米シンクタンク、IEEPA関税無効判決を受けウェビナーを開催、還付や今後の展望を解説
(米国、世界)
ニューヨーク発
2026年02月24日
米国シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)は2月23日、連邦最高裁判所が20日に国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく関税を無効とする判決を出し、ドナルド・トランプ大統領が新たな関税措置を発表したことを受け(2026年2月24日記事参照)、一連の経緯や今後の米国の通商政策への影響を解説するウェビナー
を開催した。
CSISでシニア・アドバイザーを務めるウィリアム・ラインシュ氏とアンジェラ・エラード氏は、法的側面から今回の判決と今後の展望を解説した。ラインシュ氏は、「今回の判決は関税を規定する権限が議会にあることを示した点が重要であり、今後の関連する訴訟にも影響を与える」との見解を示した。
エラード氏は、新たに発表された関税措置の根拠となる1974年通商法122条に関し、それが各国・地域に対して一律に関税を賦課することのみを認めていること、賦課できる関税の税率は15%が上限とされること、また導入期間も(議会が延長に合意しない限り)150日間に限定されていることなどから、トランプ政権がこの期間中に同法301条や1962年通商拡大法232条などに基づく新たな関税措置の発動に向けた動きを加速すると予測した。
両者は、IEEPAに基づいて支払われた関税の還付の展望についても解説した。エラード氏は、今回の判決では還付に関する具体的な指示がないことを説明した。また、両者は、今回のケースは前例のない金額規模であることを挙げ、実際に還付されるまでには長期間を要すると予測した。このほかエラード氏は、還付金が支払われるのは輸入者側であることから、自社で輸入手続きを行っているような大企業は直接還付金を受け取れる一方、それらの業務を委託することが多い中小規模の事業者には還付金が直接届かないケースが多いとの見通しを示した。
CSISの経済プログラムでディレクターを務めるフィリップ・ラック氏は、国際的影響について解説した。122条に基づく追加関税は各国・地域に対して一律に課されることから、中国やインド、ブラジルなどの国にとっては、(IEEPAに基づく追加関税と比べて低い122条関税の税率が課されることになるため)今回の判決が有利な結果となった一方、貿易投資協定に合意したパートナー国の中には品目によってむしろ高い税率が課されることになる可能性もあることから、「パートナー国を損なうようなものだ」と解説した(注1)。また、122条は「国際収支危機」に際して発動できる権限だが、現在はその状況にないとし、今後裁判になれば、再度違法と判断される可能性があると指摘した(注2)。このほか、政策の不確実性が米国への投資の拡大や米国の雇用の促進などに悪影響を与えると述べた。
(注1)なお、現時点では各国との交渉の上で、個別に設定した関税率と122条に基づく課徴金との関係性が判明しておらず、不透明な状況が続いている。
(注2)ラインシュ氏も、122条の発動には法的リスクがあり訴訟が起こると予測しつつも、150日という122条に基づく関税発動の制限期間内には裁判が終わらないため、実質的には違法の可能性があっても、関税を発動できてしまうとの見解を示している。
(滝本慎一郎)
(米国、世界)
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