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特集:高度人材の宝庫ロシア:魅力と課題自身の体験をもとに外国人の日本就職を支援(ロシア)
日本企業で活躍するロシア人高度人材にインタビュー

2020年12月4日

キャリアバンク外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます は、ロシア人を含む外国人の日本での就職支援、日本企業の外国人受入支援などに注力している。その事業を主導しているのが、同社の海外事業部で活躍するロシア人社員、オリガ・キム氏だ。日本での就労に至るまでのエピソードや現在の仕事内容、日本で就職したい外国人留学生へのアドバイスについてインタビューした(8月13日)。


キャリアバンク株式会社海外事業部 オリガ・キム氏(キャリアバンク提供)
質問:
自己紹介を。
答え:
キャリアバンク(本特集記事「雇用にあたり、ロシア人求職者と日本企業のすり合わせが重要」参照)に新卒入社して6年目。ユジノサハリンスク出身の韓国系ロシア人3世だ。生まれたころから日本ブランドの自動車や家電製品に囲まれ、幼少期より日本に親近感を持っていた。中学校時代には夜間の日本語コースに参加し、日本の童謡が好きな先生の下で「ふるさと」といった歌を通じて日本語を学んだ。初めての訪日は高校時代。ホームステイで日本に滞在した。大変きれいな国で、人々がとても親切で、こんな素晴らしい国があるのか、と思った。
高校卒業後、サハリン国立総合大学日本語学科に入学。5年生の時から1年半、北海道のサハリン事務所で働いた。大学卒業後に、北海道大学大学院に留学し言語学を専攻した。
質問:
日本での就職活動はどうだったか。
答え:
日本での就職活動は非常に苦労した。苦労点はいくつかある。まず、スケジュールだ。大学院生にとって、修士課程1年目は単位の取得が必要な重要な時期に当たる。その一方、この時期に就職活動を開始しなければならない。私自身、気づいたときには修士課程の1年目が終わっており、望ましい就活スケジュールから2~3カ月程度遅れてしまっていた。
次に、企業情報の入手だ。ロシア人を採用したい企業を探したが、そのような会社がどこにあるのかわからなかった。日本企業に外国人を採用する可能性があるかどうか尋ねても、曖昧な返事しかもらえないことが多かった。現在では、官庁・自治体が外国人留学生を対象に就職支援イベントを開催している(私の仕事の1つでもある)。しかし、私の就活当時はそういったものはなかった。加えて、日本人と同じ土俵で活動しなくてはならず、エントリーシート(ES)の作成や適性検査(SPI)対策に苦労した。最終的に内定をいくつかもらうことができたが、応募から選考、内定に至るまでの期間が長く大変だった。
質問:
御社に出会ったきっかけは。
答え:
合同会社説明会で知った。当時ロシアでは人材紹介会社という業種自体が知られてなく、なじみがなかった。しかし、いつか私の就職活動の経験を生かして外国人留学生を支援できるようになりたいという夢を持ち、入社した。入社当時は、当社に外国人社員はいなかった。今ではロシア人の私以外に、中国人、ベトナム人、インドネシア人の同僚ができた。とてもうれしく感じている。
質問:
現在の担当業務について。
答え:
現在の主な担当業務は(1)外国人を採用したい企業へのコンサルティング、(2)官公庁・自治体が行う外国人受け入れ・多文化共生関連事業の運営、(3)日本語学校の生徒募集、の3つだ。 (1)については、企業に獲得したい人物の要件やイメージをヒアリングし、在留資格の取得可否をはじめとする情報提供やマッチングを行っている。(2)は、厚生労働省や北海道庁、宮城県庁などが実施主体の官公庁事業。入札に参加し、提案書作成の段階から携わる。事業を受託できたら、全体の運営・管理やセミナー講演を担当する。(3)は、当社連結子会社の日本語学校の生徒募集のため、ロシア、韓国、フィリピンなどの国に向けてプロモーションするものだ。
質問:
日本での就職を希望する外国人留学生に対してアドバイスしていることは。
答え:
3点ある。
まず、就職活動の把握とそれに向けた準備。これが最も重要だ。日本の就職活動は他国と比べると特殊でスケジュールが細かく決まっている。すなわち、なるべく早いうちに就職活動を始めないとこれに乗り遅れてしまう。
次に、日本語能力の向上だ。学生のうち磨いておいた方がよい。外国人留学生の中には日本語が上手な学生がたくさんいるので、その中で自分が選ばれるためにも、ビジネスで使えるぐらいの日本語を習得しておくのが望ましい。
3つ目は、日本の文化を知っておくこと。留学生は勉学だけに励んでいる例が多い。しかし、学校の勉強だけでは日本の文化や社会を理解するのが難しい。できれば、部活やアルバイトを経験してほしい。そういった社会勉強は、就職先を選ぶ際にも就職した後も大きく役に立つに違いない。

外国人向け合同企業説明会ガイダンスでの講演の様子(キャリアバンク提供)
質問:
日本の就労環境に違和感はあるか。ロシアと比べてどうか。
答え:
日本とロシアの就労環境には、良いところ、悪いところの両面がある。比較は難しいが、私が今いる環境はとても恵まれていると感じる。上司や同僚が仕事熱心で私自身も常に成長していかないといけない。そういう良いプレッシャーの中で毎日仕事ができるためだ。
質問:
生活面で困ったことはあったか。
答え:
外国人だと、住宅賃貸契約を断られるケースが多い。私自身も私の友人も、家探しの際に何件か断られたことがあった。銀行口座開設も、外国人だと審査が厳しい。 もっとも、それ以外では、特に苦労することはなかった。
質問:
今後の目標について。
答え:
海外事業部の地域的な重点は、北海道や東北地方だ。これら地域をベースとしながらも、将来は日本全国を対象に外国人支援事業を実施し、可能な限り日本で就職する外国人を増やしていきたい。
外国人留学生の多くは、日本での就職を希望している。しかし、就労先が決まらずに帰国するケースが多いのが実情だ。また、私が抱える外国人の部下を、外国人としての特性を生かしつつ日本人の同僚と同じように活躍ができる人材に育て上げることが目下の目標だ。
執筆者紹介
海外調査部欧州ロシアCIS課 課長代理
齋藤 寛(さいとう ひろし)
2007年、ジェトロ入構。海外調査部欧州ロシアCIS課、ジェトロ神戸、ジェトロ・モスクワ事務所を経て、2019年2月から現職。編著「ロシア経済の基礎知識」(ジェトロ、2012年7月発行)を上梓。

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