トランプ米大統領、欧州8カ国に対する追加関税発動を示唆

(米国、グリーンランド、デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フランス、ドイツ、英国、オランダ、フィンランド、EU)

デュッセルドルフ発

2026年01月20日

デンマーク自治領のグリーンランド領有を目指している米国のドナルド・トランプ大統領(2026年1月13日記事参照)は1月17日、デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フランス、ドイツ、英国、オランダ、フィンランドの8カ国を対象に、2月1日から「あらゆる製品」に対し10%の追加関税を課す方針をSNSで明らかにした。追加関税は6月1日から25%に引き上げられ、米国によるグリーンランド完全取得に関する合意が成立するまで継続するとしている。

トランプ大統領は投稿の中で、米国が長年、デンマークやEU加盟国、そのほかの国々に対し、関税やそのほかの対価を課さないことで補助してきたことに対して恩返しすべき時だとした。加えて同氏はロシアや中国がグリーンランドを欲する中、デンマークにできることはないとした上で、米国にしかこの危機を脱することはできないと述べた。また、追加関税を課す対象の国々の動きについて、地球の安全と治安を脅かしかねない行為とした。

追加関税の対象となった8カ国は1月15日、グリーンランドへの軍事要員派遣実施を発表していた。

デンマークのラース・ルッケ・ラスムセン外相はこれを受け、1月17日にSNS上で、トランプ大統領の発言は驚きだと述べた。同氏は1月14日にJ.D.バンス副大統領とマルコ・ルビオ国務長官と建設的な議論を行ったばかりであり、グリーンランドへの軍事要員派遣はトランプ大統領が指摘する、北極圏での安全保障維持の強化につながるものだとした。

追加関税の対象となった8カ国は1月18日に共同声明を発表、グリーンランドへの軍事要員派遣は、事前に調整されたものであり、北極圏での継続的な安全保障強化に必要なものであって、誰に対しても脅威とはならないと述べている。加えて、追加関税は欧米関係を棄損するものだとした。欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長、欧州理事会(EU首脳会議)のアントニオ・コスタ常任議長は17日、領土保全と主権は国際法の下で守られるべき基本原則であるとし、EUとして、NATOの枠組みを含め、北極圏の平和および治安維持の重要性を認識しており、EUはデンマーク、そしてグリーンランドの人々と連携していくとの発言をそれぞれのSNSに投稿。英国のキア・スターマー首相、ノルウェーのヨーナス=ガール・ストーレ首相も同日、グリーンランドはデンマークの一部であり、グリーンランドの将来はグリーンランドとデンマークの意思によるものと発言した。

EU議長国のキプロスは1月18日、EU加盟27カ国の大使による緊急会議を招集し、米国の追加関税への対応策について議論を行ったと、複数メディアが報じた。

(福井崇泰)

(米国、グリーンランド、デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フランス、ドイツ、英国、オランダ、フィンランド、EU)

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