1. サイトトップ
  2. 海外ビジネス情報
  3. 地域・分析レポート
  4. 特集
  5. 高度人材の宝庫ロシア:魅力と課題
  6. 外国人に向けた日本の魅力発信に意欲(ロシア)

特集:高度人材の宝庫ロシア:魅力と課題外国人に向けた日本の魅力発信に意欲(ロシア)
日本企業で働くロシア人高度人材にインタビュー

2020年12月4日

日本全国でリゾートホテルを運営する大和リゾート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。海外で優秀な外国人高度人材の採用活動を進め、これまでにロシア人材を9人採用してきた。そのうちの1人が、ロイヤルホテル那須営業部フロント担当のエフゲニヤ・キットチェンコ氏だ。入社するまでの経緯、日本就労の魅力や困難について聞いた(9月9日)。


ロイヤルホテル那須営業部フロント担当のエフゲニヤ・キットチェンコ氏(大和リゾート提供)
質問:
自己紹介を。
答え:
2018年4月に入社した。ロイヤルホテル那須外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(栃木県那須町)に配属され、フロント業務のほか、外国人客向けの通訳・翻訳業務、地方産品を全国に販売するECプロジェクトに携わっている。
モスクワ出身で、ロシアの一流大学である高等経済学院東洋学部を卒業。東アジアの経済、特に日本経済を専門とし、大学入学後に日本語学習を開始した。日本に興味を持ったきっかけはアニメやゲーム。
初めて日本を訪れたのは、大学在学中の2011年の夏。夏休みを活用して3カ月間、京都の語学学校に通った。日本は初めての海外渡航先で、最初は不安だった。しかし、治安が良い国であることに大変驚いた。その後、2012年の夏休みにも日本語学校に通うために来日し、2014年には大学の交換プログラムで日本に滞在した。
2015年に大学を卒業した後、いったんは家族が経営している会社に就職した。しかし1年で退社し、その後、英国のケント大学院に留学した。大学院では、日露交流に関する政治分野でのマスメディア報道比較を研究。プーチン大統領や安倍首相(当時)がそれぞれ相手国でどのように報道されたか、特にロシア語メディアにおける日本の取り上げられ方について研究した。日露関係の研究にもかかわらず英国に留学した理由は、どちらかの国にいた場合、客観的な分析が難しいと考えたためだ。
質問:
日本企業に就職した理由は何か。
答え:
日本企業への就職を決めた理由は、研究をきっかけに日本の企業文化に興味関心を持ったこと。また、論文執筆を進める中で日本についてもっと勉強したいと思ったためだ。
就職活動は英国で行った。旅行が好きなため、観光と日本に関係する仕事を切り口として求人を探していたところ、たまたま大和リゾートが英国で採用説明会を実施することを知り、応募した。
入社を決めた理由は、日本に住むことができ、フロントだけでなく幅広い業務を経験できるなど、外国人従業員であっても成長できる機会が豊富なためだ。さらに、観光を通じて、大好きな日本の魅力を外国人に伝えたいという思いもあった。
2017年5月に内定をもらい、11~12月に在留許可が下りて日本に渡航。2018年4月に入社した。
質問:
日本での就労に当たって、どのような魅力を感じているか。逆に苦労は。
答え:
日本とロシアでの雇用・就労環境を比較すると、給与水準では同程度だ。しかし、雇用の安定性は日本の方が高い。また、健康保険をはじめとする福利厚生が充実している。
他方、苦労したのは、外国人からすると当たり前でない仕事もやらなくてはならないことだ。社内の細かいルールを理解することが難しく、また、合理的でないルールを変えたいと思ったときに、誰に提案したらよいかわからないこともある。
質問:
生活面での苦労はあるか。
答え:
銀行口座の開設、携帯電話の契約、海外で取得した運転免許証の切り替え、自動車保険の加入手続き、納税などだ。東京では英語で手続きできるところもあるようだ。しかし、私が居住する那須では日本語を使わないと手続きできない。言語以外の面でも、携帯電話の契約をはじめ日本では一般的なルール・制度・慣習であっても、外国では当たり前でないものがある。そうしたことを理解するのに苦労した。
運転免許証についても、取得国によって日本で運転するために必要な試験が異なる。例えば、イタリアで取得する場合は視力テストだけで十分だが、ロシアの場合は筆記試験と技能試験が求められる。このほか、自動車保険の加入方法や自動車税の納付方法もよくわからなかった。
これらは、日本語があまり上手でなかった訪日直後に手続しなくてはならず、苦労した。もっとも、職場の人たちが丁寧にサポートしてくれた。私の職場の外国人の同僚はハンガリー人、タイ人、台湾人、イタリア人と国籍などはバラバラだが大変仲が良く、何か困ったことがあればいつでも助けてくれる。
質問:
日本の魅力は何か。
答え:
いくつかあるが、1つ目は食事。日本国内各地にはそれぞれおいしい料理があるだけでなく、イタリアンをはじめさまざまな外国料理店も国内の至るところにあり、気軽に食べることができる。ロシア料理店は少ないが、自宅で調理できるので、特に不満はない。
2つ目は、交通網が整備されており、どこへでも気軽に旅行できることだ。新幹線のみならず飛行機や高速バスなどもあり、どこにでも行くことができる。ロシアにも観光名所はたくさんあるが、道路事情が悪く、シベリアの奥地まで到達するのは困難だ。自家用車で旅行できるのは、せいぜいロシア西部だけだった。このほか、24時間営業しているコンビニが至る所にあるのも大きな魅力だ。
質問:
今後の目標は。
答え:
当面は仕事に精を出し、日本語レベルを高めたい。入社当時はほとんどしゃべることができなかったが、毎日、就業時間の80%は日本語を使っているため、どんどん上達している。日本語能力に関する資格は特に有していないが、今年の冬に日本語能力試験(JLPT)N2(2級)にチャレンジしたいと考えている。
執筆者紹介
海外調査部欧州ロシアCIS課 課長代理
齋藤 寛(さいとう ひろし)
2007年、ジェトロ入構。海外調査部欧州ロシアCIS課、ジェトロ神戸、ジェトロ・モスクワ事務所を経て、2019年2月から現職。編著「ロシア経済の基礎知識」(ジェトロ、2012年7月発行)を上梓。

この情報はお役に立ちましたか?

役立った

役立たなかった

ご質問・お問い合わせ