トランプ米大統領の一般教書演説、政権2期目の実績を列挙
(米国)
調査部米州課
2026年02月25日
米国のドナルド・トランプ大統領は2月24日、一般教書演説
を行った。演説は1時間45分を超え、国境管理、経済政策、医療政策、通商政策、外交・安全保障政策など広範な分野を取り上げ、政権2期目発足以降の施策と成果を強調した。
トランプ氏は演説で、国境管理の強化、インフレ率の鈍化、株式市場の上昇、新規投資の拡大、雇用の増加、国産エネルギーの生産増加、DEI(多様性・公平性・包括性)関連施策の廃止、「大きく美しい1つの法案(OBBBA)」を通じた減税措置を説明した。トランプ氏は、「米国は復活した」「これからもますます良くなっていく、米国の黄金時代だ」と強調した。
通商政策に関する言及は限定的だったが、「長年にわたり米国を搾取してきた国々が数百億ドルを支払っている」「(米国経済に)インフレはみられないばかりか、驚異的な成長がみられる」などとの認識を示した。最近の国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく関税措置を違法とした連邦最高裁の判断については、「非常に残念な判決だった」と述べつつ、運用実績が十分ある代替権限を行使する考えをあらためて表明した。なお、トランプ政権は同日から1974年通商法122条に基づく10%の関税の徴収を開始している(2026年2月24日記事参照)。122条関税は、議会が延長に同意しない限り150日後に失効する。トランプ政権は150日の間に122条の代替措置を準備する可能性がある。米国通商代表部(USTR)のジェミソン・グリア代表は、1974年通商法301条に基づく関税などの輸入調整措置の発動に向けた調査を開始する意向
を表明している。301条に基づく関税は、トランプ政権1期目以降に、対中追加関税などで複数の運用実績がある。
外交・安全保障政策に関しては、イスラエルとハマスの停戦合意を含む紛争調停への関与を成果に挙げ、「力による平和」の外交原則を強調した。また、ベネズエラにおける軍事作戦などに言及し、西半球における米国の優位性の回復を重視する姿勢を示した。
内政面では、医療保険制度改革や、薬価の引き下げ、電力価格や住宅価格の抑制に向けた取り組みを説明した。また、有権者登録時に米国市民権の証明書類の提示を求める「米国有権者資格保護法」の可決を議会に訴えた。同法に関しては、一部の有権者が必要書類を即時に提示できない場合、投票参加が制約される可能性があるとの懸念も指摘されている。
また、演説では、バイデン前政権の政策を繰り返し批判したほか、民主党議員に対する直接的な言及もみられ、党派間対立構造も鮮明にした。
2026年11月の中間選挙では、上院の約3分の1と下院の全議席が改選される。中間選挙では、有権者の生活に直結する経済問題が主要な争点の1つになるとみられる。今回の演説は、通商政策や外交・安全保障政策に関する言及は相対的に限定的で、物価や雇用などの生活関連の経済課題を前面に打ち出し、政権のこれまでの成果を訴える構図となった。
(葛西泰介)
(米国)
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