EUとオーストラリアがFTAで合意、ルールに基づく貿易重視の姿勢を鮮明に
(EU、オーストラリア)
ブリュッセル発
2026年03月27日
欧州委員会は3月24日、オーストラリアとの自由貿易協定(FTA)交渉が妥結したと発表した(プレスリリース
)。交渉は2018年に開始され、2023年の決裂を経て、8年越しで合意へと至った。FTAが発効すれば、EUの輸出品に課される関税の99%が撤廃され、オーストラリアの輸出品の98%が無関税となる。
欧州委のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長とオーストラリアのアンソニー・アルバニージー首相は共同声明で、今回のFTAは2国間の貿易と投資を強化するとともに、「開かれたルールに基づく貿易」へのコミットメントを一段と強めるものだと強調した。フォン・デア・ライエン委員長は、大国が関税を交渉材料とし、サプライチェーンを脆弱(ぜいじゃく)性として利用する国際情勢において、「開かれたルールに基づく貿易」はウィンウィンの結果をもたらすと述べ、信頼できる協定網を通じた貿易の多様化は、EUとオーストラリアが共有する「集団的強靭(きょうじん)性」につながると指摘した。
EU側の発表によれば、EUのほぼすべての輸出品に対する関税が撤廃される。ただし、鉄鋼の一部製品が対象外となる。また、自動車については関税が撤廃されるほか、オーストラリアが独自に課している高級車税についても、電気自動車(EV)の課税閾値(しきいち)が今後引き上げられることで、EU製EVの約75%は同税の対象外になる見通しだ。
EUにとって大きな成果となったのは、オーストラリア産のアルミニウム、リチウム、マンガンなど、重要原材料へのアクセスがこれまで以上に拡大する点だ。関税の引き下げのみならず、輸入独占や輸入税その他の制限措置が禁止され、投資機会や将来的な共同投資事業の可能性もより一層開かれる。
一方で、オーストラリアからの工業製品や鉱物資源など大半の輸出品についても、関税が撤廃される。特に恩恵を受けるのが農産食品だ。大半の農産食品で関税が撤廃されるほか、EUのセンシティブ品目についても、無関税あるいは低関税で利用可能な関税割当枠が引き上げられる。特に2023年の交渉決裂の一因になったとされる牛肉については、発効後10年間で関税割当枠が段階的に拡大され、最終的には従来比約8倍の3万600トンとなる。また、羊肉、砂糖、乳製品、コメについても、割当枠が拡大される。さらに、EUが保護する地理的表示(GI)に関し、一部のオーストラリア産品によるパルメザンやフェタなどの名称の使用が引き続き認められる。
今後の批准手続きは、オーストラリア側の手続きのほか、EU側はEU理事会(閣僚理事会)の承認と欧州議会の同意が必要となる。
(吉沼啓介)
(EU、オーストラリア)
ビジネス短信 ac45ee35320cde89






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