中東・アフリカにおける物流とインフラプロジェクトの動向を探る積み替え需要で伸びる西アフリカの主要物流拠点、トーゴのロメ港

2026年3月6日

トーゴは西アフリカの沿岸国で、西をガーナ、東をベナンに挟まれた南北に細長い国だ。2024年の人口は日本の神奈川県とほぼ同じ約930万人で、1人当たりGDPはネパールと近い水準の1,052ドルだ。トーゴは人口が少なく国内市場の規模も小さいが、西アフリカ地域におけるハブ港として域内最大だ。最大水深16.6メートルのロメ港は、200万TEU以上(1TEUは20フィートコンテナ換算)のコンテナ取扱量のうち約8割が積み替え貨物で、アフリカ全体でも第4位の貨物量を取り扱っている。

日本の外務省の統計によると、トーゴに設立された日系企業拠点はなく、在留邦人も10人以下だ。しかし、ベナンを挟んだ東側にあるナイジェリアは2億人を超える人口を有し、西側のガーナやコートジボワールはカカオや金の産出国であることから、日系企業の注目はトーゴの周辺国にも集まっている。

本稿は、西アフリカのギニア湾沿岸地域の接続性と港湾の状況について概要を説明し、トーゴのロメ港について現地取材(2026年1月)を元に紹介する。

アビジャン-ラゴス回廊高速道路計画と、整備が進む港湾

西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)は、コートジボワールの経済都市アビジャンから、ガーナのアクラ、トーゴのロメ、ベナンのコトヌーを経由してナイジェリアの経済都市ラゴスを結ぶ約1,000キロメートルにもおよぶ「アビジャン-ラゴス回廊高速道路」の建設を計画している(図参照)。西アフリカのギニア湾沿岸諸国の主要都市と港湾を結ぶ回廊を拡張・整備しなおし、ブルキナファソやニジェール、マリといった内陸国の港湾アクセスを強化することが狙いだ。アフリカ・インフラ開発プログラム(PIDA)によると、実現可能性(FS)調査を2018年に開始し、2027年頃に建設開始、2033年末頃の建設完了を見込んでいる。

図:アビジャン-ラゴス回廊高速道路計画
「アビジャン-ラゴス回廊」は、西アフリカ沿岸の主要港湾と都市を結ぶ回廊。コートジボワールのアビジャンから、ガーナのアクラ、トーゴのロメ、ベナンのコトヌーを通り、ナイジェリアのラゴスへ至る。

注1:図はおおよその位置を示す。
注2:変更や中止となる場合もあるため、詳細・最新状況については、個別に確認する必要がある。
出所:GlobalData からジェトロ作成

この回廊で接続性向上を見込む港は、どれも各国の貿易を支える主要港で、拡張プロジェクトや新規開港が進んでいる。例えば、ガーナのテマ港は拡張のため2016年に16億ドル規模の投資が行われ、近年のアフリカ港湾投資の中でも金額上位の大型案件となった(2024年7月1日付ビジネス短信参照)。2023年には、ナイジェリアのラゴスから20キロメートルほど東のレッキに最大水深16.5メートルの深海港が開港し、今後取扱貨物量が増加すると見込まれている(2025年1月9日付地域・分析レポート参照)。アビジャン港は、2022年に新規コンテナターミナルが稼働開始し、コンテナ取扱量は倍増している。こうした西アフリカの港湾について、アフリカ・ファイナンス・コーポレーション(AFC)は、マリ、ニジェール、ブルキナファソといった内陸国の物流需要増加が投資の要因になっているとした。西アフリカでは、200万TEU前後の港が1,000キロメートルのギニア湾岸沿いに並び、各港が内陸国への物流玄関口や積み替え港としての優位性を確保すべく、拡張を進めて港湾機能を拡大している状態だ。

地域最大、コンテナ取扱量240万TEUのロメ港

トーゴの首都ロメは、ガーナとの国境沿いのギニア湾に面した都市で、ロメ港はロメの中心部から車で15~30分程度のアビジャン-ラゴス回廊沿いにある。通勤・帰宅ラッシュの時間にはロメ市街地の交通量は多少増えるが、4車線(片側2車線)で舗装された回廊は渋滞が少なく、特に日中はスムーズに通行できる。


回廊の道路の様子(ジェトロ撮影)

ロメ港は1960年代にドイツとの経済技術協力協定を基に開港された港だ。現在はトーゴ当局のロメ自治港湾局(Port Autonome de Lomé、PAL)が港湾全体の運営管理を行っている。近代化と拡張が進み、最大深度16.6メートル、コンテナ取扱量はロメ自治港湾局へのヒアリングによると240万TEUと、西アフリカ最大のコンテナ取扱港だ。

コンテナは、中国からの輸送が最も多く、中身は食糧や電化製品、日用品などだ。ブルキナファソやニジェール、マリなど内陸国向けのコンテナもロメ港で陸送に積み替えられ、港から車で30分ほどの内陸部にあるPIA工業団地で一時保管されたのち、各国へトラック輸送される。


ロメ・コンテナ・ターミナル(LCT)の様子(ジェトロ撮影)

コンテナターミナルは、トーゴ・ターミナルとロメ・コンテナ・ターミナル(LCT)の2種類がある(表参照)。トーゴ・ターミナルの方が早くから操業を開始したが、LCTを運営する海運大手のMSCグループはアジア~西アフリカの物流をLCTに集約し、同港からフィーダー船で周辺国に輸送する戦略拠点化を進めている。取材時の2026年1月には、面積やクレーンの数でトーゴ・ターミナルを上回り、LCTがロメ港の主要ターミナルとして機能していた。

表:ロメ港のターミナル概要
項目 トーゴ・ターミナル ロメ・コンテナ・ターミナル(LCT)
面積 36ヘクタール 58.6ヘクタール
長さ 450メートル 1,050メートル
深さ 15メートル 16.6メートル
岸壁ガントリークレーン 4基 11基
ヤードクレーン 12基 32基

出所:当局資料からジェトロ作成

ロメ港には、72メートルもしくは366.6メートルの一般貨物向け岸壁が4バース、140メートルもしくは250メートルのコンテナ船向け岸壁が2バース備わっており、鉱物と石油の積載船向けに1バースずつ整備されている。倉庫・保管エリアとして、60万平方メートル以上の中古車向け駐車場や、11万5,000平方メートルの倉庫区画、10万平方メートルの民間向け倉庫区画などが設置されている。貨物は港の横を通る回廊からトーゴ国内や周辺国へトラック輸送されている。

港湾関係者へのヒアリングによると、フランス語圏の物流業者や輸入業者は、英語圏のガーナやナイジェリアの港ではなく、ロメ港を使用する傾向があると述べた。また、他の西アフリカの主要港と比較すると港湾使用料が安価であり、大型コンテナ船の受け入れが可能な水深である点で、優位性があるとした。

一方で、毎年増加するコンテナ取扱量に対してキャパシティーが追い付いていない点は課題だ。港の運営管理を行うロメ自治港湾局は、LCTドックの拡張や、鉱物の物流需要に対応するための鉱物埠頭(ふとう)の近代化や拡張など、ロメ港の開発を引き続き進めていきたい、としている。

西アフリカの主要港としてさらなる拡大へ

トーゴ政府は、内陸国への接続性を向上させるため、ロメ港からブルキナファソ国境地域につながる鉄道などのインフラ投資を予定し、ロメ港を起点にした物流を強化していく方針だ。

ロメ港の貨物取扱量増加は、現状、マリ、ブルキナファソ、ニジェールといったサヘル地域の内陸国の需要が牽引しているが、これら3カ国はクーデターなど政情が不安定で通関のハードルも高い。日系企業にとっては3カ国への物流拠点としてのロメ港の魅力は大きくないかもしれず、西アフリカはアフリカの他の地域と比較すると日系企業の進出はまだ少ない。しかし、ECOWAS加盟国とマリ、ブルキナファソ、ニジェールの3カ国を合わせた(注)人口は約4億7,000万人で、アフリカ大陸の人口の3割以上を占めている。今後、西アフリカ地域の人口増加と経済発展により、さらなる物流需要増加が見込まれることから、ロメ港は大型コンテナ船とフィーダー船をつなぐ深水港として、ガーナやコートジボワール、ナイジェリアといったギニア湾沿岸諸国の物流を支える港になる可能性がある。将来的にアフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)の普及が進み、通関のハードルが下がれば、比較的製造業が発展した南アフリカ共和国やエジプト、モロッコなどで製造後、大型コンテナ船でロメへ輸送し、回廊を利用して陸路で輸送できるようになる可能性がある。拡張プロジェクトや新規開港が相次ぐ西アフリカで、国土の小さいトーゴが物流でどのように周辺国と差別化していくのか注目だ。


注1:
ECOWAS加盟国は、ベナン、カーボベルデ、コートジボワール、ガンビア、ガーナ、ギニア、ギニアビサウ、リベリア、ナイジェリア、セネガル、シエラレオネ、トーゴ。ギニアビサウは加盟国だが2025年11月から参加資格停止。ブルキナファソ、マリ、ニジェールはクーデター後、2025年1月にECOWASを脱退した。 本文に戻る
執筆者紹介
ジェトロ・アビジャン事務所
長屋 幸一郎(ながや こういちろう)
2007年、ジェトロ入構。アジア経済研究所、ジェトロ香川事務所、ジェトロ・パリ事務所、農林水産食品部、ジェトロ大阪本部、デジタルマーケティング部を経て、2025年6月よりジェトロ・アビジャン事務所長。
執筆者紹介
ジェトロ・アビジャン事務所
安藤 佳耶(あんどう かや)
2023年、ジェトロ入構。イノベーション部ビジネスデベロップメント課にて対日投資支援、オープンイノベーション事業を担当。2025年8月から現職。コートジボワールを中心とした西アフリカ地域の事業運営や調査を担当。
執筆者紹介
ジェトロ調査部中東アフリカ課
坂根 咲花(さかね さきか)
2024年、ジェトロ入構。中東アフリカ課で主にアフリカ関係の調査を担当。