米最高裁判決と新関税措置で不確実性高まり、ドイツ産業界から相次ぐ懸念
(ドイツ、EU、米国)
ベルリン発
2026年03月02日
米国の連邦最高裁判所が国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づいて大統領が関税を課すことはできないとする判決を下したこと(2026年2月24日記事参照)、またドナルド・トランプ大統領がIEEPA関税の停止と1974年通商法122条に基づき10%の課徴金を課すと発表したこと(2026年2月24日記事参照)を受け、ドイツ産業界では、不確実性の高まりを懸念する声が広がっている。
ドイツ産業連盟(BDI)
は2月23日、判決自体は「ルールに基づく貿易秩序を支持する姿勢を示した」と評価しつつも、新たに大きな不確実性をもたらしていると指摘。2025年8月にEUと米国が合意した内容(2025年8月22日記事参照)が基準でありその条件を下回ってはならないとし、EUは、ドイツ政府の支援も受け、米国に迅速に働きかけ、関税と貿易ルールについて明確にする必要があるという考えを表明した。
ドイツ商工会議所連合会(DIHK)
は20日、米国で事業展開するドイツ企業にとっては不確実性が依然として高いままであり、EUは本判決と新たな関税措置の可能性に冷静に対応し、企業にとって信頼性の高い貿易政策の枠組みの確立に努めるべきとした。またEUは米国に対して、特に鉄鋼およびアルミニウム分野において、WTOルールに違反する全ての関税の引き下げを引き続き要求すべきであると述べた。
欧州議会は2月23日、EUと米国が合意した貿易協定の承認手続きを停止すると発表
した。ドイツ自動車産業連合会(VDA)は国内メディアに対し、EUと米国の貿易協定の批准が遅れることで、米国政府が既に合意した関税協定を破棄する可能性を指摘。「輸出志向のドイツ経済に深刻な影響をもたらす可能性がある」と懸念を示し、さらなる事態の悪化を避けるため、米国とEU間の迅速な協議を求めた(2月23日「ツァイト」紙)。
ドイツ化学工業会(VCI)は20日、別の法的根拠に基づく新たな関税がいつでも導入される可能性があるとし、「貿易政策の混乱は消えることはなくその舞台が変わるだけであり、警戒を解除するものではない」と声明を発表。ドイツ機械工業連盟(VDMA)
も同日、EUからの輸入品に対する15%の関税が近い将来に再び導入されるのではないかとの懸念を示した。
フリードリヒ・メルツ首相は2月21日、ドイツ公共放送ARDの取材に対し、3月初旬に訪米予定だと述べ、訪米前に「欧州の明確な立場」について迅速に協議する必要があり、「私はワシントンには調整された立場を持っていくつもりだ」と答えた。ドイツ連邦政府は2月27日、メルツ首相が訪米し3月3日にトランプ大統領と会談予定と発表した。
(中山裕貴)
(ドイツ、EU、米国)
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