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特集:外国人材と働く新たな価値の創造目指し、インド人材を採用(茨城)
多様な価値観取り入れ基盤強化を目指す関彰商事

2020年7月2日

関彰商事は茨城県に本社を置き、創業112年の歴史を持つ。ビジネスに多様な価値観を取り入れるため、2017年から外国人材の正社員採用を開始した。その後、社内でインド高度人材への関心も高まってきたことから、2019年にインドから1人を採用した。将来的には、インドでの事業展開も見据える。同社の外国人材の採用の経緯や就労状況などについて、ヒューマンケア部ウェルビーイング課の大島弘行課長と総合企画部事業開発課のエシュナ・サクデバ氏に聞いた(6月3日)。

ベトナムの若い力に感動、異なる見方取り入れるため海外人材採用を開始

質問:
会社の概要は。
答え:
(大島氏)当社は、4つの事業柱を持つ。ガソリンスタンドの運営をはじめとした燃料を取り扱う「エネルギーソリューション」、ホンダやベンツなどの輸入車の自動車正規ディーラーを運営する「モビリティソリューション」、IT機器やオフィス環境の提案やシステム開発、設備工事や人材紹介などの「ビジネスソリューション」、携帯電話ショップ、コンビニ、介護福祉施設や保育園の運営をする「ライフサポート」だ。多様な事業を展開するのが特徴だ。
質問:
外国人材採用の経緯は。
答え:
(大島氏)2010年ごろから多様な考えを社内で浸透させたいという思いを持ち始め、2014年に社長の関正樹が、茨城県知事をトップとしたベトナム視察団に参加し、ベトナムの熱気・活気に触れ感銘を受けたことがきっかけだ。会社としても、世界のさまざまなものが転換期を迎えている中、異なるアイデンティティーの人々の多様な考え方を取り入れていくことになった。
まず手掛けたのは、ベトナムでの事業展開だ。2016年7月に、初めての海外拠点となるベトナム駐在員事務所を設立した。その後、設立したベトナム拠点(Sekisho Vietnam Company Limited)では、ベトナム人の高度人材紹介、システム開発、ベトナム進出のコンサルティングサービスなどを展開している。人材紹介事業では、日系企業への就職を目指す優秀なベトナム高度人材と、在日本企業や在外日系企業をマッチングする「Sekisho Job Fair」をこれまでに計6回開催した。2019年11月にハノイ工科大学で開催した6回目のジョブフェアでは、39社の出展企業に対し約1,100人の学生が参加し、約70人に内定が出ている。
次に行ったのが、本社での外国人材採用だ。これまでにもグループ内で外国人材はアルバイトなどで雇用していたが、正社員としての採用は2017年5月からだ。リクルートの方法は、ジョブフェアなどへの参加、大学からの紹介のほか、最近は通常の新卒採用に留学生が応募してくるケースも増加している。
質問:
現在の外国人材の雇用状況は。
答え:
(大島氏)現在は合計18人(ベトナム9人、ネパール2人、フィリピン2人、米国、ブラジル、フランス、台湾、インド各1人)が日本で勤務している。6人が企画・マーケティングなど、8人が自動車整備士、その他はシステムエンジニアや介護などに従事している。
質問:
社内での使用言語は。
答え:
(大島氏)全て日本語だ。例外はあるが、通常の採用条件は、日本語能力試験のN2レベル以上にしている。社内に英語を話す人材が少ないため、外国人材に日本語を使ってもらうようにしている。海外在住で来日し入社する社員には、入社前に日本語学校に通学してもらう。社内での日本語教育は、特に実施していない。茨城県が提供している外国人材向けの日本語オンライン講座を利用するほか、日々の業務を通じて日本語に慣れてもらっている。

関彰商事で働く外国人材たち(同社提供)
質問:
外国人材を雇用して変わったことは。
答え:
(大島氏)これまで当たり前だと思っていたことが、当たり前ではないということに気付かされた。例えば、顧客へのお茶出しはなぜ女性がするのか、なぜ挨拶をしっかり行うのか、なぜ朝礼を行うのかなど。日本人に比べ、不思議に感じたことを遠慮なく指摘してもらえる。発想を転換するきっかけになっている。説明しづらいことも多く、納得を得られない場合もあると感じているが、新たな気付きが多い。
また、曖昧な指示や暗黙の了解が通じないので、日本人社員は指示や思いをより明確に伝えることを心がけるようになった。コミュニケーションの機会が増え、社内の雰囲気が明るくなったことも挙げられる。

インドでの事業展開を見据えた人材を採用

質問:
インド人社員採用のきっかけは。
答え:
(大島氏)インドでは、特に理系の高度人材の争奪戦が世界で行われているとよく耳にしており、関心を持っていた。当社にもインドからそうした優秀な人材に来ていただき、その方々から当社がどのように見えるかを知りたいと考えていた。インドは今後、事業展開先としても非常に有望な市場と認識している。社長がインドを出張した際、ニューデリーのジャワハルラル・ネルー大学(JNU)日本語学科を訪問し、インド人材向けのインターンを募集した。
質問:
インド人材の特徴、利点などをどう感じるか。
答え:
(大島氏)業務に積極的に取り組んでおり、調査をお願いした内容以外にも、周辺の事柄についても調査すべきかと提案してくれることがある。報告についても、論理的でとてもわかりやすい。一緒に仕事をするまでは、自己主張が強いなど勝手なイメージがあったが、協調性もあり、日本人との相性も良いと思う。
質問:
インド人材採用・雇用における課題は。
答え:
(大島氏)採用したエシュナ氏には幸い問題がなかったが、インドにはベジタリアンが多い。食事で問題がないか、心配だった。今後、採用を拡大していく中で、宗教、食事の禁忌などの理解を深めていく必要があると考えている。

日本語習得がカギ、日本のチームワーク楽しむ

質問:
なぜ日本で働こうと思ったのか、また関彰商事に入社しようと思った決め手は。
答え:
(エシュナ氏)JNUで日本語を専攻しており、日本に関心を持っていた。当初はインドに進出している日系企業への就職を検討していた。しかし、関彰商事の社長がJNUを訪問し、インド人材向けに同社がインターンの機会を設けることを知り、応募した。関彰商事のインターンへの参加が決定し、日本での1カ月の就労体験を経て、同社で働きたいという気持ちが高まった。インターン後にその思いを同社に伝え、入社の運びとなった。
関彰商事への就職を決めた理由は、社員皆が優しく、チームで仕事をしていることが印象に残ったからだ。インドでは、個人が自身のキャリアを重視して個別に仕事をしており、皆で協力することはあまりないように感じる。現在は、インドでの新規事業立ち上げのための調査業務に従事している。

インドから関彰商事に入社したエシュナ・サクデバ氏(同社提供)
質問:
日本での業務のやりがいや課題は。
答え:
(エシュナ氏)社員の一員として、チームで協力しながら働くスタイルを楽しんでいる。入社当初1カ月ほどは、毎日日本語で生活するのが大変だった。今はそれにも慣れて、特に課題は思いつかない。
まずは、現在の業務で当社のインド進出を目指し、いつかは日印をつなぐ自分自身の会社を起業してみたい。
質問:
英語が話せるインド人にとっては英語圏での就労が一般的で、日本で働く人は限られているが、これをどう見ているか。
答え:
(エシュナ氏)日本で働くうえでの一番大きな壁は、日本語の習得。多くのインド人は日本に対し良いイメージを持っている。最近は、多くのインド人が就労する米国などでビザ要件が厳格になるなど、日本への関心がさらに増していると思う。しかし、言葉の問題があり英語圏で就労する場合が多い。ただし、最近はインドに進出する日本企業も増加しており、日本ブランドが浸透してきている。このため、日本語を勉強する人も増えている。インドで就労するより高収入を望めることから、システムエンジニアなどで日本語を勉強する人も多い。同様に、韓国企業もインドで存在感を高めており、Kポップなども知られてきているので、韓国語を勉強する人も増えている。
執筆者紹介
ジェトロ海外調査部アジア大洋州課 リサーチ・マネージャー
古屋 礼子(ふるや れいこ)
2009年、ジェトロ入構。在外企業支援課、ジェトロ・ニューデリー事務所実務研修(2012~2013年)、海外調査部アジア大洋州課、 ジェトロ・ニューデリー事務所(2015~2019年)を経て、2019年11月から現職。

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