変遷する米相互関税の対象品目、関税分類番号の見直しも対策の1つに
(米国)
ニューヨーク発
2025年11月26日
米国のトランプ政権が課している相互関税は、原則として、全ての国・地域からの全ての輸入品に追加関税を課す仕組みだが、一部の品目を対象外とする例外措置が設けられている。ただ、この対象外品目はたびたび変更されている。追加関税コストが常態化している中、対米ビジネスを行う上では、自社が扱う製品が例外対象に該当するかを定期的に見直すことも重要だ。
ドナルド・トランプ大統領は、相互関税を発表した直後の2025年4月、スマートフォンや半導体などを相互関税の対象外品目に指定した(2025年4月14日記事参照)。9月には特定の水酸化アルミニウムや樹脂、シリコーン製品を対象外品目から削除した一方、地金関連製品や1962年通商拡大法232条に基づく調査対象となっている特定の重要鉱物と医薬品を対象外品目に指定した(2025年9月8日記事参照)。その後11月になり、特定の農産品を対象外品目に指定した(2025年11月17日記事参照)。
こうした状況下、類似の性質を持つ品目であっても、相互関税の対象になる場合と、対象外に指定されている場合が出てきており、ジェトロには、自社製品が合法的に相互関税の対象外にならないかとの相談がいくつか寄せられている。これらのケースでは、これまで輸入申告していた米国関税分類番号(HTSコード)を見直すことで、解決できる場合がある。
米国では、米国税関・国境警備局(CBP)に対して、自社の取り扱い製品のHTSコードを確認できる事前教示制度(ルーリング制度)
がある。CBPは、どのような基準や考え方で、特定品目のHTSコードを決定したかを示すデータベースCROSS
を公開しているため、HTSコードの見直しを検討する企業はまず、このデータベースを活用し、自社の取り扱い製品が希望するHTSコードの判断基準に該当し得るかを判断できる。その上で、HTSコードを見直せそうであれば、ルーリング制度を利用して正式に確認する(注)。
在米の日系企業においても、通商に詳しい弁護士事務所と連携しながらこの制度を利用してHTSコードを見直し、相互関税の対象外品目として認められた例がある。CBPから質問などが届けば、確認までに数カ月かかることもあるが、早ければ2週間程度で確認できる場合もある。
複数の追加関税措置が並行する中では、依然として、不透明な通関実態が続く。そうした中では、通関書類を、CBPによる事後調査の期限である5年間、確実に保管しておくことも重要となる(2025年10月14日記事参照)。また、特定の追加関税措置は累積して関税率が課されないよう設定されており、これらを正確に把握することも重要だ(2025年11月5日記事参照)。
(注)必ずしも希望するHTSコードとして判定されるわけではない。判定結果は書面で通知されるため、異なるHTSコードとして判定されれば、その結果が残ることには留意が必要。
(赤平大寿)
(米国)
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米国の第2次トランプ政権が発表した関税措置により、賦課対象となった地域に展開する日本企業の事業運営にも影響が予想されます。