スイスに対する米国の追加関税、15%の関税上限を11月14日に遡及適用すると発表
(スイス、リヒテンシュタイン、米国)
ジュネーブ発
2025年12月12日
スイス連邦経済・教育・研究省(EAER)は12月10日、米国がスイスからの輸入品に対して15%の関税上限を11月14日に遡及(そきゅう)して適用することを発表
した。これに対して、スイスは、米国からの特定の魚介類および農産物に対する輸入関税を削減する。今回の関税削減はスイス、リヒテンシュタイン、米国が11月14日に発表した共同声明に基づいている(2025年11月17日記事参照)。
米国はスイスからの輸入品に対して、従来の39%の追加関税に代わり、一律15%の関税上限を11月14日に遡及して適用する。医薬品、特定の化学品、金、コーヒーなど、米国の追加関税の適用除外品目については変更なく、引き続き免除される。また、共同声明に基づき、米国は、航空機、一部の航空関連部品、ゴム製品、化粧品、ジェネリック医薬品を含むスイスからの輸出品に対する全体的な追加関税は撤廃される予定。当該リストは米国連邦官報に掲載されるとしている。スイスはさらなる免除を求めている。
なお、2025年4月2日以前に15%を超える関税が課されていた製品には、元の関税が再び適用されるとしている。鉄鋼、アルミニウム、自動車、銅など、米国の1962年通商拡大法第232条(以下、232条)に基づく分野別追加関税も変更がない。医薬品と半導体に関する232条に基づく進行中の調査(2025年4月15日記事参照)については、共同声明において、スイスに課される追加的な分野別関税は15%を超えないことが合意された。米国追加関税に関する詳細は、スイス連邦経済省経済事務局(SECO)作成の米国関税に関する詳細情報
を参照。
スイスはこれに対し、同国の農業政策と整合する範囲で、魚介類および一部の農産物に対する米国への関税を削減する。スイスは、米国に対して無税の2国間割当枠(年間で牛肉500トン、バイソン肉1,000トン、鶏肉1,500トン)も付与する。これらの関税引き下げは、2025年11月12日付の米国産品の輸入関税に関する連邦参事会政令
および2025年12月8日付の米国産品に適用される原産地規則に関する連邦経済・教育・研究省令
により実施される。これらの市場アクセス譲許の遡及適用日は、関税の同時引き下げと輸入業者への最大限の救済措置を確保するため米国と調整され、11月14日となった。これにより、スイスと米国の輸入業者はともに、それぞれの税関当局に関税還付を請求することができる。米国からスイスへの輸入の場合、スイスの輸入業者は再検討請求を提出することにより、該当する輸入評価額に対する輸入関税の還付を申請することができる。スイス側の輸入関税還付に関する照会先は、連邦財務省関税・国境警備局(Federal Office for Customs and Border Security:FOCBS)のCustoms refund(beschwerden@bazg.admin.ch
)となっている。
(田中晋)
(スイス、リヒテンシュタイン、米国)
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