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TICAD特集:アフリカビジネス5つの注目トレンド総論:ビジネス環境やフリーゾーンの整備で外資誘致を狙う

2019年7月31日

アフリカでビジネスに取り組む上で、現地のビジネス環境を不安視する声は日本企業から多く聞かれる。例えば、ジェトロが実施した「2018年度 アフリカ進出日系企業実態調査」では、87.3%が「規制・法令の整備、運用」を問題視するなど、投資する上でのリスクと捉えている。TICAD7でも、アフリカのビジネス環境・制度改善は議題の主要な柱の1つとなっている。また、日本企業のアフリカ進出促進を目的に2019年6月に発足した「アフリカビジネス協議会」では、日本企業からアフリカにおけるビジネス環境改善に期待する声が相次いだ。

一方で、アフリカ各国も外資企業の誘致などに向けて、ビジネス環境整備の重要性を認識し、近年は改善に力を入れている。その取り組みが国際社会から評価され、海外直接投資受入額が増加するなど、成果に表れつつある国もある。また、フリーゾーンや工業団地の整備を進め、外資製造業の進出が加速する動きもみられる。本パートでは、日本企業にとっても関心の高い、アフリカのビジネス環境を巡る動きを紹介する。

「ビジネス環境ランキング」で評価されるアフリカ諸国も

世界銀行グループは毎年、約190カ国を対象に報告書「ビジネス環境ランキング(Doing Business)」を発表している。事業設立や電力供給など、項目ごとにビジネス、起業・経営のしやすさを評価してランキングするものだ。2019年版の報告書では、サブサハラアフリカの48カ国中、過去最多の40カ国がビジネス環境改革を実施したと評価された。改革の多くは、不動産登記と破綻処理制度に関する規制緩和を目指すものだった。アフリカ域内でランキングトップのモーリシャスは、5件の改革を実施し、その一環として、事業設立の際の男女平等を達成するため、性別に基づく制約を撤廃した。また、改革により最も改善がみられた世界の上位10カ国に、アフリカからはジブチ、トーゴ、ケニア、コートジボワール、ルワンダの5カ国がランクインした。世界の総合ランキング(表参照)では、モーリシャスが20位でアフリカ域内トップ、次いでルワンダが29位、モロッコ60位、ケニア61位だった(日本は39位)。モロッコとケニアは、3年前の2016年版に比べ、それぞれ15ランク、47ランクと、大きく順位を上げている。

表:ビジネス環境ランキング(アフリカ上位10カ国と日本) (△はマイナス値)
国名 2016年版 2017年版 2018年版 2019年版 2019年版と2016年版のランク変動幅 WIR2019年版と2016年版の外国直接投資残高増減率(%)
モーリシャス 32 49 25 20 ↑ 12 43.4
ルワンダ 62 56 41 29 ↑ 33 91.5
(参考:日本) 34 34 34 39 ↓ 5 25.2
モロッコ 75 68 69 60 ↑ 15 31.9
ケニア 108 92 80 61 ↑ 47 145.3
チュニジア 74 77 88 80 ↓ 6 △ 18.6
南アフリカ共和国 73 74 82 82 ↓ 9 3.2
ボツワナ 72 71 81 86 ↓ 14 1.4
ザンビア 97 98 85 87 ↑ 10 23.5
セーシェル 95 93 95 96 ↓ 1 9.4
ジブチ 171 171 154 99 ↑ 72 36.2

注1:↑は2016年版に比べ、2019年版のランクが上昇(改善)
注2:↓は2016年版に比べ、2019年版のランクが下降(悪化)
出所:World Bank「Doing Business 」、UNCTAD「World Investment Report(WIR)」

フリーゾーンや工業団地の整備で外資誘致が加速

前述のランキングで、域内2位のルワンダは、治安の良さや情報通信技術(ICT)産業の発展も注目され、近年は日本企業の進出が増えつつある。在ルワンダ日本大使館のまとめでは、ICT関連、衛生用品、農業関連など、2018年6月時点で20社を数える。日本企業のみならず、外資も、ドローンによる輸血用血液輸送(米国のZipline)や自動車組み立て(ドイツのフォルクスワーゲン)など、各分野での進出がみられる。規制緩和などの取り組みが外資に評価され、企業進出につながっていると言えるだろう。

ルワンダは前述のランキングで、2019年版は2016年版に比べて33ランク上昇しており、国連貿易開発会議(UNCTAD)のデータによれば、外国直接投資(FDI)残高(ストック)は同期間で91.5%増加している。ビジネス環境の改善が外資誘致を加速させた可能性が高い。同様に、ランキングが大きく上昇した国として、ジブチ(72ランク)、ケニア(47ランク)、モロッコ(15ランク)、モーリシャス(12ランク)などがあり、FDIストックはそれぞれ36.2%、145.3%、31.9%、43.4%と大きく増加している。ビジネス環境の改善は、外資進出を促進する要因の1つといえる。

このほか、モロッコは、フリーゾーンや投資関連制度などの整備で外資を呼び込み、近年は特に自動車産業の進出が盛んだ。日本企業の進出も加速し、アフリカでは南アフリカ共和国に次ぐ拠点数になった。エジプトにおいては、ビジネス環境改善を目指して日本の官民から大統領などに直接提言を申し入れるなど、両国が協力して環境整備に取り組む。UNCTADのデータによれば、2018年のFDI(フロー)は68億ドルで、アフリカで最大となった。エチオピアでは、軽工業の域内ハブになることを目指して工業団地の整備が進んでおり、中国やインドなど外資製造業の進出が進む。エチオピアは、前述のランキングで2019年は159位と下位に位置しているが、2018年のFDI(フロー)は33億ドル(域内5位)であり、必ずしも全ての国で同ランキングと外資進出が直結しているわけではないのも実情だ。これら3カ国(モロッコ、エチオピア、エジプト)の詳細については、続く本パート各稿を参照されたい。

執筆者紹介
ジェトロ海外調査部主査(アフリカ担当)
小松﨑 宏之(こまつざき ひろし)
1997年アジア経済研究所(当時)入所、総務部、研究企画部。1999年ジェトロ企画部へ異動。その後、貿易開発部、国際機関太平洋諸島センター出向、展示事業部、ジェトロ高知所長、ジェトロ・ナイロビ事務所長、ジェトロ大阪本部を経て、現在に至る(アフリカ担当)。

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