米国の対ブラジル追加関税、農産品除外を産業界が歓迎

(ブラジル、米国)

サンパウロ発

2025年11月27日

米国のドナルド・トランプ大統領は11月20日、国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づき発動した対ブラジル追加関税(40%)について、コーヒー、牛肉、果物など農産品を含む249品目(注1)を対象外とする大統領令を発表した(2025年11月25日記事参照)。ブラジル政府および産業界は同措置を歓迎している。

カルロス・ファバロ農業・畜産相は11月20日付農務省ウェブサイトで、今回の決定により技術的・制度的対話が正常化したとし、「交渉すべき項目はいまだに多いが、ブラジル農業にとって、この決定は喜ばしい決定だ」とコメントした。ジェラウド・アルキミン副大統領兼開発商工サービス相も、在ブラジル米国商工会議所(AmCham)開催イベント(11月25日)で、「対話と交渉の成果だ。今後はより多くの製品を除外し、関税引き下げを進める必要がある」と述べた。同氏は、今回の措置でブラジル輸出における高関税対象品の割合が36%から22%に低下したとしつつ、影響を受けた企業へ400億レアル(約1兆1,600億円、1レアル=約29円)の信用供与を行うなど、政府として産業保護と競争力維持に努めてきた点に言及した。

ブラジルコーヒー輸出者評議会(Cecafé)は11月21日付ウェブサイトで、今回の見直しを歓迎すると表明した。米国がインドネシアやベトナムと関税引き下げで合意したと発表し(注2)、ブラジルの競合国(コロンビア、コスタリカ、エチオピア)への関税が10%にとどまる中、ブラジル産コーヒーは米国市場でのシェア低下が懸念されていた。高関税が維持されれば、米国市場での回復は困難となり、消費者が他産地のコーヒーに慣れることでブラジルの主導的地位が失われる恐れがあったとした。ただし、今回の決定ではインスタントコーヒーは免税対象に含まれておらず、同評議会は完全な免税に向け交渉を継続するとしている。

ブラジル牛肉輸出業協会(Abiec)、全国農業連合(CNA)、ブラジル果物輸出業者協会(Abrafrutas)も、それぞれのウェブサイト(11月20日付、11月21日付、11月24日付)で今回の決定を評価している。

(注1)米国通商代表部(USTR)の発表資料(ANNEX IIPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))によると、対象外リストは2つの区分で構成されている。1つは、米国の関税分類番号(HTSUSコード、8桁)の分類全体が対象となる238品目 。もう1つは、同コード内でも「宗教目的のみ」「アサイー」など特定の製品や用途に限定して対象となる11品目がある 。

(注2)インドネシアと米国は7月15~16日に、対インドネシア関税を32%から19%へ引き下げることで合意に達したと明らかにした(2025年7月22日記事参照)。また米国は7月31日に、対ベトナム関税を46%から20%に引き下げたことを発表した(2025年8月1日記事参照)。

(エルナニ・オダ)

(ブラジル、米国)

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