太陽光発電・電池製品の輸出増値税還付率を調整、輸出価格下落の抑制効果を持つとの指摘も

(中国)

調査部中国北アジア課

2026年01月16日

中国財政部と国家税務総局は1月8日、「太陽光発電等製品の輸出増値税(付加価値税、VATに相当)還付の調整に関する公告外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」(財政部 税務総局公告2026年第2号)を発表した。

公告では、太陽光発電等の製品249品目(公告の付属文書1)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)について、2026年4月1日から輸出増値税還付を取り消すとした。また、電池製品22品目(同付属文書2)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)について、2026年4月1日から12月31日まで輸出増値税還付率を現行の9%から6%に引き下げ、2027年1月1日からは還付を取り消すとした(注1)。

「内巻」の国外浸透抑制、貿易摩擦回避の効果を指摘する声も

今回の措置について、業界関係者などからは、還付終了を見込んだ短期的な駆け込み輸出の増加や業界内の淘汰(とうた)の進行を予測する見方もありつつ、中国国内の「内巻」(注2)およびその国外への浸透との関連性を指摘する声もみられる。大手の太陽光発電企業は、「太陽光発電製品の輸出増値税還付取り消しは製品価格を引き上げることになり、より付加価値の高い製品の輸出につながるとともに『内巻』の国外への浸透を大いに抑制することになる」と指摘した(「新京報」1月12日付)。また、業界団体の中国太陽光発電協会は、今回の還付率調整が「内巻」の国外浸透問題を根本的に解決する唯一の手段ではないが、長期的には輸出価格の過度な下落を抑制し、貿易摩擦を生む可能性を低下させることにつながるとの見方を示している(同)。

なお、海関(税関)総署の1月14日の発表によると、太陽光発電製品、リチウム電池と電気自動車(EV)を合わせた「新三様」製品の2025年の中国からの輸出額は約1兆3,000億元(28兆6,000億円、1元=約22円)となり、5年前の2020年と比較すると4.5倍になった。

政府部門による関連業界への過当競争抑制指導も相次ぐ

政府部門も昨今、太陽光発電業界や電池業界に対する過当競争抑制指導に取り組んでいる。競争法を所管する国家市場監督管理総局は2025年12月、太陽光発電業界に対し、秩序を守り、コンプライアンスに適した価格競争を行うよう行政指導を行った。

また、工業情報化部は2026年1月7日、国家市場監督管理総局などと共同で、動力電池および蓄電池産業の有力企業や業界団体の責任者を集めた座談会を開催した。工業情報化部は会議で、中国の電池産業は急速な発展により世界的に段階的な競争優位性を獲得しつつあるが、無理な投資などにより、低価格競争などの非理性的な競争が正常な市場秩序を乱し、業界の持続的な発展能力を損なっていると指摘した。その上で、価格に対する法執行検査の強化、生産能力のモニタリングとレベル別のアラートメカニズムの整備、マクロコントロールの強化を通じた過剰生産リスクの防止などに取り組むと表明した。業界団体などには、企業に対して生産能力の配置を科学的に行うことや高品質な製品と適正価格の推進などを指導するよう求めた。地方政府にも、地元企業への指導を強化し、重複投資を厳しく抑制するよう要求した(注3)。

(注1)本公告に記載された製品に適用される輸出増値税還付率は、輸出貨物通関申告書に記載された輸出日によって定めるとされた。また、消費税〔奢侈(しゃし)品に課される〕を課している製品については、引き続き輸出消費税の還付(あるいは免税)政策を継続するとした。

(注2)中国では近年、「内巻」と称される過度な価格競争が見られ、特に自動車市場などで問題視されており、政府や業界、企業が各種対策や取り組みを打ち出している(2025年7月25日付地域・分析レポート前編後編2025年6月9日記事9月24日記事10月16日記事2025年12月4日付地域・分析レポート参照)。

(注3)工業情報化部は同会議に先立つ2025年11月末にも、動力電池および蓄電池産業の有力企業幹部などを集めた座談会を開催している(2025年12月8日記事参照)。

(小宮昇平)

(中国)

ビジネス短信 85f34b633c0797e2