分断危機下の最適なグローバルサプライチェーンとは分断危機下でのグローバルサプライチェーンの再構成(世界)

2026年4月28日

過去20年以上にわたり、世界貿易は多国間・複数国間・二国間での貿易自由化に支えられて国際分業が進み、グローバルなレベルで供給の連鎖:すなわちサプライチェーンが重層的に構築されてきた。高関税の時代に逆戻りする米国の貿易政策の転換やそれに呼応する保護主義的措置の連鎖は、グローバルサプライチェーンの潮流までも遮り、世界は分断の時代へと進むのか。WTOはこの点、現況についてグローバリゼーションの逆行ではなく、「再構成(reconfiguration)」の時代を迎えており、今世紀で最もバリューチェーンの多極化が進んだ状態にあるという(注1)

本特集では、そのようなサプライチェーンの再構成が、主要な産業・貿易品目においてどのように起きているかを、貿易統計や企業・業界別のデータを用いて解き明かすことが狙いだ。特にジェトロが独自に集計した貿易マトリクス、すなわち輸出国・地域×輸入国・地域の関係性の変化(過去5年分)を指標に活用しつつ、産業別の特性を整理することに主眼を置く。総論である本稿では貿易総額の動向を見つつ、政策的な注目点や、日本企業によるサプライチェーン見直しの傾向も踏まえて、最近のトレンドを概観する。

主要国の2025年の貿易額は輸出入ともに増加

2025年の世界の貿易は、世界貿易額の約8割弱(2024年輸出額ベース)を占める主要34カ国・地域(注2)計で、輸出額が前年比6.1%増の19兆5,342億ドル、輸入額が5.5%増の19兆5,867億ドルとなった(表1)。第1四半期に米国の追加関税導入を見据えた在庫確保や駆け込み需要の影響が顕在化し、同期間で米国の輸入額が前年同期比25%増に達した。米国への駆け込み輸入は追加関税が発動された第2四半期に入り鈍化し、米国の輸入額は通年では4.6%増に落ち着いた。

表1:2025年の主要国・地域の貿易と前年比伸び率(単位:億ドル、%)(△はマイナス値)注1:2025年の貿易額(輸出額+輸入額)上位10カ国・地域とASEAN5(インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ)。 注2:2025年のデータが入手できる34カ国・地域のみで算出(3月17日時点)。
国・地域名 輸出 輸入
金額 伸び率 金額 伸び率
主要34カ国・地域計 195,342 6.1 195,867 5.5
中国 37,765 5.6 25,823 △ 0.0
米国 21,785 5.7 34,157 4.6
ASEAN5 16,469 11.9 15,696 9.8
ドイツ 16,884 0.7 14,630 3.5
オランダ 9,313 1.2 8,386 2.7
香港 7,548 17.8 8,354 19.5
英国 5,551 8.2 9,482 16.1
日本 7,383 4.4 7,555 1.8
フランス 6,523 1.9 7,457 △ 0.8
韓国 7,093 3.8 6,319 0.0
イタリア 6,991 3.8 6,384 2.8

注1:2025年の貿易額(輸出額+輸入額)上位10カ国・地域とASEAN5(インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ)。
注2:2025年のデータが入手できる34カ国・地域のみで算出(3月17日時点)。

出所:Global Trade Atlas(S&P Global)から作成

2025年の米国の貿易は、中国を除く国・地域からの輸入金額が前年比9.9%増となった半面、中国からの輸入金額は29.7%減少した(図1)。米国の関税率変更に翻弄(ほんろう)される中、2024年中に中国から関税導入を見据えた駆け込み輸入がみられたことも反動減につながった。米国の輸出も対世界では8.0%増に対して、対中国では25.8%減少した。米国の輸出入いずれも対世界と対中国で30ポイント以上の開きが生じており、米中間貿易の停滞が鮮明となった。米中以外では、ASEAN5からの輸出が11.9%増と好調で、金額の多い順にシンガポール、マレーシア、タイ、フィリピンが2桁の伸び、またその他ASEANではベトナムも15.7%増を記録した。

図1:米国の貿易伸び率の推移
対世界輸出(中国を除く)では、2015年(前年比7.4%減)以降、伸び率は上昇傾向にあり、2018年(9.1%増)で天井を打ち、2019年は0.4%減、新型コロナ禍に入った2020年には15.2%減まで急落した。翌2021年は23.0%増と急伸したのち下降に転じるも、2023年に2.4%減で底を打ち、2025年は8.0%増まで回復した。対世界輸入(中国を除く)も輸出と同様に推移し、グラフはほぼ重なる。2015年は6.5%減、2018年は8.9%増、2020年は7.0%減、2021年は22.4%増、2023年は2.0%減、2025年は9.9%増と、上下動のタイミングは一致している。一方、対中国輸出は2015年(6.3%減)から2017年(12.5%増)までは対世界輸出を上回って上昇したものの、2018年(7.5%減)、2019年(11.5%減)と下降。翌2020年(17.0%増)は上昇するも、2021年(21.6%増)をピークに下降を続け、2025年は25.8%減まで急落している。対中国輸入では、2015年の伸び率は対世界輸入を9.6ポイント上回る3.1%増だったが、2019年は16.6%減に急落。2021年に16.6%増まで回復するも、以降は対世界輸入を上回ることはなく2023年には20.3%減まで下降。2024年は米国の関税措置を見据えた駆け込み輸入で2.7% 増まで伸びたが、その反動で翌2025年は29.7%減まで落ち込んだ。2025年の米国の貿易を対世界と対中国との対比でみると、輸出入ともに30ポイント以上の開きが生じており、米中間貿易の停滞が鮮明となっている。

注1:対世界の輸出入は世界全体から中国を除く。
注2:伸び率は金額ベース。
出所:Global Trade Atlas(S&P Global)から作成

WTOは、米国が追加関税措置を導入した2025年4月時点では、追加関税の影響を加味した2025年の世界の貿易量を0.2%減と予測していた。その後の予測では上方修正を重ね、2026年3月の発表では2025年の貿易量を4.6%増と推計、関税措置の悪影響は当初の懸念よりも抑えられたと評した。2026年2月末時点で世界貿易の72%で最恵国待遇ベースの関税率が適用され、引き続き国際貿易の主流だと強調した(2026年3月26日付ビジネス短信参照)。

貿易マトリクスで見るグローバルサプライチェーンの変化

世界では過去5年あまり、新型コロナのパンデミック、ロシアによるウクライナ侵攻、これらに伴う国際物流の混乱や半導体等供給不足、エネルギー価格の高騰など、企業のサプライチェーンに大きなインパクトを与える事象が相次いだ。本特集では新型コロナ禍前の2019年と2024年の国際貿易の地域分布をマトリクスでまとめ、変化の特徴を捉えてみたい。なお2025年以降の動向については本年7月ごろ、より詳細なデータが得られた段階で、ジェトロ世界貿易投資報告にて分析する予定。

表では縦軸に輸出元、横軸に輸入相手国・地域を置き、2019年の世界シェアと2024年の世界シェアを比較したポイント増減をまとめた(表2)。世界計のため0.1%ポイント単位の増減でも大きな変化に相当する。まずサプライチェーン上の生産供給サイドに当たる輸出側では、アジアの1.72ポイント増、欧州(ロシアCISを含む)の2.14ポイント減が特に大きな変化だ。アジアは2019年時点の世界輸出シェアが34.8%と世界の3分の1を占めており、2024年は36.5%とさらに拡大した。中国が1.69ポイント増(2019年:13.5%→2024年:15.2%)、ASEANが0.76ポイント増(7.7%→8.5%)と、いずれも供給元としてのプレゼンスを高めている。他方、日本は0.81ポイント減(3.8%→3.0%)と世界輸出シェアが縮小し、主力である乗用車輸出の1.73ポイント減が特に響いた。欧州には制裁下にあるロシア(0.99ポイント減)も含むためマイナス幅が大きいが、それ以外にも、最大の輸出国であるドイツが0.91ポイント減(8.0%→7.1%)で、日本と同様に乗用車シェアが1.01ポイント減とマイナスに寄与した。自動車産業における新興勢力の台頭が、世界輸出の構図からも鮮明となった。そのほか、中南米のシェアが0.34ポイント増と比較的大きく、米国市場への供給源としての地位上昇が反映された。

表2:商品別世界貿易に対する各国・地域間貿易のシェアの変化(2019年→2024年) 注1:太字は0.2ポイント以上の変化があった国・地域間。 注2:欧州にはロシアCIS諸国を含む。
輸出元 輸入相手
世界 アジア 日本 中国 ASEAN(10) オセアニア 米国 中南米 欧州 EU(27) 中東 アフリカ
世界 0.00 △ 0.27 △ 0.61 0.01 0.40 0.05 1.04 0.25 △ 1.50 △ 0.58 0.38 △ 0.07
アジア 1.72 △ 0.14 △ 0.30 △ 0.16 0.39 0.12 0.58 0.20 0.39 0.17 0.28 0.14
日本 △ 0.81 △ 0.45 0.00 △ 0.20 △ 0.14 △ 0.02 △ 0.16 △ 0.02 △ 0.14 △ 0.09 0.00 △ 0.01
中国 1.69 0.32 △ 0.13 △ 0.00 0.55 0.05 △ 0.04 0.21 0.59 0.21 0.26 0.15
ASEAN(10) 0.76 0.34 △ 0.08 0.29 △ 0.01 0.05 0.41 0.01 △ 0.05 △ 0.01 0.00 △ 0.00
オセアニア △ 0.06 △ 0.03 △ 0.02 △ 0.08 0.03 △ 0.02 0.01 0.00 △ 0.04 0.00 0.01 △ 0.00
米国 △ 0.13 △ 0.05 △ 0.06 0.03 0.06 0.00 0.00 △ 0.00 0.06 0.12 △ 0.06 △ 0.01
中南米 0.34 0.15 △ 0.01 0.11 0.04 △ 0.00 0.07 0.04 0.01 0.04 0.03 0.02
欧州 △ 2.14 △ 0.08 △ 0.13 0.09 △ 0.09 △ 0.03 0.12 0.01 △ 2.07 △ 0.95 0.15 △ 0.22
EU(27) △ 1.10 △ 0.47 △ 0.07 △ 0.22 △ 0.08 △ 0.02 0.16 △ 0.01 △ 0.74 △ 0.17 0.07 △ 0.11
中東 0.05 0.02 △ 0.07 0.04 △ 0.04 △ 0.01 △ 0.01 0.01 0.05 0.02 △ 0.02 0.01
アフリカ 0.02 △ 0.04 △ 0.01 △ 0.01 0.02 △ 0.00 △ 0.01 0.01 0.05 0.04 0.02 △ 0.01

注1:太字は0.2ポイント以上の変化があった国・地域間。
注2:欧州にはロシアCIS諸国を含む。

出所:Global Trade Atlas(S&P Global)から作成

次にサプライチェーン上の販売市場サイドに当たる輸入側では、米国が1.04ポイント増(13.1%→14.1%)となり、一国で最大の輸入国である同国市場の堅調ぶりが確認された。米国に次ぐ輸入国である中国はほぼ横ばいだった。その他地域では、ASEANが0.40ポイント増、中東が0.38ポイント増、中南米が0.25ポイント増と、グローバルサウス地域の市場拡大が目立った。これらの地域では、輸入元としていずれも中国からの輸入シェア拡大が際立っている。欧州は輸入においても世界シェアが1.50ポイント減少した。EUと英国間の貿易では、EUの対英国輸入が0.22ポイント減、英国の対EU輸入が0.30ポイント減と双方向で縮小傾向を示した。日本は0.61ポイント減だった。

全体として2019年と2024年の比較では、輸出においては中国やASEANをはじめアジア諸国からの輸出が拡大、輸入においては米国が強さを示した一方で、グローバルサウス地域が市場としての存在感を高めている。グローバルサウスは輸出においても、0.26ポイント増加したアラブ首長国連邦(UAE)、0.24ポイント増のブラジル、0.13ポイント増のインドなど、ASEAN以外でも総じてプラスを示しており、供給元の多元化が進む傾向を読み取れる。

WTOは「かつてないほどの多極化の時代」と分析

供給元の多元化について、バリューチェーンの再構成を指摘するWTOの分析を紹介したい。WTOがジェトロ・アジア経済研究所などと共同でとりまとめたグローバルバリューチェーン報告書2025年版(前掲の注1参照)では、近年のサプライチェーンの変化について、2020年以降、企業は効率性と強靱(きょうじん)性のバランスを重視し、特定サプライヤーへの集中を見直し、デジタルツールの活用に投資してより柔軟な企業運営を追求しており、そのような現在のバリューチェーンの再構成は、過去20年の中で最も多極化が進んだ状態となっていると分析する。国別に見ると、中国は以前から製造業の中心地であり続けているものの、世界の製造業における付加価値の割合は低減している。世界的に生産拠点の多元化が進み、ベトナム、メキシコ、ポーランド、トルコなどの国々が電機、機械、輸送機器といった産業での役割を拡大したとしている。

グローバルサウス諸国の中で、南米地域やアフリカは、双方合わせても世界の輸出額のシェアで5%程度にとどまるものの、企業が資源をはじめとする供給の安定性を確保する上で新たな地域拠点を模索する中、これらの地域がサプライチェーンに組み込まれる機会が創出されてきている点も指摘。南米地域は、巨大な北米市場への近接性の観点でニアショアリングへの関心が拡大、またアフリカでは重要鉱物や軽工業製品に対する需要が高まっているとした。

地政学リスクがもたらす世界貿易の潮流の変化

重要鉱物の供給確保を含め、昨今の地政学リスクの高まりを受けたサプライチェーンの多元化も進む。半導体産業やEV用を含むバッテリーなど産業別の動向は、本特集各論で紹介していく。一方、通商環境の面では米国の関税政策、サプライチェーン上のボトルネックとなり得る重要原材料の供給規制を含む保護主義的な措置は近年拡大の一途をたどる。各国の貿易投資阻害措置を監視するGlobal Trade Alertによれば、2025年に新たに世界で導入された貿易・投資を阻害する政策介入は3,723件と過去最多水準に達した(図2)。国別の阻害措置の導入件数は米国が716件で最大。米国の高関税を含む保護主義的措置を受けて、行き場を失う中国産品の流入急増に対する懸念の高まりも反映し、他国による阻害措置を被った件数では中国(1,224件)が最多となっている。特に対中国アンチダンピング措置は2024年には調査件数で過去最多の150件以上となった。

図2:貿易・投資を阻害する新たな政策介入の件数(世界計)
2014年は471件で、翌2015年以降は676、624、655件と横ばいで推移。2018年に1,000件を超え(1,283件) 、2,000件を超えた2020年(2,169件)以降は右肩上がりで、2022年に3000件を超えた(3,365件)。2025年は過去最多の3,723件となり、2014年の約8倍に達している。

出所:Global Trade Alert, ザンクトガレン貿易繁栄基金から作成

保護主義的な措置だけが対応策ではない。米貿易政策に対するレスポンスとしての自由貿易協定締結モメンタムの再燃の兆しもみられる。EUとメルコスール(南米南部共同市場)は2026年1月、交渉を開始した2000年から25年越しで自由貿易協定(EUメルコスール・パートナーシップ協定)に署名した。発効に向けてEU内部での手続きが難航するが、欧州委員会は早期の暫定適用に意欲を見せる(2026年3月4日付ビジネス短信参照)。またEUはインドと2026年1月に(2026年2月2日付ビジネス短信参照)、オーストラリアとも同年3月に(2026年3月27日付ビジネス短信参照)、それぞれ自由貿易協定交渉を正式に妥結した。インドはEUのほか、2025年7月に英国との自由貿易協定に署名、ニュージーランドとも2025年12月に交渉を完了するなど、2025年以降、貿易協定の締結に積極的な姿勢を示している。そのほか、グローバルサウス諸国の中ではアラブ首長国連邦(UAE)が2025年だけでチリ、セルビア、マレーシア、オーストラリア、ニュージーランドなど計8カ国との二国間貿易協定を発効させたほか、日本とも2026年3月に交渉妥結に至るなど、急ピッチで貿易自由化を進めている。

また、近年は包括的な自由貿易協定だけでなく、重要鉱物の確保や、デジタル貿易といった特定分野にターゲットを絞った協定も急速に増えている(注3)。WTOによれば2024年末時点で、デジタル貿易と重要鉱物の2分野だけでこうした合意は185件に上る。貿易自由化に主眼を置いた伝統的な貿易協定に比べ、これらの協定では規制協力など非関税障壁の管理を重視する点が特徴だ。

日本企業のサプライチェーン見直しの動き

地政学リスクは調達と販売を中心にサプライチェーン上の各事業活動に影響を及ぼす。ジェトロが2026年2月に発表した「第24回日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」(2026年3月10日付調査レポート参照)によれば、地政学リスクが影響する事業活動として「調達(輸入)」を挙げた企業が47.9%、「販売(輸出)」が45.8%、「物流」が36.8%と続いた。こうしたリスクも踏まえ、同調査で、今後1~2年の間に、調達・生産・販売・物流など自社サプライチェーンについて、見直しや再編を行う予定があるかをたずねたところ、9%が実施する、17.8%が検討すると回答、つまり実施・検討合わせて約4分の1強となった。回答企業のうち海外に拠点を有する企業に絞るとこの割合は32.5%で約3分の1となる。業種別では、見直しの実施と検討を合わせると、情報通信機械・電子部品と、自動車関連が約4割に上ったのをはじめ、精密機器、電気機械、一般機械と、機械関連の業種が上位に上がった。部品点数の多い業種での調達や、部品関係などで見直しが進むケースが多いことがうかがえる。

新規の調達先を企業が検討するに当たって、品質と価格以外で重視する要素として、「生産地または販売先との関係で地政学リスクが相対的に低い(安定性の高さ)」を52.1%が、「生産地・販売先への地理的近接性(輸送コストの低さ)」を48.6%が選択した。サプライチェーン見直しにおけるこれらの要素の優先順位の高さが確認された。

終わりに:高リスクが常態化する国際貿易環境

2025年に吹き荒れた米国関税措置の嵐は、年後半以降の主要国との2国間合意や、その後2026年2月20日に米国連邦最高裁で発出された、国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく関税を無効とする判決によって歯止めがかかったかに見えた。分断の危機に直面しつつかろうじて踏みとどまったかに見えたのもつかの間、2月末からの米国とイスラエルによるイラン攻撃に端を発し、世界の貿易はホルムズ海峡封鎖などの国際物流の混乱および原油などの価格高騰や供給不足といった難題に直面している。目下の情勢の先行きについては当面状況の見極めが必要だが、国際貿易にとって高リスクの時代が中長期にわたって継続することは否定できない。地政学リスクが一層高まる状況下で、日本企業、多国籍企業において本稿で示したような多元化の方向性を含むサプライチェーン見直しまたは「再構成」の潮流も続くとみられる。


注1:
WTO、ジェトロ・アジア経済研究所ほか、GLOBAL VALUE CHAIN DEVELOPMENT REPORT 2025(2025年) 本文に戻る
注2:
34カ国・地域は、日本、中国、香港、韓国、台湾、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、インド、オーストラリア、ニュージーランド、米国、カナダ、アルゼンチン、ブラジル、オーストリア、ベルギー、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、アイルランド、イタリア、ルクセンブルク、オランダ、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、英国、スイス、南アフリカ共和国。 本文に戻る
注3:
例えばシンガポールなど14カ国が2025年9月に立ち上げを発表した「投資と貿易の未来(Future of Investment and Trade)パートナーシップ(FITパートナーシップ)」(2025年9月22日付ビジネス短信参照)。 本文に戻る
執筆者紹介
ジェトロ調査部国際経済課長
安田 啓(やすだ あきら)
2002年、ジェトロ入構。海外調査部国際経済課、公益財団法人世界平和研究所(現・中曽根康弘世界平和研究所)研究員、ジェトロ・ブリュッセル事務所次長、調査部欧州課長などを経て、2025年から現職。