メキシコ・カナダ両首脳、共同声明で「行動計画2025-2028」を発表

(メキシコ、カナダ、米国)

メキシコ発

2025年09月25日

メキシコのクラウディア・シェインバウム大統領とカナダのマーク・カーニー首相は9月18日、メキシコシティの国立宮殿で首脳会談を行い、共同声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。共同声明では、「繁栄」「(2国間の)移動・福祉・インクルージョン」「安全保障」「環境・持続可能性」の4つの柱に基づくロードマップとして、「メキシコ・カナダ行動計画2025-2028外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表した。

行動計画では、多岐にわたる分野についての協力事項が盛り込まれた。「繁栄」の項目では、貿易円滑化、投資促進、通商政策、経済安全保障における協力に加えて、港湾分野の協力として、2国間の海上貿易拡大に向けた港湾間の接続や鉄道・道路との接続、港湾の安全強化などに関する作業部会を設置するとした。また、イノベーションの分野については、エネルギー転換、人工知能、医療技術などの研究において共同プロジェクトを推進するとした。そのほかにも、再生可能エネルギー、クリーン水素、炭素回収・利用・貯蔵などエネルギー分野での協力、持続可能な鉱山開発、2国間の農業食品バリューチェーンの統合強化についても言及している。「移動・福祉・インクルージョン」の項目では、メキシコからカナダに渡航する農業分野の季節労働者に対するプログラム(PTAT)の継続、労働者の権利保護促進などが掲げられた。「安全保障」の項目では、麻薬(フェンタニル)、銃器、人身売買、マネーロンダリングなどに対する取り締まり強化に加え、サイバーセキュリティーの分野でも協調するとした。「環境・持続可能性」の項目では、技術交流や電気自動車、風力、地熱、バイオエネルギーなどの再生可能エネルギープロジェクトへの投資促進により、クリーンエネルギーへの移行を目指すとした。

カーニー首相は「北米は世界で最も競争力のある経済圏であり、3カ国が協力することでより強くなる。この行動計画は、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)を補完するものであり、同協定の見直しによって、北米地域の経済をより強化していく」と語った。また、シェインバウム大統領は「USMCAが今後も継続されることを信じている。依然として米国関税交渉の渦中にいるが、(メキシコとカナダは)米国との貿易における大部分は関税が免除されており(注)、北米経済圏は世界で最も競争力のある地域だというカーニー首相の意見に同意する。これからUSMCA見直しの作業部会が始まるが、結果については楽観的に見ている」と強調し、USMCAの維持・継続を貫く姿勢を見せた。

(注)両国に対しては、不法移民や合成麻薬フェンタニルの流入を理由とした国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく追加関税と1962年通商拡大法232条に基づく追加関税が課されているが、前者と後者の一部(自動車部品)については、USMCAの原産品であれば追加関税の対象外となっている。

(阿部眞弘)

(メキシコ、カナダ、米国)

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