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TICAD特集:アフリカビジネス5つの注目トレンドフランス、レバノン、モロッコ企業との連携に可能性(コートジボワール)

2019年7月31日

コートジボワールでは、フランス、レバノン、モロッコの企業による投資、進出が進んでいる(表参照)。これらの国々の企業は長年の投資実績を有し、強固なビジネスネットワークを確立している。コートジボワールにおいては、こうした国々の企業との関わりが市場参入の足掛かりの1つになりそうだ。

表:フランス、レバノン、モロッコ企業による近年の主な投資事例
投資事例
フランス Engieは、コートジボワールを拠点にブルキナファソ、マリ、ニジェールで電気工事、設備設計、施行、エンジニアリング、保守事業を展開する「Afric Power」と「Tieri」の2社を買収し、西・中部アフリカにおける事業拡大を狙う。
政府は、Totalと、英・オランダShell、アゼルバイジャンSocar、米Golar、Endeabor、Petroci、CI-Energieの企業連合との間で液化天然ガス(LNG)輸入ターミナルの覚書に調印。工費は2億ドルの見込み。
EDFは、パーム油残りかすを利用したバイオマス発電事業に着手。事業費は1,000万ドルと見積もられる。
農産品加工SOMDIAAは、コートジボワールの子会社SUCAF(製糖)の生産設備拡張計画を発表。
工費は840億FCFAと見積もられる。
豊田通商のフランス子会社CFAOとオランダ・ハイネケンは、協業するビールメーカーBrassivoireの生産能力拡大のため、200億FCFAの投資計画を発表。生産能力は、現在の生産1,600万ヘクリットルから、2,700万ヘクリットルに拡大する。
豊田通商のフランス子会社CFAOと流通大手カルフールが協業する複合型商業施設「PlaYce」の2号店がオープンした。総工費180億FCFA。CFAOは、アフリカでの小売り事業拡大計画の一環として、今後10年間にカルフールのスーパーを西・中部アフリカ地域8か国に70店舗出店する計画で、年間10億ユーロの売り上げを目指す。
CFAOは、通販サイト「Africashop」を立ち上げた。La Redoute、Vertbaudet、Maty Somewhere、Devred1902、Etam、Elikya、Beaytyなど、ファッション、宝飾品、下着、コスメティックの大手メーカーブランド品を取り扱う。
ラコステはアビジャンに、西アフリカで初の店舗をオープンした。店舗はCFAOリテールが運営するショッピングモール「PlaYce」に出店した。ラコステとCFAOは、コートジボワールはじめカメルーン、セネガル、ガボン、コンゴ民主共和国、コンゴにおいてブランドパートナーシップで合意している。
ブイグ・グループとスイスのチェーンホテルMovenpickは、コートジボワールの不動産デベロッパーSAPRIMと提携し、ホテル開発事業に着手した。最大都市アビジャンの行政、ビジネスの中心街プラトー地区に客室160室の4星ホテルを建築する。2020年3月に竣工予定。工費は8,000万ユーロと見積もられる。
ボロレ・グループとデンマーク海運大手マースクは、アビジャン自治港の第2コンテナターミナルの建設に4億ユーロの融資計画を発表。
コートジボワールおよびブルキナファソ両国政府と鉄道事業のコンセッション契約を結ぶボロレ・アフリカ・ロジスティックの子会社SITRAILは、アビジャン~カヤ間を結ぶ鉄道改修工事に着工した。工期は8年で総工費は4億ユーロ。
コートジボワール炭化水素総局と石油開発公社(PETROCI)は物理探査コンサルタント大手CGGとの間で、陸上、海上、空中物理探査のデータ取得処理および解析の受託契約を締結。
マクロン大統領は、ワタラ大統領とともに「アビジャン都市鉄道」の起工式に出席。フランス政府が14億ユーロの融資を行う同事業には、フランスのブイググループ、重電大手アルストム、コーラス・レール(Colas Rail)、フランス国鉄(SNCF)の子会社ケオリスで構成されるコンソーシアムが参画している。
コートジボワール政府は、フランスの建設大手Eiffageグループとインドのエンジニアリング会社Infra Internationalを総額3億ユーロに上る給水プロジェクトの委託先に選んだ。主なプロジェクトは、イフー、モロヌー、ンジの各地域での飲料水供給システムの拡充、4,000カ所の地下水源掘削など。
電力・ガス事業大手のEngieは、通信会社Orange Service Groupとの間で、Orangeがコに保有するデータセンターの運用・保守管理契約を締結した。同データセンターは、アビジャン40kmのグランバッサム市にある自由貿易地区VITIBに位置し、420平方メートルのコンピュータルームを含む1,450平方メートルの敷地を確保している。Orangeにとっては、西アフリカにおける重要インフラであり、中東、アフリカ地域の子会社を管轄している。Engieは、西・中部アフリカを中心にエネルギー事業進出を加速していきたいとしている。
政府はコートジボワール政府に対し、テロ対策特殊部隊の地域養成学校の設立のため、1,800万ユーロの融資を明らかにした。アフリカでのテロ・治安対策を重視しており、対テロ作戦を積極的に展開している。
レバノン コートジボワールで鉄鋼、乳製品、プラスチック製造に進出するEurofindグループは、カシューナッツおよびカカオ豆加工計画を発表。
モロッコ Nova Powerは、北部コロゴ地方で官民連携スキームによる能力25MWの太陽光発電事業計画を発表。事業費は4,000万ドルと見積もられる。
不動産開発大手Addoha Douja Promotionは、稲作・精米事業計画を発表。同社はすでにセネガルの北部地方で、10億ディルハムを投入し、1万ヘクタールの稲作開発に進出している。
Holmarcomグループの子会社である農産品加工Deniaは、グランバッサムのフリーゾーン「VITIB」で2,000万ユーロのカシューナッツ加工計画(生産能力1万トン)を発表。
CIMAFは、西部サンペドロ地方にセメント工場を建設。生産能力は200万トン。2013年にアビジャンに第1工場を建設しており、近く、中部ブアケ地方で第3工場の建設に着手する。
製薬大手Pharma5は、ヨプゴン工業地帯で製薬工場の建設に着手。総工費600億FCFA。生産能力は、感染症治療薬、婦人病薬、抗ウィルス薬、鎮痛薬、抗生物質等年間1億錠、1,000万袋が見込まれる。同社にとって初の海外進出となる。
不動産グループDouja Prom Addohaは、今後2年間に西アフリカ地域で9億ディルハム(544憶FCFA)の売り上げ確保の見通しを発表した。2018年末、同社の前売り契約のうち、コートジボワール、セネガル、ギニアを中心に西アフリカ地域が約3割を占めている。
医療機器、救急医療機器、手術用機器の販売を専門とするAgentisは、総額570FCFA(約9,700万ドル)の公立病院建設プロジェクトを受注。主に南東部のアボワソとアゾぺの2地方都市でそれぞれ地域病院センター(RHC)を建設する。同社は既に、アビジャンで放射線治療センターとがんセンターを建設。また、コートジボワールのほか、チャド、ベナン、コンゴなどフランス語圏アフリカ諸国を中心に医療機器を販売している。
建設、土木、不動産事業を展開するメナラホールディングは、コートジボワールにプレハブコンクリート製造と建設業界向け骨材製造の子会社2社の設立を発表した。

出所:各種報道、企業プレスリリースなどを基にジェトロ作成(2017年6月~2019年5月)

フランス:旧宗主国として確固たる影響力を保持、基幹インフラへの投資で実績

フランスは政治外交、経済の両面からコートジボワールとの強固な協力関係を築いている。ビジネスフランスによると、コートジボワール国内のフランス人は2万人以上、当地のフランス商工会議所に正式登録されているフランス企業は1,000社を超える。アグリビジネス、流通、銀行、保険、電気通信、輸送および物流、エンジニアリング、エネルギー、法務コンサルタント業など多様な分野で進出している。近年は小売り流通〔小売店舗「カルフール」や大型ショッピングモール「PlaYCe」の出店(注)〕や、基幹インフラへの投資・運営が目立った。

特に、基幹インフラへの投資では、フランス系企業の存在が大きい。電力、通信、給水、港湾、空港など戦略的な公共セクターにおける新施設の整備・運営が民営化された後も、コンセッション事業での参入を強化し、コートジボワールの経済基盤に大きな影響を与えている。コートジボワール政府は国家開発計画の中で、「調和のとれた国土インフラ開発と環境保全」を掲げ、中長期的視野で貿易物流、電力・エネルギーハブとしての機能強化を図っていく方針で、フランス系企業は、これら経済中枢機能を担うインフラ整備・運営の事業に積極的に参入している。近年だけでも、アビジャン北部郊外と空港を結ぶ都市鉄道の建設、アビジャン港の第2コンテナターミナルの新設、架橋、空港の拡張、地方都市での飲料水供給システム拡充などを手掛けている。日本企業が獲得したODA案件にフランス企業が参画したり、フランス企業が受注した案件に中国企業が下請けとして参加する事例もあり、インフラ開発案件におけるフランス系企業との協業・連携は今後も継続しそうだ。


CFAOが運営するカルフール店舗内部の様子
(アビジャン市内、ジェトロ撮影)

レバノン:非アフリカ人コミュニティーで最大規模、多様な分野で強固なネットワーク

コートジボワールには現在、8万から10万人のレバノン人が居住しており、非アフリカ人コミュニティーとしては最大の規模だ。レバノン系住民は20世紀前半から断続的にコートジボワールに移住、幾世代にもわたって定住し、今日では強固なビジネスネットワークを築いている。これらのネットワークを通じて、グループ会社や子会社を展開し、西アフリカ地域での商機を拡大している。

レバノン商工会議所に正式に登録されているレバノン系企業は250社だが、コートジボワール国内には、財閥系グループのほか、大手、中小を含め3,000社以上のレバノン系企業が進出しているとされる。ここで言うレバノン系企業とは、本国から移住したレバノン人がコートジボワールで創業した企業を指す。これら企業の投資実績は直接投資統計や各種報道にはあまり表れないが、レバノン系企業の大半はコートジボワールへの移住者やその家族が創業・運営する企業のため、実際には統計や報道以上の存在感がある。また、レバノン系企業は外資系企業としては最多の30万人以上を雇用している。レバノン系企業の生産活動はコートジボワールのGDPの8%、税収入の15%を担うとされ、コートジボワール経済への多大な影響力がうかがえる。これらレバノン系企業の投資分野は、小売り、製造(食品、建設資材、消費財)、包装、鉄鋼、化学品、農産物、セメント、不動産、通信、ホテル運営など多岐にわたり、国内の民間不動産業者の70%、大規模小売業者の90%がレバノン系企業とされている。特に、販売代理店や製造業におけるビジネスパートナー探しでは、確固たる地位を確立しているレバノン系企業のネットワークがコートジボワール市場参入のカギとなりそうだ。


レバノン系企業が運営する家具、雑貨店の様子
(アビジャン市内、ジェトロ撮影)

モロッコ:文化、法制度の共通性に強み、積極外交通じ、官民連携で投資

コートジボワールはサブサハラ・アフリカ諸国におけるモロッコの最大の投資先だ。両国は親密な首脳外交を通じ、官民連携で2国間の協力を強化している。同じフランス語圏のコートジボワールは、モロッコと文化、言語的な親和性が高く、また、法制度もフランスをモデルとしていることなど共通点を持っている。2013年から2017年末まで、モロッコ国王モハメッド6世のコートジボワール訪問は5回。その間に締結された二国間協定は政府間のみならず、企業間合意を含めると150を超える。2014年に両国間で締結された協定に基づき、教育や運輸、産業、金融、農業など多くの分野で120を超えるプロジェクトが実施されている。

近年は金融、保険、建設、不動産、製造業、医療分野での投資が目立つ。金融分野では、銀行の支店数・顧客数でSociété Ivoirienne de Banquなどモロッコ系銀行が上位を占めている。建設、公共事業、不動産事業を手掛けるメナラホールディングは、プレハブコンクリートの製造と建設業界向けの骨材の製造に特化した子会社をコートジボワールに設立。コートジボワールでは、政府が導入した住宅建設計画が遅滞していることから、現在年間1万~2万戸の住宅を建設できる外国事業者の参入を呼びかけており、今後も建設関連企業の参入が続きそうだ。救急医療機器、手術室用機器などの販売を専門とするモロッコ企業アジェンティスは、公立病院の建設のために570億FCFA(約9,700万ドル)の契約を獲得。同社はコートジボワールのほか、チャド、ベナン、コンゴなどフランス語圏アフリカを中心に医療機器を販売している。コートジボワール政府は、国立大学病院の開設、小児病棟の改修(日本のODAで実施)など、医療施設の拡充、医療設備・機器の更新に注力しており、モロッコ企業同様、日本企業にとっても商機になり得そうだ。


モロッコ企業のココディ湾再開発プロジェクトの様子
(アビジャン市内、ジェトロ撮影)

注:
いずれも豊田通商が完全子会社化したフランス大手商社CFAOが運営。
執筆者紹介
ジェトロ・アビジャン事務所
尾山 裕緒(おやま ひろお)
2012年、ジェトロ入構。途上国貿易開発部途上国貿易開発課、ジェトロ山梨、対日投資部対日投資課を経て、2019年3月から現職。

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