16日)。また、同社は15日に行った業績説明会で、米国への投資の状況について、アリゾナの第1工場は2024年に量産開始、第2工場は完成済みで設備搬入が済み次第2027年下半期に量産開始予定、第3工場は着工済み、第4工場は許認可申請中だと述べた(「経済日報」1月15日)。

(注1)例えば、従来の関税率が4.7%の工作機械を米国に輸出する場合、関税率は20%+4.7%で24.7%とされた。

(注2)2024年9月に発表された頼清徳総統の新たな経済政策(2024年9月25日記事参照)。半導体、AI、軍事産業、セキュリティー産業、次世代通信の5つを指す。

(江田真由美)

(台湾、米国)

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