EUとインド、FTA交渉で妥結、世界GDP比2割超の自由貿易圏誕生へ
(EU、インド)
ブリュッセル発
2026年02月02日
欧州委員会は1月27日、インドとの自由貿易協定(FTA)の交渉が妥結したと発表した(プレスリリース
)。今回のFTAは、事実上の交渉停止を乗り越え、20年近くにわたる交渉の末の合意であり、双方にとってこれまでに締結した中で最大のFTAとなる。協定が発効すれば、人口と経済規模がともに世界の2割を超える巨大な自由貿易圏が誕生することになる。
欧州委のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は、今回のFTAはEUとインドがウィンウィンとなるパートナーシップであり、協力こそが世界的課題に対する最良の答えだという強いメッセージだと述べた。EU(2026年1月27日記事参照)とインド(2025年8月8日記事参照)はともに、トランプ関税による影響を受けており、ルールに基づく自由貿易体制の優位性をアピールした格好だ。
インド側の発表では、EUはインドに対し輸出額の99.5%(品目ベースで97%)において、EU市場への優遇アクセスを認める。特にインドの輸出額の90.7%(品目ベースで70.4%)については関税を即時に撤廃し、品目ベースで20.3%については発効後3年から5年で撤廃する。
一方でインドはEUに対し輸出額の97.5%(品目ベースで92.1%)において、インド市場への優遇アクセスを認める。このうち品目ベースで49.6%については関税を即座に撤廃し、39.5%については発効後5年から10年で段階的に撤廃する。
EU側の発表によると、インドのEU製自動車に対する関税は、年間25万台の割当枠分に限定されるものの、現行の110%から10%へと段階的に引き下げられるほか、機械類に対する最大44%の関税や化学品に対する最大22%の関税の大部分が撤廃される。また、農産食品についても、現行で150%が課されているEU産ワインへの関税は価格により20~30%に段階的に引き下げられるほか、最大45%が課されているEU産オリーブオイルへの関税は発効後5年で撤廃される。他方、EU域内の農業界からの反発が予想されるインド産の牛肉、鶏肉、砂糖、米などは自由化の対象から除外された。
焦点の1つとなっていた鉄鋼については、現地報道によると、EUは2026年7月以降の措置(2025年10月14日記事参照)における関税割当においてインドはFTA交渉合意国として同国産品を優遇する方針とした。EUの炭素国境調整メカニズム(CBAM)については、適用除外は認めないもののインド企業に排出削減に向け技術的・財政的支援を提供する。
なお、今後の批准手続きは、インド側の手続きのほか、EU側はEU理事会(閣僚理事会)による承認と欧州議会による同意が必要となる。EUの各加盟国による承認は必要ないことから、早期批准が期待される。
(吉沼啓介)
(EU、インド)
ビジネス短信 59cb7999d5b98ae2




閉じる
