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特集:アフリカにおける日本食ビジネスの可能性日本産食品の輸出と主要国における日本食の動向(アフリカ)
サバなど魚類が中心で酒類も増加、徐々に高まる日本食への認知度

2021年5月12日

日本産食品は欧米やアジア向けに広く輸出され、日本食レストランや日本発の外食サービス産業も現地で高い人気を誇る。日本政府が掲げる日本産食品の輸出目標達成に向けては、アフリカなど新興国向けにも食品輸出や企業進出が拡大すれば一層効果的だろう。

一方、アフリカでは日本車は多くの国で有名で高いシェアを占めるが、日本食や日本産食品は従来あまり知られていないのが実状だったといえよう。新型コロナウイルス禍でアフリカの多くの国も経済的に打撃を受けたが、ここ数年は経済成長や所得水準の向上に伴い、旺盛な消費意欲が見られ、食生活を含めたライフスタイルが変化しつつある国も多い。そうした変化を受け、日本食への認知度も以前に比べれば徐々に高まっているようだ。

本稿では、日本産食品のアフリカ向け輸出動向とアフリカ主要国の日本食事情について紹介する。

輸出品目はサバなど魚類が大半を占める

日本からアフリカへの食品輸出額は、2018年まで右肩上がりで順調に増加し、2015年の約7,000万ドルに比べ2018年は約1億8,000万ドルと約2.6倍を記録した(表1)。しかし、2019年と2020年は2年連続で前年比減となった。2019年は、主要輸出品目の魚類が前年比32.6%減と大きく減少したことが影響した。2020年は魚類の減少に加え、新型コロナ禍によりアフリカを含む多くの国で経済活動が停滞し、貿易も縮小したことが背景にあるとみられる。IMFによると、2020年のサブサハラ・アフリカのGDP成長率はマイナス1.9%だった(2021年4月12日付ビジネス短信参照)。

(単位:ドル、%)(△はマイナス値、-は値なし)
品名 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 割合 前年比
魚ならびに甲殻類など 64,570,772 86,951,402 149,242,059 170,840,700 115,122,613 93,915,673 91.0 △18%
酪農品、鳥卵、天然蜂蜜など 41,837 118,024 287,467 42,208 0.0 皆減
食用の野菜、根および塊茎 90,447 133,329 95,316 86,775 72,615 75,240 0.1 3.6%
食用の果実およびナットなど 14,143 0.0
コーヒー、茶、マテおよび香辛料 188,097 211,802 148,355 377,873 607,126 192,404 0.2 △68.3%
肉、魚または甲殻類などの調製品 3,177,002 5,834,424 3,290,596 4,718,256 5,300,227 6,270,511 6.1 18.3%
糖類および砂糖菓子 2,186 0.0 皆減
ココアおよびその調製品 1,740 0.0
穀物、穀粉、でんぷんまたはミルクの調製品など 148,557 192,386 187,136 236,956 295,061 233,555 0.2 △20.8%
野菜、果実、ナットなどの調製品 46,735 93,125 67,674 57,031 73,835 27,075 0.0 △63.3%
各種の調製食料品 1,513,079 1,680,693 1,437,907 1,846,352 2,031,683 1,778,110 1.7 △12.5%
飲料、アルコールおよび食酢 187,516 292,919 228,948 944,813 1,406,165 696,946 0.7 △50.4%
合計 69,938,088 95,431,917 154,816,015 179,396,223 124,953,719 103,189,514 100.0 △17.4%

出所:GTA(財務省貿易統計)を基にジェトロ作成

品目別には、魚類が圧倒的な存在感を示し、2020年の輸出額のうち91.0%を占めた。魚類の輸出相手国の上位は、エジプト、ナイジェリア、ガーナ、モーリシャス、南アフリカ共和国の順となっている(表2)。中でもエジプトとナイジェリアは、全世界でもアジアの3カ国に次ぐ4位、5位と上位に当たる。

表2:日本からアフリカなどへの国別魚類輸出(単位:ドル)(-は値なし)
国名 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
(ベトナム) 95,629,354 91,359,572 109,608,377 112,681,524 126,476,619 164,179,873
(タイ) 120,761,150 91,219,948 114,296,648 167,350,668 132,014,850 159,442,716
(中国) 77,797,583 58,040,829 56,313,396 55,273,547 60,479,426 56,027,010
エジプト 34,893,081 26,736,815 39,701,119 46,772,087 27,006,152 23,565,620
ナイジェリア 295,705 7,923,558 48,570,582 51,861,503 53,409,774 18,550,145
ガーナ 5,161,326 16,229,608 25,428,554 26,498,976 6,542,305 13,990,971
モーリシャス 649,933 3,900,887 4,823,999 9,712,209 8,599,630 9,561,044
南アフリカ共和国 9,711,329 11,224,059 13,526,609 12,894,586 7,323,192 7,389,837
コートジボワール 2,288,221 3,493,492 3,264,521 8,404,631 971,590 3,860,229
タンザニア 420,735 2,601,243 1,550,132 2,570,070 52,611 2,570,581
ルワンダ 139,895 535,403 304,755 2,293,125
ベナン 347,859 2,170,862 1,939,682 1,298,320 206,149 2,266,367
ブルキナファソ 1,148,891 3,308,893 246,353 1,083,876

出所:GTA(財務省貿易統計)を基にジェトロ作成

魚種としては、サバが魚類全体の7割強を占め、次いでイワシが約12%だった。ナイジェリアやガーナでは、川商フーズのサバ缶が「GEISHA」ブランドで1950年代から販売されている(2019年10月29日付ビジネス短信参照)。

2019年は、日本国内のサバ漁獲量が前年比17.9%減と大きく減少した(農林水産省)。その余波を受けて、輸出も減少したものとみられる。日本のサバ輸出先としては、2019年はナイジェリアが全世界で1位だった。アジア向けに輸出されるサバは加工用が多いのに対し、ナイジェリアやガーナ、エジプトなどには冷凍の小型サバが輸出され、直接消費されることが多い。

近年はウイスキー中心にアルコール輸出が増加

魚類と同調製品以外では、アルコールもこの数年、アフリカ向け輸出が年々増加してきた(表3)。2015年の約11万ドルから、2019年には約128万ドルまで約11.6倍と急増した。2020年は新型コロナ禍により多くの国でアルコール販売が一時的に禁止され、大幅減につながったとみられる。それでも、ウイスキーは前年比でほぼ倍増するなど大きく伸びた。輸出先としては、2020年は南ア1カ国が9割以上を占めたが、2019年はナイジェリアやガーナなどにも輸出されていた。日本酒(清酒)も2019年は約10万ドルと、2015年に比べ約42%増加した。日本酒の2019年の輸出先は南アが約6割を占め、次いでケニアが約2割だった。これまでも東アフリカのウガンダで日本酒の試飲会が開かれるなど、普及に向けた取り組みが行われている(2019年8月28日付ビジネス短信参照)。

表3:日本からアフリカへのアルコール輸出(単位:ドル)(-は値なし)
品名 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
ウイスキー 8,349 58,954 441,740 231,288 447,794
ジンおよびジュネバ 104,886 837,327 88,347
その他のアルコール飲料 11,661 16,058 20,675 29,647 48,109 16,852
リキュールおよびコーディアル 1,655 4,905 9,018 17,785 15,938 3,668
ぶどう酒など 3,241
清酒 70,671 183,614 76,054 96,349 100,274 51,422
その他の発酵酒など 3,542
エチルアルコールおよび変性アルコール 19,303 23,227 19,940
ビール 9,686 28,028 1,861 30,428 26,153 7,403
その他のぶどう酒およびぶどう搾汁 16,942 2,524
合計 110,615 244,496 172,327 740,138 1,282,316 635,426

出所:GTA(財務省貿易統計)を基にジェトロ作成

日本食店や認知度は漸増傾向、食材確保に奮闘

ジェトロがアフリカ主要国の日本食の普及状況について調査したところ、日本食レストランや食材取扱店はまだ多くはないものの、徐々に増加傾向にあるようだ(添付資料)。南アではチェーン展開する店を含めれば、600~700店舗が日本食を提供し、アフリカ域内では一歩先んじている。エジプトやチュニジアでも、30前後の店舗で日本食を楽しめるようだ。各国とも新型コロナ禍で外食産業は大きな打撃を受け、閉店を余儀なくされる日本食レストランがある一方で、2020年に新たに出店する動きも散見された。新型コロナ対策で外出自粛が課された際には、フードデリバリーサービスなども活用して苦境に立ち向かう姿もあった。

既述のように、日本からの食品輸出は品目や数量に限りがあることから、現地の店舗関係者からは、食材の入手に苦労しているとの声が多かった。今後、日本食を現地でさらに広めていくためにクリアすべき課題だろうし、食材のニーズはある故に商機があるとも考えられる。本特集のインタビューでも、調味料やコメ、日本酒、菓子類など幅広い日本食材への関心が示された。

商流は国により事情が異なり、専門輸入商社や欧州経由での輸入、現地に根付くレバノン人コミュニティーのルート、日本のサプライヤーとの個人的なつながり、現地での食材調達など、それぞれが創意工夫して日本食に必要な食材を入手している状況が浮かんできた。少ないとはいえ、日本食材取扱店は増加傾向にあり、以前に比べれば入手しやすくなったとの声も聞かれた。また、新型コロナ禍を反映し、世界的なコンテナ不足による物流への影響に対する懸念も指摘された。

アフリカでは純粋な日本食はまだ限られており、必ずしも正しくは理解されていないとしても、すしを中心に日本食への認知度や関心は高まっているようだ。アニメや漫画など日本の文化をきっかけに、日本食に興味を持つケースも見られる。提供されているメニューは引き続きすしが多いものの、最近は日本式カレーやお茶漬け、創作料理など取り組みが多様化している。

日本食のさらなる普及に向けては、日本の食材や調味料を生かしつつ、現地の好みを考慮したアレンジが有効との指摘が多かった。また、アフリカ各国でも健康やヘルスケアへの関心が高まっている。日本食にはヘルシーとのイメージがあり、新たな顧客開拓に向けたきっかけの1つとなりうるだろう。

各国事情の詳細については、本特集の国別レポートをご参照いただきたい。

なお、チャンスと同時にリスクに留意することも必要で、今もなくならない国際詐欺には注意したい。ジェトロのウェブサイトでも、国際詐欺の代表的な事例や対策を紹介している。

執筆者紹介
ジェトロ海外調査部主査(アフリカ担当)
小松﨑 宏之(こまつざき ひろし)
1997年アジア経済研究所(当時)入所、総務部、研究企画部。1999年ジェトロ企画部へ異動。その後、貿易開発部、国際機関太平洋諸島センター出向、展示事業部、ジェトロ高知所長、ジェトロ・ナイロビ事務所長、ジェトロ大阪本部を経て、現在に至る(アフリカ担当)。

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