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特集:アフリカにおける日本食ビジネスの可能性日本食は寿司が人気の中心、輸入規制に撤廃の動きも(エジプト)
新型コロナで外食市場は27%縮小するも、収束後の回復に期待

2021年5月12日

エジプトでは、食事は伝統的に家庭内で食事をとることが多い。イスラム教の断食月「ラマダン」の夕食は、自宅に家族や親族が集い食事をとる習慣もある。一方で、サンドイッチやエジプトの国民食コシャリなどを提供する飲食店もあり、また、余暇をカフェなどで友人と過ごす人もいる。日本食などを扱う高級レストランは、ホテルやショッピングモールなどに入り、中間層よりは外国人観光客や富裕層を狙った価格帯が多い。

コロナ禍で食材は輸入減も今後に期待

日本食のメニューは寿司(すし)が中心で、寿司関連食材は海外産も使われており、醤油(しょうゆ)は海外産が流通し、中国やタイ産の海苔(のり)、生姜(しょうが)、わさび(チューブや粉わさび)などが輸入食材店や富裕層向けスーパーで販売されている。日本からエジプトへの食品の輸出は大半が冷凍サバであり、その他もイワシなどの冷凍魚類に限られる。なお、エジプトでは日本米をもとに品種改良したコメを100年以上前から生産しており、現在も現地産のコメがパンやパスタと並ぶ主食の1つとして食べられている。

このような環境下での、現在の日本食材の輸入状況、課題、今後の可能性について、現地で高級ホテルなどに日本食材を含む輸入食材を卸す、食品輸入業者に話を聞いた(2021年3月29日)。

質問:
コロナ禍で日本食材の輸入状況に変化は。
答え:
新型コロナウイルスによる外食産業への打撃を受けて、海外産食品の輸入を続けていても取引量が減っているケースもあり、新規の商談は減っている。(新型コロナ前は)寿司関連食材を探していたが、日本からの輸入品はエジプトでは富裕層向けの価格帯となるため、取扱量は限られてしまう。
質問:
日本食材を輸入するにあたり課題と今後の可能性は。
答え:
食品の輸入には日本産に限らず、以前から手続きや書類が多い。また、エジプト到着後に温度管理が必要な場合、自前の温度管理物流が必要となるなど、一定のハードルはある。しかし、まだ日本食が広くは浸透していないエジプトでは、近年になって寿司に人気が出たように、他の日本料理への興味喚起、訴求ができれば、市場拡大のチャンスもあると感じている。

原発事故に伴う日本からの輸入規制が撤廃

2020年11月、エジプト政府は、2011年から続く東日本大震災による原発事故に伴う輸入規制を撤廃し、以前よりも日本産品の輸入はしやすくなった。他方で、食の安全を監督する国家食品安全庁(National Food Safety Authority : NFSA)が設立され、一般的な食品流通に関するルールは強化されている。なお、人口1億人のうち9割がイスラム教徒のため、牛や豚など動物由来の食品を販売する際はハラール認証を取得するなど留意が必要である。食品輸入規制については、ジェトロの調査(2016年時点)を参照。

参考:農林水産省「エジプトによる日本産食品の輸入規制の撤廃について外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
参考:ジェトロレポート「エジプト食品輸入規則(2016年3月)

寿司レストランが多いが、現地流アレンジ料理も

英国調査会社ユーロモニター・インターナショナルによると、2020年時点でエジプトには、フルサービスレストラン・ファストフード・カフェ・バー・フードスタンドなどを含む飲食店数は前年比5%減の約3万8,000店舗となり、うちアジア系レストランは201店舗(前年比12店減)だった。

日本食レストランは寿司をメインにした店が多く、新型コロナ前までは日本食レストランの数は増加傾向にあった。本格日本食レストランでは「牧野」がエジプトでは数少ない本格的な日本食を提供している(2020年11月12日付地域・分析レポート参照)。「Mori Sushi」は最も店舗数が多く、ショッピングモールなどに十数店舗チェーン展開をしている。その他、「Fuego Grill & Sushi」も数店舗を展開、また、単独店舗でも店名に「Sushi」を冠する店が多い。

エジプトシェフ協会(ECA)は、プロのシェフ向けに日本食講座を定期的に開催しており、高いニーズや人気がうかがえる。一方で、現地系の日本食レストランでは、裏巻き寿司(カリフォルニアロールなど)、甘い味付けやマヨネーズを使った刺し身や寿司、「天ぷら寿司」(巻き寿司の天ぷら)など、現地で独自にアレンジされた料理が多い。寿司ネタもサーモン、マグロ、タコなどに限られる。観光客の減少により高級レストランを利用する客は減少したものの、一部の現地系日本食レストランでは、エジプト人の富裕層やアッパーミドル層などでにぎわうレストランもある。

新型コロナで飲食店数は減少、収束後は増加の予測

エジプトでは、新型コロナの影響により2020年に、飲食店は一時期営業停止措置が取られ、売り上げが大きく落ち込んだ。ユーロモニター・インターナショナルによると、エジプトの外食市場は、2019年に1,151億エジプト・ポンド(約8,057億円、1ポンド=約7円)だったが、2020年には843億エジプト・ポンドとなり前年比27%縮小。「フルサービス・レストラン」(ファストフード・カフェ・バーなどを除く飲食店)の店舗数は、2020年に前年比14%減の3,128店舗と減少した。

一方で、新型コロナが収束に向かえば、毎年約7%の増加が見込まれ、2025年には約4,300店舗になると予測されている。コロナ禍では、ピザチェーン店など配達割合が多い業種はある程度影響を免れたほか、オンラインデリバリーサービスの活用が増え、飲食店における「配達・持ち帰り・ドライブスルー」利用の割合は、2019年の34.9%から、2020年は47.9%にまで増加した。


エジプトの日本食レストラン、日本食材取扱店

(1) 主な日本食レストラン
レストラン名 住所 Web site/
SNS
備考
Makino 21 Mohamed Mazhar Street Zamalek, Cairo Governorate. Facebook外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
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本格的な日本料理店。原則として現地調達、一部日本産食材も利用。メニュー:すし、刺し身、天ぷら、ラーメン、そば、居酒屋メニュー、日替わりメニューも提供。
Shogun InterContinental Cairo Citystars Hotel, Omar Ibn El Khattab Street Facebook外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
 
日本食レストラン。鉄板焼き、焼うどん、カツカレー、みそ汁、天ぷら、麺類、すし、刺し身など。原則として現地調達、すし関連食材は国外産日本食材も扱う。
Sapporo Galae Square Dokki, Giza, Egypt Facebook外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
 
日本食レストラン。すし、刺し身、麺類など。多くが現地調達、すし関連食材は国外産日本食材も扱う。
Kazoku Swan Lake Compound,
1st Settlement, New Cairo, Cairo, Egypt
ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます 日本食レストラン。すし、刺し身、焼き物、裏巻きなど。多くが現地調達、すし関連食材は国外産日本食材も扱う。
Mori Sushi 24 Abd El Moniem Hafez St., Almaza, Heliopolis, Cairo.
※10店舗以上チェーン店舗展開
ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます 日本食レストランチェーン。刺し身、すし、みそ汁のほか、現地アレンジしたすし、細巻きなど。多くが現地調達、すし関連食材は国外産日本食材も扱う。
Fuego Grill And Sushi Bar New Cairo - O1 mall, Mohamed Naguib Axis.
※多店舗展開
Facebook外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
 
日本食レストラン多店舗展開。握り・裏巻き・手巻きなどのすし、刺し身、現地アレンジしたすしなど。多くが現地調達、すし関連食材は国外産日本食材も扱う。
Jo Sushi 47 Mohamed Mazhar st., El Zamalak, Cairo, Egypt Facebook外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
 
日本食レストラン。麺類、焼きそば、天ぷら、すし、刺し身、みそ汁、豆腐など。現地アレンジの物も。多くが現地調達、すし関連食材は国外産日本食材も扱う。
Arigato 6 October City, Giza Governorate, Egypt Facebook外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
Instagram外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
 
日本食レストラン。握り、裏巻き、細巻きなどのすし、現地アレンジしたすし、鉄板焼きなど。多くが現地調達、すし関連食材は国外産日本食材も扱う。
Zi Sushi 9 Ahmed Sami el Saeed Square El batal Ahmed abd el aziz, Mohandiseen, Cairo. Facebook外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
 
日本食レストラン。天ぷら、ちらし・細巻きなどのすし、現地アレンジした天ぷらすしなど。多くが現地調達、すし関連食材は国外産日本食材も扱う。
Izakaya Palm Central, Giza Governorate, Egypt ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます 日本食レストラン。枝豆、さけタルタル、照り焼きなど。 現地アレンジ料理も。
多くが現地調達、すし関連食材は国外産日本食材も扱う。
Umami Sushi & Teppanyaki Square - Pyramids, Al Remaya, Kafr Nassar, Al Haram, Giza, Egypt Facebook外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
 
日本食レストラン。鉄板焼き、刺し身、すし、みそ汁。現地アレンジ料理も。多くが現地調達、すし関連食材は国外産日本食材も扱う。
Torii The Gateway To Sushi And Teppanyaki Cairo Marriott Hotel 16 Saray El Gezira, Zamalek ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます 日本食レストラン。すし、刺し身、鉄板焼き、天ぷら、ラーメン、うどん、そば、みそ汁。現地アレンジ料理も。多くが現地調達、すし関連食材は国外産日本食材も扱う。
(2) 主な日本食材取扱小売店(国外産日本食材が大半)
店名 業態 Web site/
SNS
備考
Gourmet Egypt 輸入食材店。数店舗展開、配達拠点やECサイトも。 ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます しょうゆ、のり、わさび、しょうがなど国外産のすし関連食材は数種類。その他、国外産のパック豆腐、乾麺など。
Sunny Super Markets 外国人居住区の富裕層向け食材店。  
 
しょうゆ、のり、わさび、国外産のすし関連食材など。国外産のうどん、そばなどの乾麺なども在庫があるときも。
Oscar Stores 多店舗展開の欧州系スーパー。 ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます しょうゆ、のりなど国外産のすし関連食材など数種類。そのほかにみそなど。
Metro Markets 現地スーパーチェーン。 ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます しょうゆ、のりなど国外産のすし関連食材など数種類。

注:2021年3月31日時点。
出所:公開情報を基にジェトロ作成

執筆者紹介
ジェトロ・カイロ事務所
井澤 壌士(いざわ じょうじ)
2010年、ジェトロ入構。農林水産・食品部農林水産企画課(2010年~2013年)、ジェトロ北海道(2013~2017年)を経て現職。貿易投資促進事業、調査・情報提供を担当。

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