特集:変わりゆく中東とビジネスの可能性革新的な医薬品販促に向けアステラス製薬が拠点を設立(サウジアラビア)

2022年6月23日

アステラス製薬(本社:東京都中央区)は、サウジアラビアでの医薬品販売を皮切りに、医薬品製造の合弁会社設立など、早くからサウジアラビア市場への進出を果たしている日本企業の1つだ。成長が見込める当地市場でのさらなる販売促進に力を入れるため、2021年4月にTSOステータス(注1)のリヤド事務所を開設した。


アステラス製薬のオフィス開所式、中央がレオン・ムーア氏(同社提供)

2022年6月6日にリヤドで開催された同社のサウジアラビア事務所開所式典出席のため、当地を訪問していた同社の国際市場を管轄するレオン・ムーア社長(President of International Markets Commercial)に、リヤド事務所開設の狙いや背景について話を聞いた。


式典で祝辞を述べるレオン・ムーア氏(アステラス製薬提供)
質問:
これまでの対サウジアラビアビジネスは。
答え:
当社の対サウジアラビアビジネスの歴史は非常に長い。当社は山之内製薬と藤沢薬品工業の合弁により誕生した企業だが、前身企業によるサウジアラビアでの最初の製品登録は1975年にさかのぼる。その後、1996年に他社パートナーとともにSAJA(注2)として医薬品製造分野に参入し、2014年にはさらなるビジネス拡大のために人員を増加させた。そして、今般の新たな拠点設立に至った。
質問:
SAJAとしてのサウジアラビアでの事業に加え、今回新たに拠点を設立した理由は。また、今後の活動予定は。
答え:
アステラス製薬には、ヘルスケアの最前線に立つこと、特にがん治療や遺伝子治療などの分野で、患者の皆さまに対して価値を提供できる革新的な医薬品開発の最前線に立つことなど、将来に向けた非常に明確なビジョンがある。われわれのこのビジョンに沿うと、増加する人口、サウジアラビア政府による国家改革計画「ビジョン2030」の下でのヘルスケア分野へのコミット、イノベーションの進展などの観点から、今回のサウジアラビアでの新たな拠点設立を通じて、さらなる革新的な医薬品をサウジアラビア市場に届けることが非常に合理的な次のステップだったと考えている。サウジアラビア拠点は、マーケティング、医薬品登録、医薬分野の認知度向上、技術・知識移転などの幅広い機能を果たす予定だ。
質問:
SAJAと新拠点が担う製品のデマケーションは。
答え:
SAJAは、泌尿器や腎臓、肝臓などの臓器移植時の免疫抑制剤などの領域をカバーしている。新法人はSAJAとのパートナーシップを継続しつつ、がん治療や遺伝子治療など、SAJAとは異なる領域の製品をカバーする。
質問:
サウジアラビア市場の潜在性は。
答え:
何よりも人口が増加しており、ヘルスケア分野、医薬品市場も拡大している点で、潜在性は高いとみる。診断を含むヘルスケアインフラも向上している。
質問:
サウジアラビア市場の難しさは。
答え:
この分野の企業や業界として重要なのは、医薬品登録、イノベーションに挑む医薬品製造事業者にとって適切な価格設定、知的財産保護の環境が整備されているかなどの点だ。当地市場に投資を継続していくに当たって、これらの点でサウジアラビア政府と引き続き協力していく。
医療・医薬品分野では、2021年4月の同社の進出に続き、2022年2月には医療分野でシスメックスも当地に進出を果たしており、エネルギー部門以外での日本企業の貴重な進出案件が続いている。

注1:
TSOは「Technical and Scientific Office」の略で、商業活動が制限された、いわゆる駐在員事務所に相当する。
注2:
アステラス製薬の前身の山之内製薬と第一三共が地場企業とともに設立した医薬品製造の合弁企業。
執筆者紹介
ジェトロ・リヤド事務所
柴田 美穂(しばた みほ)
2004年、ジェトロ入構。海外調査部(中東アフリカ課)、企画部(中東・アフリカ担当)、農林水産・食品部を経て2018年8月より現職。

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