石油発見で潤う国内経済
急成長を遂げる南米の新興国ガイアナ(1)
2025年12月12日
2020年の石油生産開始以降、急速な勢いで発展を遂げている南米の新興国ガイアナ。近年、目覚ましい成長を続ける同国における日本企業の新たなビジネス機会の創出を目指し、ジェトロは2025年10月22~23日、ガイアナにビジネスミッションを派遣した。本稿では、成長著しいガイアナの概要と経済の実態、政府の投資誘致政策などについて紹介する。また次稿では、ジェトロが実施したビジネスミッションの様子や、実際にガイアナを訪問して浮かび上がった、現地のビジネス環境の実態について報告する。そして最終稿では、ガイアナで豊富なビジネス経験を有する日系企業へヒアリングを実施し、現地での経験や、ガイアナの評価、ビジネスを進める上での課題などについて紹介する。
南米にありながら英語圏、カリブ諸国との結びつきが強い国
ガイアナ協同共和国(Co-operative Republic of Guyana、以下、ガイアナ)は、現地住民の言葉で「水が豊富な土地」を意味しており、国土の大半が熱帯雨林に覆われ、豊かな生態系を有している国だ。南米北部の大西洋沿岸に位置し、ブラジル、ベネズエラ、スリナムと国境を接している(図1参照)。面積は21万5,000平方キロメートルで、日本の本州(約22万8,000平方キロメートル)より少し小さい。ガイアナは1966年の独立まで英国の植民地だったことから公用語は英語である。一部でクレオールガイアナ語が話されているが、日常的には英語での会話に支障はない。英国領だった影響は人種構成にも表れている。約4割が東インド系と、南米では珍しく印僑が最大で、次いでアフリカ系が約3割を占める(表1参照)。これは他の中南米諸国がたどった歴史と同様に、ガイアナにおいても砂糖プランテーションの労働力としてアフリカから奴隷を連れてきたこと、その後の奴隷制廃止によって、ガイアナではインド移民を労働力として受け入れた歴史に由来する。街中では、インド風の家屋やインド料理レストラン、小売店などがみられ、ヒンドゥー教の祭日も祝われている。南米はスペインやポルトガルに支配されてきた歴史から両国との言語・文化・宗教的な結びつきが強いが、ガイアナは南米にありながら旧英国領のカリブ海地域諸国との結びつきが強い。カリブ海地域の経済統合を目指すカリブ共同体(CARICOM、通称カリコム)にも加盟しており、その本部はガイアナの首都ジョージタウンにある。
出所:ジェトロ作成
| 指標 | 内容 |
|---|---|
| 人口 | 82万5,051人 |
| 首都 | ジョージタウン |
| 公用語 | 英語 |
| 宗教 | 主にキリスト教、ヒンドゥー教、イスラム教など |
| 面積 | 21万5,000平方キロメートル |
| 民族 | 東インド系(39.8%)、アフリカ系(29.3%)、混血(19.9%)、先住民族(10.5%)、 |
| 名目GDP | 247億米ドル(2024年) |
| 実質GDP成長率 | 43.6%(2024年) |
| 1人当たり名目GDP | 3万654.6米ドル(2024年) |
| インフレ率 | 2.9%(2024年) |
| 為替レート |
1米ドル=217.4ガイアナ・ドル (2025年第2四半期期中平均) |
| 失業率 | 12.4%(2024年) |
| 輸出額(FOB価格) | 197億9,000万米ドル(2024年、暫定値) |
| 輸入額(CIF価格) | 68億2,000万米ドル(2024年、暫定値) |
| 主な輸出相手国 | オランダ、米国、英国(2024年上位3カ国) |
| 主な輸入相手国 | 米国、トリニダード・トバゴ、中国(2024年上位3カ国) |
| 主な輸出品目 | 原油、金 |
| 主な輸入品目 | 燃料および潤滑油、鉄鋼製品、機械 |
| 対内直接投資額(フロー) | 86億3,000万米ドル(2024年) |
出所:ガイアナ投資庁「INVESTMENT SNAPSHOT」、IMF「World Economic Outlook database」、ガイアナ統計局(Bureau of Statistics)、ガイアナ中央銀行「Annual Report 2024」、国連貿易開発会議(UNCTAD)「World Investment Report 2025」、ガイアナ統計局「Population and Housing Censuses 2012」からジェトロ作成

販売する店舗(ジェトロ撮影)

石油生産開始を機に急成長、1人当たり名目GDPは日本と同水準に
続いて、ガイアナの経済状況について見ていく。2024年の名目GDPは247億ドルで他の中南米諸国と比べると未だ規模は小さく、ボリビアの半分だ(表2参照)。一方、近年の経済成長のスピードは目を見張るものがある。石油生産が始まった2020年以降、前年比2桁の経済成長を続けており、2022年は63.3%と驚異的な数字を記録した(図2参照)。この5年間で経済規模が約5倍にまで成長した(注1)が、2025年の成長率は10.3%との予測値が出ており、いったん10%台に落ち着くとみられている。1人当たりの名目GDPは3万962ドルで、比較的人口が少ないため、他の中南米諸国よりも高い金額となっており、日本(3万2,443ドル)とほぼ変わらない。また、ガイアナの1人当たりGDPを購買力平価で換算すると、8万3,604ドルとさらに高くなり、世界で11番目に高い国・地域になる(表3参照)。これにはガイアナ・ドルの対米ドル為替レートが実態よりも低く評価されたり、石油による急速なGDP成長で、実質的な購買力が高く反映されたりしている可能性がある。
| 国名 | 名目GDP | 1人当たり名目GDP |
|---|---|---|
| ブラジル | 2,179.4 | 10,252 |
| メキシコ | 1,856.4 | 14,034 |
| アルゼンチン | 637.2 | 13,523 |
| コロンビア | 418.8 | 7,948 |
| チリ | 330.2 | 16,439 |
| ペルー | 294.7 | 8,650 |
| エクアドル | 124.7 | 6,939 |
| コスタリカ | 95.4 | 17,909 |
| パナマ | 86.5 | 19,187 |
| ウルグアイ | 81.0 | 23,186 |
| ボリビア | 47.0 | 3,822 |
| パラグアイ | 44.5 | 6,456 |
| ガイアナ | 24.7 | 30,962 |
| 日本 | 4,019.4 | 32,443 |
出所:IMF「World Economic Outlook database」からジェトロ作成
注:2025年は予測値。
出所:IMF「World Economic Outlook database」からジェトロ作成
表3:世界の1人当たりGDP(購買力平価換算)ランキング (単位:米ドル)
| 順位 | 国名 | 金額 |
|---|---|---|
| 1 | リヒテンシュタイン | 195,977 |
| 2 | シンガポール | 150,908 |
| 3 | ルクセンブルク | 149,987 |
| 4 | アイルランド | 133,987 |
| 5 | マカオ | 128,211 |
| 6 | カタール | 116,616 |
| 7 | ノルウェー | 103,733 |
| 8 | スイス | 95,155 |
| 9 | ブルネイ | 91,437 |
| 10 | 米国 | 86,145 |
| 11 | ガイアナ | 83,604 |
| 12 | デンマーク | 81,806 |
| 13 | オランダ | 81,354 |
| 14 | サンマリノ | 80,358 |
| 15 | 台湾 | 80,091 |
| 16 | アラブ首長国連邦 | 79,253 |
| 17 | アイスランド | 78,937 |
| 18 | 香港 | 75,541 |
| 19 | マルタ | 75,339 |
| 20 | ベルギー | 73,609 |
出所:IMF「World Economic Outlook database」からジェトロ作成
急速な発展を遂げているガイアナの経済構造はどうなっているのか。ガイアナの産業別GDP構成比率(2024年)(表4参照)を見ると、「石油・ガス・関連サービス」がGDP全体のうち66.7%を占めており、石油関連産業が現在のガイアナ経済を支えていることがわかる。ただし、歴史的に石油産業が盛んだったわけではない。直近10年の産業別GDP比率の推移(図3参照)を見ると、2015年にはGDPの約5割を「サービス」が、約3割を「農業・林業・漁業」が占めていた。石油生産が開始された2020年以降、「石油・ガス・関連サービス」は右肩上がりにその比率を拡大し、極めて短期のうちに国の経済を支える基幹産業となった。石油産業の足元の成長スピードも驚異的で、直近2024年の「石油・ガス・関連サービス」の成長率は前年比67.1%の伸びを記録している。
| 産業 | GDP全体に占める割合 | 前年比 |
|---|---|---|
| 農業・林業・漁業 | 7.8 | 14.2 |
サトウキビ栽培
|
0.2 | 22.6 |
米栽培
|
1.3 | 16.4 |
その他の作物栽培
|
4.3 | 9.3 |
畜産
|
1.2 | 46.9 |
林業
|
0.5 | △ 3.3 |
漁業
|
0.4 | 7.6 |
| 鉱業・採石 | 71.4 | 65.0 |
ボーキサイト
|
0.2 | 107.2 |
金
|
2.3 | 26.3 |
その他の鉱業・採石業
|
2.1 | 51.8 |
石油・ガス・関連サービス
|
66.7 | 67.1 |
| 製造業 | 1.7 | 7.4 |
砂糖
|
0.1 | 16.7 |
米
|
0.4 | △ 9.1 |
その他製造業
|
1.2 | 13.5 |
| 電気供給 | 0.3 | 38.3 |
| 上下水道 | 0.1 | 10.3 |
| 建設 | 4.7 | 28.4 |
| サービス | 14.8 | 12.0 |
卸売・小売・修理業
|
2.5 | 12.7 |
輸送・倉庫業
|
1.1 | 11.0 |
宿泊・レストランサービス
|
0.2 | 16.0 |
情報・通信業
|
0.7 | 3.8 |
金融・保険業
|
1.5 | 19.8 |
不動産
|
2.1 | 4.9 |
専門技術サービス
|
0.2 | 32.8 |
管理・サポートサービス
|
2.6 | 11.2 |
公共サービス・行政
|
2.1 | 10.5 |
教育
|
1.2 | 21.9 |
福祉・社会事業
|
0.5 | 11.5 |
芸術・娯楽
|
0.1 | 14.6 |
その他サービス
|
0.1 | 7.7 |
出所:ガイアナ中央銀行「Annual Report 2024」
出所:ガイアナ中央銀行「Annual Report 2024」
石油産業発展を支える米・エクソンモービル
ガイアナの石油産業を語る上では、米国系石油メジャー、エクソンモービルがカギとなる。エクソンモービルは、2019年にガイアナ沖合のStabroek鉱区の権益を取得、同鉱区において、最初のLiza油田が発見され、2019年12月から同社最初のプロジェクト「Liza Phase 1」として、ガイアナでの石油生産が始まった。2025年8月に、同社は4番目のプロジェクト「Yellowtail」での石油生産を開始したことで、現在4つの油田において石油が生産されている(表5参照)。また2026年以降は、最終投資決定を終えている「Uaru」「Whiptail」「Hammerhead」の3つのプロジェクトが生産開始を控えている。そのほか、8番目のプロジェクト「Longtail」は、ガスやコンデンセート開発が主力で、2030年の操業を目指し、現在は環境影響評価を受けている。エクソンモービルは、これら8つのプロジェクトによって、2030年までに日量約170万バレルの石油生産を見込んでいる。
| プロジェクト名 | ステータス | 生産開始 | 生産能力(当初⇒生産最適化後) |
|---|---|---|---|
| Liza Phase 1 | 生産中 | 2019年12月 | 約12万⇒約16万バレル/日 |
| Liza Phase 2 | 生産中 | 2022年2月 | 約22万⇒約26.5万バレル/日 |
| Payara | 生産中 | 2023年11月 | 約22万⇒約26.5万バレル/日 |
| Yellowtail | 生産中 | 2025年8月 | 約25万バレル/日 |
| Uaru | 最終投資決定済み | 2026年 | 約25万バレル/日 |
| Whiptail | 最終投資決定済み | 2027年 | 約25万バレル/日 |
| Hammerhead | 最終投資決定済み | 2029年 | 約15万バレル/日 |
| Longtail | 環境影響評価中 | 2030年 | 約25万バレル/日(注) |
注:「Longtail」プロジェクトではガスとコンデンセート開発が実施される予定で、表に記載の生産能力はコンデンセートの生産能力。
出所:エクソンモービルの各種発表、報道を基にジェトロ作成(2025年11月11日執筆時点)
ガイアナでは、石油生産の収益を天然資源基金(Natural Resources Fund, NRF)で管理、運用している。2021年天然資源基金法によれば、同基金は天然資源から得られる富を、現在および将来の国民の利益のために、効果的かつ効率的な方法で管理することを目的に設立され、インフラ整備、教育、医療、気候変動対策、中小企業支援、現金給付など国家開発の優先事項に利用される。天然資源基金の四半期レポートによれば、2024年の原油およびロイヤルティー収入は約5,354億ガイアナ・ドル(約3,962億円、1ガイアナ・ドル=約0.74円で計算)とされ、2025年は6,847億ガイアナ・ドルの収入を見込んでいる。ガイアナ政府による国民への還元の例として、現政権が復活させた学童向けの現金給付プログラム「Because We Care」がある。同プログラムでは、全国20万5,000人の学童を対象に、1人当たり年間5万5,000ガイアナ・ドル(制服手当を含む)を支給する。2025年の1人当たりの支給額は、前年から1万ガイアナ・ドル増加したが、イルファーン・アリ大統領は2025年8月に同プログラムの1人当たり支給額を10万ガイアナ・ドルに引き上げ、加えて交通費として10万ガイアナ・ドル、合わせて学童1人当たり年間20万ガイアナ・ドル(約14万8,000円)を支給すると発表した。2025年9月に控えていたガイアナ大統領選挙を見据えた選挙戦略だった可能性もあるが、大胆な支給額の引き上げができるほど、石油収入の恩恵を受けていることが読み取れる。
物価は先進国並みの水準
急速な発展を遂げるガイアナでは、物価が先進国並みの水準になっている。筆者がガイアナを訪問した2025年10月23日時点では、マクドナルドが進出していないため、ビッグマック指数(注2)で比較できないが、物価の参考例として世界中に店舗を構えるケンタッキー・フライド・チキン、バーガーキング、スターバックスの商品の値段を比較する。まず、フライドチキンを好む国民性から、ガイアナで人気が高く店舗数も多いケンタッキー・フライド・チキンのハンバーガー単品で比較すると、日本では「チキンフィレバーガー」が440円(2025年11月13日時点)、ガイアナでは1,280ガイアナ・ドル(約947円)と倍以上の値段で販売されている(表6参照)。一方で、「オリジナルチキン2ピースセット」で比較すると、日本は1,030円、ガイアナでは1,680ガイアナ・ドル(約1,243円)だが、ガイアナではサイドメニューが日本より1点多く選択できるため、サイドメニュー1点の差(日本のケンタッキーでは290円分)を加味すると両国にそれほど大差はない。バーガーキングの「ワッパー」は日本では590円、ガイアナでは1,340ガイアナ・ドル(約992円)、スターバックスコーヒーの「カプチーノ(トールサイズ)」は日本で495円、ガイアナで1,200ガイアナ・ドル(888円)だ。商品によっては日本と同程度のものもあるが、実際に筆者が現地に出張した際の体感として、ガイアナの物価は日本よりもかなり高いと感じる場面が多かった。
| 商品名 | ガイアナ・ドル | 円貨換算 |
|---|---|---|
| ケンタッキー・フライド・チキン「チキンフィレバーガー」単品 | 1,280 | 947 |
| ケンタッキー・フライド・チキン「オリジナルチキン2ピースセット」 | 1,680 | 1,243 |
| バーガーキング「ワッパー」単品 | 1,340 | 992 |
| スターバックスコーヒー「カプチーノ(トールサイズ)」 | 1,200 | 888 |
| スターバックスコーヒー「キャラメルフラペチーノ(トールサイズ)」 | 1,400 | 1,036 |
| 日本食レストラン「チキンラーメン」 | 3,600 | 2,664 |
| 水(500ml) | 75 | 56 |
| ビール(CORONA EXTRA、 355ml) | 500 | 370 |
| リンゴ | 320 | 237 |
| ポテトチップス(Ray's Classic 6.5oz) | 1,000 | 740 |
注:1ガイアナ・ドル=0.74円で円貨を算出。
出所:現地の店舗で記載されていた金額(2025年10月23日時点)

日本の自動車が走り、建機が稼働する国
日本は現在、ガイアナに在外公館を設置しておらず、在トリニダード・トバゴ日本大使館がガイアナを兼轄している。同様に、日本にガイアナの在外公館もなく、中国から日本を兼轄している。外務省の海外進出日系企業拠点数調査の2024年調査結果(令和6年10月1日現在)によると、ガイアナに進出する日系企業の拠点数は1社とされている。進出日系企業の主な活動として、三井海洋開発がエクソンモービルの「Uaru」と「Hammerhead」の2つのプロジェクト向けにFPSO(注3)プロジェクトを受注している。2025年7月には同社ガイアナ拠点の開所セレモニーが開催された。オニージ・ウォルロンド前観光・産業・商業相が出席し、「国家建設におけるパートナーとして歓迎する」と述べ、同社の事業に期待を寄せている。
そのほかに目立った日本企業の動きはないが、街を歩くと、道路には日本の自動車が走っていたり、工事現場には日本のメーカーの建機が稼働していたりと、日本製品が国民の生活を支えている様子がうかがえる。旧英国領だった名残から道路交通は左側通行で、右ハンドルの日本車がよく走っており、ガイアナの対日輸入の貿易統計を見ても、乗用車やトラック、バスなどの輸入が多い(表7参照)。
表7:ガイアナの対日貿易品目上位10品目(HSコード6桁ベースで抽出)
| 順位 | 品目 | 金額 |
|---|---|---|
| 1 | 乗用車(シリンダー容積1,000㎤~1,500㎤、HS:870322) | 113,415,886 |
| 2 | 乗用車(シリンダー容積1,500㎤~3,000㎤、HS:870323 | 25,276,524 |
| 3 | 貨物自動車(車両総重量5トン以下、ディーゼル/セミディーゼルエンジン、HS:870421) | 15,127,735 |
| 4 | 10人以上の人員の輸送用自動車(ディーゼルエンジン搭載、HS:870210) | 13,678,814 |
| 5 | 貨物自動車(車両総重量5トン~20トン、HS:870422) | 11,118,566 |
| 6 | 鉄鋼製の管および中空の形材(その他ステンレス鋼、HS:730424) | 5,326,553 |
| 7 | 貨物自動車(車両総重量5トン以下、ガソリンエンジン、HS:870431) | 4,309,043 |
| 8 | 鉄鋼製の管および中空の形材(その他、HS:730429 | 4,165,619 |
| 9 | 乗用車(シリンダー容積3000㎤~、HS:870324) | 3,816,708 |
| 10 | 10人以上の人員の輸送用自動車(その他、HS:870290) | 3,658,979 |
| 順位 | 品目 | 金額 |
|---|---|---|
| 1 | アルミニウム鉱(HS:260600) | 4,042,507 |
| 2 | 液体の流量または液位の測定、検査用機器(HS:902620) | 37,341 |
| 3 | 生きている動物(霊長類、HS:010611) | 10,742 |
| 4 | 木材(HS:440929) | 10,151 |
| 5 | 生きている動物( その他、HS:010619) | 6,989 |
| 6 | 生きている動物( 爬虫類、HS:010620) | 2,453 |
| 7 | マイクロメーター、パスおよびゲージ(HS:901730) | 2,110 |
| 8 | コック、弁その他これらに類する物品(その他、HS:848180) | 1,558 |
| 9 | 不特定品目(HS:999999) | 1,160 |
| 10 | 床用敷物およびマット(HS:401699) | 594 |
出所:Global Trade Atlasからジェトロ作成

戦略的に産業の多角化を図るガイアナ政府
石油産業で急速な発展を遂げるガイアナだが、ガイアナ政府は石油に依存しない持続可能で戦略的な経済発展に向けた産業の多角化・強靭(きょうじん)化を目指し、あらゆる産業の投資に前向きな姿勢を示している。政府は自国の気候安全保障、食料安全保障、エネルギー安全保障、グローバライゼーションを促進するため、農産品加工などのアグリビジネス、高付加価値品の製造業、再生可能エネルギー関連、デジタルトランスフォーメーション、物流、インフラ、エコツーリズムなどさまざまなセクターを、優先的な投資誘致分野としている。また、ガイアナの投資誘致機関である、ガイアナ投資庁のウェブサイト上では、各カテゴリーの具体的な投資機会についても触れられている(表8参照)。
| カテゴリー | 高いポテンシャルが見込まれる投資機会 |
|---|---|
| 気候安全保障 |
|
| 食料安全保障 |
|
| エネルギー安全保障 |
|
| グローバライゼーション |
|
出所:ガイアナ投資庁ウェブサイトからジェトロ作成
セクター別に、投資優遇措置(インセンティブ)も用意されている(表9参照)。内容を見ると、ビジネス活動で使用する物品に係る付加価値税(VAT)や輸入関税などの免税措置が設けられている。一方で、重点投資誘致セクターには、税制優遇や補助金が設定されている。例えば、農業加工関連、再生可能エネルギー、ICT(情報通信技術)関連、石油・ガス関連機器に関する投資は、税制優遇が受けられるようだ。基幹産業であるエネルギーセクターでは補助金の支給があり、エネルギー関連の小規模事業者や、石油・ガス関連機器の現地製造工場の設立に適用される。
ガイアナ政府は、急速に発展する産業を下支えする現地人材の育成にも注力している。例えば現政権の政策として、2025年1月から、ガイアナ大学(University of Guyana)の学士、修士、博士課程に在籍する全てのガイアナ人学生の授業料は廃止され、国民に質の高い高等教育が受けられる環境を整備するとともに、現地の産業界に必要とされる人材を送り込んでいる。実際に、同大学の優秀な学生を取り込むため、進出日系企業の三井海洋開発はガイアナ大学と協定を締結し、正式雇用につながるインターンシップの機会を同大学の学生に提供するなど、優秀な現地人材確保に向けたリクルート活動を行っている。このようにガイアナ政府は、豊富な石油収入をテコにして、重要セクターへのインセンティブ提供や、現地人材の開発を両輪で進め、自国産業の多角化と強靭化を戦略的に進める姿勢を見せている。
| セクター | インセンティブの例 |
|---|---|
| 林業 |
|
| 鉱業 |
|
| 農業 |
|
| エネルギー産業 |
|
| 製造業 |
|
| 観光業 |
|
| 情報通信技術(ICT)、サービス業 |
|
出所:ガイアナ投資庁ウェブサイトからジェトロ作成
- 注1:
- 2024年の名目GDPは2019年比で4.8倍になった。
- 注2:
- 世界各国で販売されているマクドナルドの商品「ビッグマック」の値段を比較することで、各国の経済力、物価水準、為替レートの適正水準などを比較できる指標。
- 注3:
- Floating Production, Storage & Offloading system(浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)の総称。
- 執筆者紹介
-
ジェトロ企画部企画課海外地域戦略班(中南米担当)
小西 健友(こにし けんゆう) - 2022年、ジェトロ入構。調査部米州課中南米班でメキシコや、ブラジルを中心とするメルコスールの政治・経済の調査を担当。2024年9月から現職。




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