米司法省、貿易詐欺に対する執行強化を表明、企業は意図しない違反へも注意を

(米国)

ニューヨーク発

2026年02月26日

米国司法省の上級顧問のコーディ・マシュー・ハーチェ氏は2月23日、バージニア州で行われた貿易調査・執行・訴訟フォーラムで基調講演を行い、貿易詐欺への取り締まりを強化する方針を示した。同氏は、司法省が2025年8月に設立した、関税の不当な回避や輸入禁止物品の密輸の取り締まりを強化するための省庁横断の「貿易詐欺対策タスクフォース」(2025年9月4日記事参照)のトップを務めている。

ハーチェ氏の講演内容を伝えた米国のメイヤー・ブラウン法律事務所外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、同氏は、司法省が積極的に取り締まりの対象としている不正スキームを具体的に概説した。まず、原産国の偽装が最も典型的な不正であると指摘した。米国では一般的に、実質的変更(Substantial transformation)を伴う加工が施された場所を原産国として認定するが(注1)、加工を行っていない経由地を原産国と偽るケースが不正の典型例だと紹介した。同氏はまた、米国関税分類番号(HTSUS)の誤分類も典型的な不正に該当すると説明した。輸入する品目がどのHTSUSに属するかの最終判断は米国税関・国境警備局(CBP)が行うが、輸入者は自身の責任で正しい輸入申告を行う法的義務がある(注2)。同氏はそのほか、「二重請求書スキーム」も指摘した。これは、輸入者が顧客向けの請求書とは別に、より低い金額の請求書を作成し、それをCBPに提出して申告する方法だ。米国の関税評価は、原則として取引価格(Transaction value)に基づくため、実際に支払った、または支払う予定の価格よりも低い価格を意図的に申告すれば虚偽申告とみなされ得る。メイヤー・ブラウン法律事務書は同氏の解説を踏まえ、司法省が貿易詐欺に対して積極的に刑事捜査・起訴を行う姿勢を示している、と指摘している。

米国の現行の関税措置は、1962年通商拡大法232条に基づく鉄鋼・アルミニウムの派生品の追加関税率の計算方法に代表されるように、複雑で不透明な部分がある(2025年12月25日記事参照)。加えて、連邦最高裁判所が2026年2月20日に、国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づいて関税を課すことはできないと判断したことにより、新たに1974年通商法122条に基づく課徴金が課されるなど(2026年2月24日記事参照)、関税措置は流動的で、通関手続きの複雑さや不透明さは一層増している。こうした状況下では、意図せずに違反してしまう可能性もゼロではない。ジェトロでは、寄せられた相談のうち、日本企業が留意すべき事項を取りまとめた「米国関税措置に関連する留意点~意図せず不正行為を行わないために~」PDFファイル(1.1MB)を公開している。米国でビジネスを行っている企業は参照されたい。

(注1)実質的変更とは、形態、外観、性質、または特徴において根本的な変化を遂げたこととされる。商務省国際貿易局(ITA)のウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます参照。

(注2)事前にCBPに確認することで、正式にHTSUSを変更することが可能な制度もある(2025年11月26日記事参照)。

(赤平大寿)

(米国)

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