USMCA見直しの行方、トランプ米政権の方針と中間選挙

2026年2月20日

米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)が、2026年7月に見直しを迎える。3カ国が最終的に延長に合意できなければ、USMCAは2036年に失効する。1994年に北米自由貿易協定(NAFTA)が発効して以降、北米3カ国の経済統合は30年以上におよぶ歴史がある。日本企業を含む多くの在米企業は、USMCAを前提にビジネスモデルを構築しているため、USMCAが失効すれば経済への影響は大きい。本稿では、見直しに向けたこれまでの経緯を整理した上で、米国の方針、日本企業が留意すべき点を指摘し、USMCA見直しの行方を見通す。

USMCA見直しスケジュール

NAFTA再交渉を経て、2020年7月に発効したUSMCAは、条文上、発効から16年後に失効すると定められている。ただし、「発効6年後の共同見直し」で3カ国が延長に合意すれば、合意時点から16年間延長する。従って、2026年7月に初めての見直しを迎える。見直しで延長に合意できなかった場合、それ以降毎年、見直しを継続する。見直しで合意できれば、その時点から16年間延長する。合意できない状態が続けば、USMCAは条文に従い2036年に失効する(図1参照)。なお、見直しのスケジュールにかかわらず、締約国は、他の締約国に対して書面による通知を提出することで、6カ月後に脱退できる。

図1:USMCA見直しスケジュール
USMCAは発効6年後の見直しで3カ国が延長に合意すれば、合意時点から16年間延長する。従って、2026年7月に初めての見直しを迎える。仮に見直しで延長に合意できなかった場合、それ以降毎年、見直しを継続する。見直しで合意できれば、その時点から16年間延長する。合意できない状態が続けば、USMCAは条文に従い2036年に失効する。

注:見直しのスケジュールにかかわらず、締約国は、他の締約国に対して書面による通知を提出することで、6カ月後に脱退できる(第34条6項)。
出所:USMCA条文、戦略国際問題研究所(CSIS)作成資料を基に作成

トランプ政権の方針は「欠陥が解決可能な場合にのみ延長」

USMCAの発効を定めた米国の「USMCA実施法」は米国通商代表部(USTR)に対し、見直しの270日前までにUSMCAの運用に関するパブリックコメントの募集などを行い、180日前までに米国が見直しで提案する具体的な措置やUSMCAの延長に関する立場などについて、連邦議会へ報告するよう義務付けている。USTRは同法に基づき、2025年9月にパブリックコメントを募集する官報を公示し、12月3~5日に公聴会を実施した。

公聴会では、複数の業界団体が、USMCAは北米の競争力に不可欠だとして延長を支持した。また通商政策の研究者らは、USMCAのこれまでの実績についておおむね肯定的な評価を示すとともに、輸出管理や投資審査など経済安全保障に関する内容を設けるべき、といった「更新」に向けた具体的な提言をした。一方で、消費者団体は消費者を犠牲にしたビッグテック企業の大勝利、労働組合はメキシコでの労働者の搾取に対応できていない、などとUSMCAを批判し、抜本的改革がなければ延長に賛成しないと主張した(注1)

その後、USTRのジェミソン・グリア代表は12月16~17日に、議会報告を行った(注2)。グリア代表は冒頭陳述で、公聴会で表明された意見について「多くがUSMCAへの支持を表明し、明示的に協定延長を要請した。ただ同時に、ほぼ全ての関係者が何らかの改善を求めている」と総括した。その上で、「USMCAは一定程度成功している」との見解を示したが、「米国の製造業の能力強化と良質な雇用創出に関する目標の全てを達成できていない」「USMCAは、非市場経済国からの投資や過剰生産品の輸入に対処するよう設計されていない」と指摘した。これらを踏まえ、「USMCAが米国や北米全体にとってどれほどの価値があろうとも、その欠陥はあまりにも甚だしく、同協定を無批判に承認することは国益にかなわない」とし、「欠陥が解決可能な場合にのみ延長を勧告する」との方針を示した。見直しにあたっては、2国間で解決すべき課題と3カ国間で取り組むべき事項を特定するとして、具体例を提示した(表1参照)(注3)。グリア代表は、USMCAをカナダ、メキシコそれぞれとの2国間協定に分割する可能性も示唆している(注4)

表1:USTRが例示した2国間で解決すべき課題と3カ国で取り組むべき事項
項目 内容
対メキシコの課題
  • 第三国コンテンツ(部品や素材など)の利用を促進し、米国サプライチェーンを損なう政策
  • 労働法の執行(メキシコ連邦調停労働登録センターに対する制裁権限の付与など)
  • 環境法の執行(漁業管理、違法漁業、野生生物取引などの取り締まりなど)
  • メキシコの国営企業を優遇する特定のエネルギー政策・慣行
  • EUに対する肉製品・チーズの名称保護による、米国生産者の市場アクセスへの影響
  • 高額になるように設計された周波数帯の年次使用料算出手法
  • 米国の電子決済サービス提供者が自社の専用ネットワークを利用できない待遇
  • 米国輸出品のコストを増加させるメキシコの通関業者に対する制限
  • メキシコ産季節農産物の輸入が米国生産者に与える影響
対カナダの課題
  • 米国乳製品に対する不平等な市場アクセス
  • オンライン配信法・オンラインニュース法が米国デジタルサービス提供者に与える影響
  • 米国のアルコール飲料流通に対する州レベルの禁止措置
  • オンタリオ州、ケベック州、ブリティッシュコロンビア州における差別的調達措置
  • 米国輸出品をカナダで受領する者に対する複雑な税関登録手続き
  • アルバータ州によるモンタナ州電力配給事業者への不公正な扱い
3カ国で取り組むべき事項
  • 非自動車工業製品の原産地規則の強化
  • 関税、輸出管理、投資審査における経済安全保障の連携強化
  • 米国生産がメキシコまたはカナダへ移転されることに対する罰則メカニズムの構築
  • 重要鉱物およびその派生製品の採掘、加工、リサイクル、再利用、製造を促進するインセンティブの創出
  • 強制労働製品の輸入禁止措置の実施状況の改善

出所:USTRによる議会報告の冒頭陳述から作成

日本企業に最も影響を与えるのは原産地規則の強化

これらUSTRから提示された解決すべき課題のうち、日本企業に最も影響を与えるのは原産地規則の強化だ。グリア代表が示した3カ国で取り組むべき事項には、「非自動車分野の原産地規則の強化」が含まれている。USMCAを含むFTAにおいて、無税や低関税といった特恵関税の恩恵を受けるためには、FTA締結国内で製品を生産する必要がある。そのため、FTAごとかつ個別品目ごとに「関税分類変更基準」や「付加価値基準」といった基準を用いて、原産性を判定するルールを細かく決めている(図2参照)。この原産地規則が緩い基準であれば、FTAによる特恵関税を受ける際に域外国の製品を利用できる割合が増える。反対に厳しい基準であれば、その割合は減ることになる。トランプ政権の通商政策の主要な目的の1つは、米国内での生産強化であるため、USMCAの見直しでは、域内原産割合(RVC)の引き上げや、米国内で一定程度、生産や加工をしなければならない基準が提案されるのではないかとみられている(注5)

図2:原産地規則のイメージ図
USMCAを含むFTAでは、関税分類番号が変わる加工をした国を原産国とする関税分類変更基準や、一定程度の付加価値を与える加工をした国を原産国とする付加価値基準などがある。

注:環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP、通称TPP11)の基準を基にした例であり、USMCAのルールではない点に留意。
出所:ジェトロの「TPP11解説書」を基に作成

グリア代表が議会報告の冒頭陳述で指摘した原産地規則の強化は、非自動車分野に限られるが、自動車産業も留意が必要だ。NAFTAからUSMCAに変わる際、完成車に対する原産地規則は、RVCが62.5%から75%に引き上げられ、トレーシングリストが廃止された。また、エンジンやトランスミッションなどスーパーコアと呼ばれる主要部品が全て域内原産品であること、完成車メーカーが購入する鉄とアルミニウムの7割が域内原産品であること、直接工の賃金(時給)が16ドル以上の地域での付加価値が40%以上であること、といったこれまでになかった要件が追加された(注6)。このように完成車に対する原産地規則は既に相当程度強化されているが、グリア代表は議会報告を行う前に、USMCAの見直しでの目標の1つに米国での自動車生産台数の増加を挙げ、原産地規則を強化して第三国がこの協定の恩恵を受けないようにする、と述べている(注7)。具体的には、完成車のRVCの85%への引き上げを検討しているとの指摘がある。

中国製部品の利用制限

トランプ政権は、中国製部品の利用を制限するルールも提案するのではないかとも指摘されている。米国は経済安全保障上の理由などから、メキシコなどを介して中国製品が流入することを懸念しているためだ(注8)。グリア代表の冒頭陳述では、中国製部品の利用制限に関する具体的な記述はないが、メキシコとの課題の中で挙げられた「第三国コンテンツの利用を促進し米国サプライチェーンを損なう政策」が、こうした懸念に基づく記載だと考えられる。

一方で現行の原産地規則では、既述のとおり、域内国で一定程度加工していれば原産性が認められる。ここでは、企業の資本関係は考慮されない。そのため、中国資本の在メキシコ企業がメキシコの工場で製造した製品は、メキシコ産として米国に輸入される。ここで参考になるのが、バイデン前政権下で成立したインフレ削減法(IRA)に基づく、電気自動車(EV)などの購入に対する税額控除の要件だ。IRAでは、中国などの「懸念される外国の事業体」が一定程度生産に関与している場合、税額控除を認めないと規定していた(表2参照)(注9)。こうした規則が、USMCAの原産地規則に盛り込むよう提案されるのではないかとみられている。

表2:IRAによるEV税額控除の重要鉱物に関する要件注:IRAに基づくEVなどの購入に対する税額控除は、2025年7月に成立した「大きく美しい1つの法(OBBBA)」によって廃止された。
要件 要件を満たすために必要な調達価格割合
2023年
(発効後)
2024年 2025年 2026年 2027年 2028年 2029~2032年
(1):米国または自由貿易協定の締結国で、抽出または処理あるいは北米でリサイクル 40% 50% 60% 70% 80% 80% 80%
(2):「懸念される外国の事業体」が抽出、処理、またはリサイクル 60%未満 50% 不可 不可 不可 不可 不可
(3):(1)と(2)以外 60%未満 50% 40% 30% 20% 20% 20%

注:IRAに基づくEVなどの購入に対する税額控除は、2025年7月に成立した「大きく美しい1つの法(OBBBA)」によって廃止された。
出所:米政府発表資料から作成

中国製部品の利用を制限するルールができれば、日本企業のサプライチェーンにも影響する。米中対立が2018年に始まって以降、日本企業は、米国市場向けの調達先を中国からメキシコやベトナムなどに変更するよう、サプライチェーンの再編に取り組んできた。それから約5年が経った2023年頃から、米中間のサプライチェーン再編が完了したとする企業が多くなった。だが現状でも、中国からメキシコに部材を送り、メキシコで加工して米国へ輸出するサプライチェーンを有している企業は複数存在する(表3参照)。

表3:米中サプライチェーンに関する在米日系企業のコメント
産業 在米日系企業のコメント
自動車 グローバルなサプライチェーンの中で中国は別扱いとなっており、中国部品は中国用、米国市場向けは中国製品を使わないようにするなど、デカップリングしている。
自動車 米国市場向けの製品は、メキシコ工場から供給。中国にも複数の工場があるが、直接、米国に輸出しているものはない。ただし、中国→メキシコ→米国のオペレーションはあり、中国製部品を利用したメキシコ製品の米国への輸入制限を懸念。
自動車 中国だけがターゲットになればよいが、メキシコに対しても規制がかかる、関税の応酬で中国が何かを売ってくれなくなる、などが起きないかと懸念している。
自動車 中国で生産された部品は、中国以外では使わないようにしている。現状、ほぼサプライチェーンは分けられている。これには3~4年かかった。ただし、今後米国でEV需要がさらに伸びれば、中国製のバッテリーも使う可能性を検討しなければならない。バッテリーのみ、引き続き中国のサプライチェーンに依存している。
自動車 米中政治リスクを考慮し、コストは圧倒的に中国が安いが、中国からは調達しないという方にかじを切っている。ただし、レアメタルなど、必要な量はわずかでも、中国から調達しなければいけない製品は残る。
商社 対中サプライチェーンは、トランプ政権1期目の追加関税やバイデン政権のウイグル強制労働防止法(UFLPA)により数年かけて調整し、今はほぼ直接のサプライチェーンはない。

出所:ジェトロによるヒアリング(2024年10月~2025年5月)から作成

重要性増すUSMCAの利用

特に、トランプ政権2期目が発足して以降、企業にとって、USMCAを利用することの重要性は増している。USMCAの原産地規則を満たしている場合、トランプ政権による追加関税措置の適用対象外になるといった措置が受けられるためだ(注10)。実際に、2024年のUSMCAの利用率はおおむね50%以下だったが、2025年7月以降は90%近くまで上昇した(図3参照)(注11)。北米で生産される自動車は、原材料から完成車として輸出されるまでに、平均で8回国境を越えるといわれており、企業によっては、USMCAによる特恵関税を受けられるか否かは死活問題となる。

図3:米国輸入時におけるUSMCA利用率の推移

対カナダ輸入
対カナダ・メキシコ輸入ともに、2024年はおおむね50%だったが、2025年7月以降利用率は上がり、2025年10月は、カナダからの輸入では89.3%となっている。
対メキシコ輸入
対カナダ・メキシコ輸入ともに、2024年はおおむね50%だったが、2025年7月以降利用率は上がり、2025年10月は、メキシコからの輸入では88.8%となっている。

注:執筆時点において、2025年10月が最新の値。
出所:米国際貿易委員会(USITC)から作成

見直しでの合意は難しく、USMCAは不安定な状態へ

ただ、これらルールの改定において、北米3カ国で合意に達することは容易でない。原産地規則が強化されれば、要件を満たせなくなる企業が増えるため、米国を含む各国の産業界から反発が予想される。また、米国内での生産割合を拡大しなければならない場合、在メキシコ・カナダ企業の米国移転を促すことにもつながる。原産地規則以外でも、グリア代表が指摘しているメキシコのエネルギー政策(注12)やカナダの乳製品市場アクセス(注13)などは長年の課題であり、2026年7月の見直し時に解決できる見通しは低い。こうしたことから、USMCAの見直しでは、単純に延長で合意することは難しく3カ国間で何も決まらない可能性が最も高い(注14)。この場合、1年ごとの見直しが続き、USMCAは不安定な状況に置かれることになる(表4参照)。

表4:USMCA見直しに関する有識者の見方
コメント 日付
2026年7月1日は最終期限でなく、延長するか否かを判断する段階になる。ここで米国が原産地規則を変更しない限り延長しないと主張すれば、1年ごとの年次見直しのフェーズに移行する。その上で、カナダとメキシコは232条関税についてはケース・バイ・ケースで緩和措置を得られるよう交渉していくしかないのではないか。USMCA見直しにおいて注視すべき点は、メキシコとカナダが協力できるか。ただし、原産地規則の修正という観点では両国の利害は一致するだろうが、例えば、メキシコは乳製品のマーケットアクセスを気にしないなど相違点もある。これまで関係があまり良好ではなかった両国は、関係強化を図っており、今後の関係を注視する必要がある。 2025年10月14日
米国が対中関係で懸念しているのは、迂回輸出や中国からの投資。中国企業を排除するためのルールとして、見直しでは、中国企業の製品を一定割合使わない、中国資本の企業の関与を制限する、といったルールが提案される可能性がある。メキシコ、カナダは確かに協力すべきだが、現状で一枚岩になれるかどうかは難しい。例えば、NAFTAからUSMCAに再交渉された際、米国はメキシコとの妥結を先に発表し、カナダの切り離しも示唆した。
今の米国は2国間協定を志向しており、仮に、米国―カナダ、米国―メキシコの協定になれば、USMCAとは全く異なる協定のため、必ず議会承認は必要。議会承認を見通せない状況で、米国が本当に2国間協定を志向するかは怪しいが、交渉戦略として米国はメキシコとカナダの切り離しをしてくるだろう。
2025年10月14日
米国は、メキシコ、カナダとの2国間協定でもいいと考えている。この場合、自動車産業を考えると、メキシコはそれでよいかもしれないが、カナダにとっては大きな課題となる。米国の自動車産業は、メキシコの低い労働賃金を代替できず、メキシコ産の部品は今後も必要になるが、カナダは必ずしもそうではない。現状のままであっても、厳しい完成車の原産地規則によって、カナダから米国へ生産移管が進んでいる。最近では、ステランティスがジープの小型スポーツ用多目的車(SUV)の生産をオンタリオからイリノイへ移管すると発表した。 2025年10月15日
見直しでは、何かしら経済安全保障に関わる項目が取り上げられるだろう。現在、政権がどのようなことを考えているかは、マレーシアなどと最近締結した2国間の経済安保に関する合意が参考になる。また、USMCA見直しでは、鉄鋼・アルミなど232条関税について何かしらの進展があるのではないかとみている。既に産業界からは、コスト増大などの大きなプレッシャーがかかっている。2026年7月になれば、中間選挙が近づき、政権はインフレなどについてより一層敏感になるだろう。ただ、見直しで3カ国が合意することは難しいだろう。それ以降、見直し会合はずっと続くことになる。 2025年11月12日

出所:ジェトロによるインタビュー

中間選挙の結果もトランプ政権の交渉スタンスに影響

見直しが長期間継続される場合、懸念されるのは米国による脱退手続きの開始だ。トランプ政権が交渉を優位に進めることを目的に、USMCAからの脱退を正式に通知し、6カ月という期限を区切って交渉に臨む可能性も選択肢としては残る(注15)

もちろん、USMCAからの脱退は反発が大きくなると考えられることから、米国が実際に通知を出すことに対しては慎重な見方がある。そこで、今後のトランプ政権の交渉スタンスを占う上で重要となるのが、2026年11月に行われる中間選挙の結果だ。原産地規則の改定のような協定文の大幅な修正や、米国とメキシコ、カナダとの2国間FTAという新しい協定が誕生する場合、議会承認が必要となる。中間選挙の結果、ドナルド・トランプ大統領の主張に賛同する共和党議員が上下両院で議席の過半を占めれば、USMCA見直しにあたって、トランプ政権は強気なスタンスで交渉に臨める。現時点では、上院は共和党が僅差(きんさ)で多数派を維持、下院は民主党が僅差で多数派を奪還することがメインシナリオだが(図4、5参照)、投票まで9カ月ほどあり、情勢はこれから変わり得る。USMCA見直しの結果によって影響を受ける企業は、提案される改定内容に加え、中間選挙の行方にも留意しておくことが必要だ。

図4:上院選の見通し

改選前
共和党が53議席、民主党が45議席。
改選後
上院は共和党が51議席、民主党が45議席を確保する見通し。

注:2026年1月26日時点。改選後の民主党45議席には、独立系2議席も含まれる。
出所:選挙予測サイト270toWinから作成

図5:下院選の見通し

改選前
改選後

注:2026年1月26日時点。
出所:同上


注1:
公聴会の様子は、2025年12月12日付ビジネス短信「USMCA見直しに向けた公聴会実施、研究者や業界団体は協定の更新・維持を主張」、2025年12月12日付ビジネス短信「USMCA見直しに向けた公聴会終了、USTRは議会へ口頭報告を予定」参照。 本文に戻る
注2:
議会報告は、書面で行うべきとの意見が出ていたが、グリア代表は「法令上、書面での報告は義務付けられていない」として口頭で行った。ただし、冒頭陳述の内容を書面で公開した。2025年12月19日付ビジネス短信「米USTR、USMCA延長は欠陥が解決可能な場合のみとする方針を表明」参照。 本文に戻る
注3:
経済安全保障の連携強化も取り組む事項として挙げられている。トランプ政権が他国に求める経済安全保障の方針は2026年2月6日付地域・分析レポート「米国が挑む新たな国際通商システム(3)経済安保中心の通商協定」参照。 本文に戻る
注4:
グリア代表は、政治専門紙「ポリティコ」(2025年12月4日)に対して、「カナダ経済との関係は、メキシコ経済との関係とは全く異なる」とし、労働環境、生産品、輸出入の状況が異なることから、「3カ国を結びつけることに経済的な意味はない」と述べている。Doug Palmer, “Greer says USMCA withdrawal ‘always’ a possibility”, December 4, 2025, Politico. 本文に戻る
注5:
本稿における米国が見直しで提案するとみられる具体的事項については、ジェトロによる首都ワシントンの有識者や日系企業などへのインタビュー(2025年10月~2026年1月)などを参考にしている。 本文に戻る
注6:
トレーシングルールとは、トレーシング対象リストに掲載されていない部材を非原産材料の価額として計上しなくてもいいとするルール。USMCAでは同制度が廃止されたため、これらの部材も非原産材料とする必要がある。詳しくは2019年5月8日付地域・分析レポート「USMCA活用のハードルは高い(メキシコ、米国、カナダ)」参照。 本文に戻る
注7:
「ポリティコ」(2025年12月4日)。 本文に戻る
注8:
冒頭陳述において、メキシコが米国の懸念に対処した例として、「中国を含む非FTA加盟国からメキシコに輸入される1,400品目以上の製品に対する関税を引き上げる法案を提出したこと」を挙げている。メキシコ政府はその後、2026年1月から一般関税率を引き上げた。2026年1月6日付ビジネス短信「1月1日から開始される輸出入関税法の改正を官報公示」参照。 本文に戻る
注9:
IRAに基づくEVなどに対する税額控除は、2025年7月に成立した「大きく美しい1つの法(OBBBA)」により、同年9月30日に廃止された。 本文に戻る
注10:
1962年通商拡大法232条に基づく自動車・同部品への25%の追加関税措置において、USMCAの原産地規則を満たす完成車に対しては、車両の輸入申告価格全体ではなく、非米国原産分の価額に対してのみ追加関税を課す。自動車部品においては、現状は追加関税の対象外となる。2025年5月21日付ビジネス短信「トランプ米政権、USMCAの原産地規則を満たす自動車の米国原産割合の申告手続きを官報で公示、追加関税の影響を緩和」参照。また、USMCAの原産地規則を満たす製品は、国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づくフェンタニルなどの流入阻止を目的とした10~25%の追加関税の対象外となる。2025年8月4日付ビジネス短信「トランプ米大統領、フェンタニル流入阻止を目的とした対カナダIEEPA関税を35%に引き上げ」参照。 本文に戻る
注11:
一般関税率がゼロである場合、特恵関税の適用を受けるためにUSMCAを利用する必要はないが、追加関税の対象外とすることを目的にUSMCAを利用する必要性が出てきている。なお、USMCAを利用することで、商業貨物税関使用料(Merchandise Processing Fee)も削減できる。 本文に戻る
注12:
米国はメキシコのエネルギー政策が国営企業を優遇しており、USMCAで規定されている無差別の市場アクセスに違反していると主張している。2025年11月19日付ビジネス短信「メキシコ・エネルギー省、エネルギー政策に関する米国議員のUSMCAパネル設置要請に対し反論」参照。 本文に戻る
注13:
米国はカナダがUSMCAで約束した関税割当制度(TRQ)の対象から小売業者や食品サービス業者などを除外していることが協定に違反していると主張しており、USMCAの紛争解決制度の下で争っていた。2024年4月5日付ビジネス短信「乳製品の関税割当制度とデジタル関税に懸念表明、米USTR2024年外国貿易障壁報告書(カナダ編)」参照。 本文に戻る
注14:
米調査会社ユーラシアグループは、USMCAは延長も更新も破棄もされないと予測し、「ゾンビのようによろよろと存続し、企業や政府は予測不可能な状況に陥るだろう」と指摘している。2026年1月6日付ビジネス短信「米調査会社、2026年10大リスク発表、USMCAの『ゾンビ化』指摘」参照。 本文に戻る
注15:
USMCAの条文はあくまで脱退手続きを定めただけであり、締約国の脱退プロセスは定めていないとの指摘がある。つまり米国の場合、憲法上議会に付与された通商を規制する権限や条約を結ぶ権限を踏まえ、大統領が脱退通知を出すことは可能だとしても、その前に議会の承認が必要との考え方がある 本文に戻る
執筆者紹介
ジェトロ・ニューヨーク事務所 調査担当ディレクター
赤平 大寿(あかひら ひろひさ)
2009年、ジェトロ入構。海外調査部国際経済課、海外調査部米州課、企画部海外地域戦略班(北米・大洋州)、調査部米州課課長代理などを経て2023年12月から現職。その間、ワシントンの戦略国際問題研究所(CSIS)の日本部客員研究員(2015~2017年)。政策研究修士。