米USTR、重要鉱物に関する複数国間協定とサプライチェーン強靭化に向けたパブコメ募集開始

(米国)

ニューヨーク発

2026年03月02日

米国通商代表部(USTR)は2月26日、重要鉱物に関する複数国間協定の設計、ならびにサプライチェーンの強靭(きょうじん)化に向けたパブリックコメントを募集する官報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。

官報では、重要鉱物の輸入依存度の高さを現状の課題として位置付け、その要因に、採掘・加工・精製・製造といったサプライチェーンの各段階の米国内の能力が限定的であること、さらに、供給拡大に向けて米国が同盟国や民間部門と進めた取り組みが非市場的政策や慣行により損なわれてきたことを挙げた。その上で、これら課題に対応するための選択肢の1つに「志を同じくするパートナーとの複数国間協定」を位置付け、特に意見募集の観点として、次の10点を提示した。

  • 複数国間協定の範囲を決める上での重要鉱物と貿易相手国の優先順位付け
  • 協定の対象となる重要鉱物の目標価格や参照価格の設定
  • 重要鉱物の(最低価格や市場価格を確立するための)価格調整メカニズム
  • 規制の裁定取引(サヤ取り)に対処するための共通基準の確立
  • 重要鉱物サプライチェーンへの投資を統治するためのルール
  • 複数国間協定の実施および執行
  • 協定参加国間での調整メカニズム
  • 協定設計の上で参考となる施策や協定の例
  • (価格調整メカニズムなどの措置に)関連し得る参加候補国の国内法制度
  • そのほかの考慮事項

コメントはUSTRのウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(案件番号USTR- 2026-0034)から提出可能で、3月19日まで受け付ける。

重要鉱物をめぐっては、ドナルド・トランプ大統領が2026年1月、輸入量調整に向けた貿易相手国との協定交渉の推進や、重要鉱物の取引への最低価格設定や貿易制限措置の導入検討などを商務長官やUSTR代表らに指示している(2026年1月16日記事参照)。また、2月4日に日本を含む54カ国および欧州委員会が参加して開催された重要鉱物閣僚会合では、J.D.バンス副大統領が公正な市場価値を反映した市場形成を目指す「重要鉱物特恵貿易圏」の創設を提案した(2026年2月5日記事参照)。これに追随するかたちで今回のパブリックコメントの募集が発表されたことで、トランプ政権が重要鉱物に関する政策の中でも価格調整メカニズムを伴う複数国間協定を重視する姿勢がうかがえる。

(滝本慎一郎)

(米国)

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