米国追加関税措置の影響は製造業で顕著、主因は「米国市場での需要減少」、対応策はコスト削減

(欧州、EU、米国、日本)

調査部欧州課

2025年12月25日

ジェトロが12月17日に発表した「2025年度 海外進出日系企業実態調査(欧州編)」(2025年12月17日記事参照)によると、米国の関税引き上げ措置、報復関税措置などの影響について、米国と取引がある在欧日系企業全体のうち39.0%が「現時点ではわからない」と回答した。次いで「マイナスの影響が大きい」と回答した企業が36.7%を占め、業種別では製造業が43.2%と4割超えとなり、同業種への影響が顕著であることが明らかになった。

米国との取引関係に関して、回答が得られた在欧日系企業762社のうち半数以上の55.8%が米国との取引はないと回答した。他方で、米国と取引がある企業にフォーカスすると、米国への直接輸出が最多(19.2%)であり、米国からの直接輸入(14.8%)、第三国・地域または取引先経由の輸出(14.3%)、第三国・地域または取引先経由の輸入(6.4%)の順で続いた。直接輸出を業種別にみると、製造業が29.0%であり、同業種が輸出を牽引していることがわかった。他地域との比較では、欧州の米国との取引関係は総じて、北米(カナダ)、中南米に次ぐ水準だった。

米国と取引がある企業のうち、「マイナスの影響が大きいと」回答した理由は、全体では「米国市場での需要減少」が47.0%で最多となった。特に影響を受けている製造業企業は、その理由として「米国市場での需要減少」や「米国市場でのコスト競争力の低下」をそれぞれ約45%の割合で選択し、同業種における2大要因となった。

米国と取引がある企業において、米国の関税引き上げ措置、報復関税措置などに係る営業利益への影響が最大の品目は、「自動車・自動車部品」が31.7%と最も多く選択された。同品目については、さまざまな業種の企業(輸送用機器部品(自動車等)のほか、化学品・石油製品、電気・電子機器部品、運輸・倉庫、商社など)が選択しており、サプライチェーン全体に影響が波及している。

米国と取引がある企業の関税措置への対応策は、コスト削減(47.6%)を行いつつ、調達先分散化(34.0%)や現地市場(欧州進出先国・地域)での販売増加(31.6%)に取り組む傾向が見られ、価格転嫁(31.3%)も目立つ結果となった。

(近藤慶太郎)

(欧州、EU、米国、日本)

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