米国の2025年の財・サービスの貿易赤字は前年から微減、財の貿易赤字は過去最高を更新

(米国)

ニューヨーク発

2026年02月25日

米国商務省経済分析局(BEA)は2月19日、2025年の貿易統計を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした(注1)。財・サービスの貿易赤字額は9,015億ドルと、2024年の9,035億ドルから0.2%減少した。1960年以降では、2022年(9,237億ドル)、2024年に次ぐ水準だった。財の貿易赤字額は1兆2,409億ドルと過去最高だった一方、サービスの貿易黒字額は3,395億ドルと過去最高だった。サービスの黒字額の増加幅が、財部門の赤字額の増加幅よりも大きかったため、財・サービス全体でみれば貿易赤字額は微減となった。

財部門では、2025年の輸出額は2兆1,975億ドル(2024年:2兆798億ドル、前年比5.7%増)、輸入額は3兆4,384億ドル(2024年:3兆2,952億ドル、4.3%増)と、いずれも過去最高だった。特に輸入額の増加には、コンピュータ(1,014億ドル増)やその周辺機器(427億ドル増)、電気通信機器(303億ドル増)などの資本財、加工済み金属製品(536億ドル増)などの工業用資材および材料などが寄与した。一方で、乗用車(344億ドル減)やトラック・バス・特殊車両(100億ドル減)を含む自動車・同部品の輸入額は520億ドル減少した。

国・地域別でみると、中国に対する貿易赤字額が2,021億ドルと、前年から934億ドル減少したものの、前年に続き最大だった。台湾(1,468億ドル、前年比730億ドル増)やベトナム(1,782億ドル、547億ドル増)との貿易赤字額は大幅に増加した。カナダに対する貿易赤字額は464億ドルと前年から155億ドル減少したのに対し、メキシコに対する貿易赤字額は1,969億ドルと254億ドル増加した。日本に対する貿易赤字額は639億ドルと55億ドル減少した。日本への輸出額が821億ドルと31億ドル増加したのに対し、日本からの輸入額が1,460億ドルと24億ドル減少したことが、貿易赤字額の縮小に寄与した。

第2次トランプ政権で、貿易赤字の減少などを目的に、各国・地域に対して複数の関税措置が講じられていることから、米国メディアでは、関税措置の影響を分析する報道が多くみられた。ブルームバーグ(2月19日)は、人工知能(AI)関連の大きな設備投資が、コンピュータや周辺機器の輸入増加に寄与したと分析した。また、中国に対する貿易赤字額は2004年以来最低の水準になった半面、メキシコやベトナムからの輸入が増加していることから、これらの国を迂回して米国に輸入されている可能性を指摘した(注2)。

また、第2次トランプ政権の発足前後には、関税引き上げを見越した在庫拡大の動きがみられ、これが2025年の財輸入額の押し上げに寄与した面もある。英国の調査会社オックスフォード・エコノミクスの米国経済主任エコノミストのバーナード・ヤロス氏は「ニューヨーク・タイムズ」紙(2月19日)で「2025年初頭の大規模な備蓄による『在庫効果』が薄れたのち、輸入(の水準)がどこで落ち着くかを見極める必要がある」と述べ、トランプ政権による貿易政策がもたらす長期的な影響を判断するには「まだ早い」とコメントした(注3)。

(注1)同統計のうち、財・サービス全体ならびに財、サービス各部門の貿易額は国際収支ベース。一方、品目別、国・地域別の財の貿易額はセンサスベースとなっている。

(注2)トランプ政権は2025年7月、相互関税を回避するために迂回輸出されたと米国税関・国境警備局(CBP)が判定した場合、相互関税に代わって40%の追加関税を課し、さらに罰金なども科すことを発表している。一方で、その判定基準は示されていない。

(注3)国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づき課している関税を違憲とする、連邦最高裁判所の判決が2月20日に発表された(2026年2月24日記事参照)。トランプ政権は同日、通商拡大法122条に基づき10%の追加関税を課すことを発表した(2026年2月24日記事参照)。米国のシンクタンクからは、トランプ政権が新たな追加関税を発表するまでの期間に、企業が米国内の在庫を積み増す可能性が示唆されており、これは貿易赤字を引き上げる要因となり得る。

(滝本慎一郎)

(米国)

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