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広島発!食品加工器機製造販売のサタケ、アフリカの穀物市場へ積極展開

2019年3月18日

日本屈指の酒どころである広島県の西条町。サタケはここで古くから、酒蔵向けに精米機を製造・販売し、1896年には日本初の動力精米機を開発した。今やその技術は精米にとどまらず、異物検知機、食品加工機械、産業機械などにも応用される。海外でも積極的に販路を開拓しており、アフリカは力を入れている販売先の1つだ。同社のアフリカビジネスの取り組みと展望について、国際事業本部国際統括室長の山本幸治氏と、同室管理課長の平世貴哉氏に話を聞いた(2月15日)。

精米機から派生した技術広がる

質問:
事業の概要は。
答え:
主力の動力精米機のほか、粉砕機や製粉機などの穀物加工機器、フルカラーCCDセンサーと近赤外線(NIR)センサーを使った光選別機〔コメや小麦の中から不良品(着色粒)や石などの異物を検知し、圧縮空気で除去する〕なども扱っている。さらに、業務用IH炊飯設備や精米プラントなどの大型設備も、設計から施工管理まで一貫して手掛け、産業用機械の開発も行っている。日本国内はもとより、アジア、欧米、アフリカなど世界150カ国で販売している。

サタケの広島本社外観(サタケ提供)

経済成長とともに本格化したアフリカビジネス

質問:
アフリカビジネスを始めたきっかけは。
答え:
40年ほど前の政府開発援助(ODA)事業がきっかけだ。アフリカの中でも稲作が盛んで、コメを食べる文化がある国を対象に、ガーナ、ナイジェリア、エジプトへ精米機を輸出した。ODA事業を続けていく中で、単に製品を輸出するだけではなく、現地の技術者の育成にも携わるようになり、日本の政府系機関と共同で、日本やエジプトで穀物調製加工の技術セミナーを1973年から30年間にわたり実施した。1991年には、英国の老舗製粉機メーカーを買収して、欧州拠点を同国のマンチェスターに設立し、そこからアフリカビジネスをカバーしていた。この買収をきっかけに、製粉機の開発・製造を始め、コメだけでなく、小麦、トウモロコシを含む3大穀物を手掛けるようになり、アフリカビジネスが拡大した。
質問:
ODAからビジネスに転換したのはいつごろか。
答え:
2000年ごろから徐々に本格的なビジネスへと移行した。アフリカの経済成長が進むにつれて、現地企業との取引が増えていった。ODA事業時代から付き合いがあった代理店との契約を皮切りに、現在はアフリカ19カ国に代理店を置き、中央部を除くアフリカのほぼ全域をカバーしている。製品の大半は、タイ、中国で製造しているが、アフターサービスは、地場の販売網を有する企業や人材に委託し、必要に応じて技術的なトレーニングを行っている。
2016年には、アフリカで初となる駐在員事務所をコートジボワールに設立した。同国の主食はコメで、生産量も多い。政府がコメの自給率を高めるために生産拡大プロジェクトを実施していることから、今後、精米機をはじめとした食品機械や農業機械の需要が拡大するとみた。この拠点で主にフランス語圏の西アフリカを見ている。西アフリカはコメなどの消費拡大に加えて、農業を主要産業としている国が多く、コーヒーやナッツ、カカオなどの商品作物の生産も豊富だ。例えば、アラビカ種のコーヒーが栽培されており、世界屈指の生産量を誇る。加工段階では、未完熟のコーヒー豆除去に当社の光選別機が導入されている。
さらに、アフリカ北部ではクスクスなどのパスタが食べられていることからパスタメーカー向けに、南東部はトウモロコシやその他の穀物の粉を使った食べ物(注)が消費されていることから食品加工業向けに、それぞれ製粉機の販売が伸びている。

コートジボワール駐在員事務所の駐在員(サタケ提供)

大型案件の増加に期待

質問:
アフリカビジネスにおける今後の展望は。
答え:
アフリカの経済成長に伴い、中間層が今後拡大すれば、商機はさらに増えるだろう。食へのニーズも経済成長とともに高まる。より高品質で歩留まりが高いコメ加工が求められるようになることは、日本やアジア諸国の経験から明らかだ。この市場ニーズに応えるため、精米プラントを標準化し、「REACH」というブランド名で一式供給を始めた。プラントの据え付けには従来数カ月を要していたが、「REACH」は約2週間でできるため、好評を博している。
アフリカの人口は増加の一途をたどっており、穀物消費量の増加という観点から、ビジネス拡大の可能性があると感じている。中間層人口の増加と購買力向上と相まって、スーパーマーケットなどで加工食品を買う機会が増えていくとみている。大手小売業やパッケージング業との関係を構築するために、日本の商社との連携を強化しているところだ。市場拡大が進めば、食品加工業で扱う規模も大きくなり、大型製品の需要も見込まれる。最近では、大容量の処理能力を持つ精米プラント設備2基をナイジェリアで受注した。こうした大型案件が今後増えることを期待している。

取材後記:アフリカで高品質の製品が売れる時代に

穀物加工全般を取り扱うサタケの製品は全世界で需要があると言っても過言ではなく、同社は積極的にグローバル展開をしている。「最後のフロンティア」と呼ばれるアフリカは、2050年には人口が25億人に達すると予測され、世界人口の4人に1人がアフリカ人になると言われる。同社は、潜在的な需要が見込まれる以前の「成長しない大陸」と言われていた時代から、ODA事業を通してアフリカ市場で経験を積んできた。経験に裏付けされた着実な方法で販売網を拡大し、地場企業のネットワークを生かして現地の市場に入り込んでいる。多くのアフリカの国々ではいまだ低価格帯の製品が多く導入され、とりわけ中国製品は価格面で優位に立つ。しかし、アフリカ市場は同社の製品の品質や処理能力を求めるまでに成熟してきており、今や大型設備を受注するまでになった。また、アフリカでは日本の中小企業の進出や地場企業との連携を求める声が高まっており、2019年8月に開催される第7回アフリカ開発会議(TICAD 7)に向けて重要なポイントとなっている。同社の取り組みは、アフリカで品質の高い日本製品が売れる時代が到来していること、さらに、アフリカ市場での日本の中小企業の活躍を体現していると言えるだろう。


注:
ケニアの「ウガリ」やエチオピアの「インジュラ」など。国・地域により、呼び名、材料、調理方法が違い、多くの種類がある。
執筆者紹介
ジェトロ海外調査部海外調査計画課
清水 美香(しみず みか)
2010年、ジェトロ入構。産業技術部産業技術課/機械・環境産業部機械・環境産業企画課(当時)(2010~2013年)、海外調査部中東アフリカ課(2013年~2018年)を経て現職。

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