フォン・デア・ライエン委員長、EUメルコスールFTAの暫定適用の方針を発表
(EU、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイ、アルゼンチン、フランス、ポーランド、メルコスール)
ブリュッセル発
2026年03月04日
欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は2月27日、EUメルコスール協定の暫定適用に向けた手続きを進めるとの声明を発表した(プレスリリース
)。これは、26日のメルコスール加盟国であるウルグアイおよびアルゼンチンによる同協定の批准を受けたものだ。
同協定をめぐっては、2024年の政治合意(2024年12月10日記事参照)以降、EU内の利害関係の調整が難航したことから、批准手続きが遅れていた。EU理事会(閣僚理事会)は2026年1月、農業界の反発(2026年1月27日記事参照)を背景に同協定に反対するフランスやポーランドなどを押し切るかたちで同協定を承認。EUはメルコスール加盟国とともに同協定に署名した(2026年1月21日記事参照)。ところがその直後、今度は欧州議会が、同協定のEU条約との整合性に疑義があるとして、EU司法裁判所(CJEU)による審査を求めることを決議(2026年1月27日記事参照)。CJEUの判断が出るまで同意の採決を延期した。CJEUの審査は通常2年程度を要し、従来通商協定は欧州議会による同意の後に暫定適用されることから、同協定の適用開始の大幅な遅延が懸念されていた。こうした中で欧州委は、通商協定の「発効」には欧州議会の同意が必要であるが、「暫定適用」については必ずしも必要ないとの見解を示したことから、欧州委の判断に注目が集まっていた。
フォン・デア・ライエン委員長は今回、欧州議会の同意を待たずに暫定適用する方針を明確にしたことから、暫定貿易協定(iTA)は早期に暫定適用を開始する見込みとなった。「競争が激化し、不確実性が高まる世界において、同協定は戦略的な先行者利益をもたらすものであり、その利益は実現されなければならない」と述べ、早期の暫定適用の必要性を強調した。
ただし、政治専門紙「ポリティコ」は、欧州委が暫定適用を強行すれば、欧州議会や反対派のEU加盟国との関係悪化により、欧州議会が最終的に同協定の発効に同意しない可能性もあると指摘する。フォン・デア・ライエン委員長は、欧州議会や加盟国との緊密な協議を続けるとしているが、慣例に反し欧州議会の同意を待たずに暫定適用を開始すれば、議会軽視との批判を呼びそうだ。
(吉沼啓介)
(EU、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイ、アルゼンチン、フランス、ポーランド、メルコスール)
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