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特集:アフリカにおける日本食ビジネスの可能性成長途上の外食産業、日本食市場の現状と展望(モザンビーク)
健康志向の高まりで、日本食、日本産食材の需要拡大に期待

2021年5月12日

モザンビークの首都マプトには、旧宗主国であるポルトガル料理のほか、イタリア料理、アジア料理など様々なレストランが並んでおり、これらレストランの主なターゲット層は外国人や現地の富裕層である。現地の食習慣は内食が多く、特に富裕層は料理も含めた家事全般を担う家政婦を雇う傾向が強く、富裕層を外食や新しい食文化に取り込むことは簡単ではない。このような環境の中で、日本食、日本産食材の現状と今後の可能性について、寿司(すし)レストラン「ワビサビ」経営者のミロ・ガスパリ氏、同店ブランドマネージャーのジョゼ・マリア氏、輸入食材販売店「デリ968」経営者のナディア・フェレイラ氏に聞いた(2021年3月19日~3月26日)。

子供がリピーターとなり家族を呼び込み、寿司の人気が定着(寿司レストラン「ワビサビ」)

質問:
どのような経緯で寿司レストランを開業するに至ったか。
答え:
(ガスパリ氏):
1997年にモザンビークに移住し、2009年にマプト市内にイタリアンレストラン「カンポ・デ・フィオーリ」をオープン、現在までに市内で計5軒のレストランを経営している。モザンビークに移住する前は、日本や英国など8カ国で主に料理人としてレストラン業に従事していたが、市場の成長が見込めるモザンビークにおいて、同業界でチャレンジを始めたいと考えた。
(マリア氏):
子供時代を家族と共に、南アフリカ共和国で過ごした。1980年代にヨハネスブルクで営業していた日本食レストラン「コトブキ」などで寿司に親しみ、モザンビークでも寿司レストランを開業するアイデアをガスパリ氏に持ち掛け、2016年、「カンポ・デ・フィオーリ」に隣接する敷地に「ワビサビ」をオープンした。

「ワビサビ」店舗外観(ジェトロ撮影)
質問:
モザンビークにおいて外食産業への需要、日本食への関心は高まっているか。
答え:
(ガスパリ氏):
外食産業は成長した。2009年に1店舗目を開業した当時、周囲約2キロ四方に他のレストランはなかったが、約10年の間に18店舗にまで増加している。
(マリア氏):
「ワビサビ」が営業を開始してから4年以上が経過する中で、消費者全般の寿司に関する知識が深まっていると感じている。また、元々、生魚を食べる食文化のないモザンビークにおいて、食に関する固定観念をまだ持っていない子供が寿司のおいしさを知り、その親を呼び込んでリピーターになるケースが多いと感じている。
質問:
サービス提供、運営にあたり、どのような点を重要視しているか。
答え:
(マリア氏):
常に同じ品質の寿司を提供することを重視している。開業準備中に日本の外食産業向け機械メーカー鈴茂器工にコンタクトを取り、日本で工場見学などをしたうえで同社製の自動シャリ切り機、シャリ玉ロボット、海苔(のり)巻きロボットを導入、使用している。これら機械の導入は提供する食品の品質を一定にするだけではなく、従業員に対するトレーニングを軽減する効果もある。また、4年間一度も故障などが発生しておらず、性能には大変満足している。
当店では、ホームページからのオンラインオーダーとデリバリーサービスも実施しており、電話注文と合わせてオーダー数は月600件ほどになる。

厨房(ちゅうぼう)の様子。
中央奥にシャリ玉ロボット、窓側に海苔巻きロボットが設置されている(ジェトロ撮影)
質問:
食材はどこから調達しているか。
答え:
(ガスパリ氏):
経営する他のレストランの調達食材と合わせ、南アから輸入している。醤油(しょうゆ)、わさび、マヨネーズなどは日本の食品メーカーのものを使っているが、コメはオーストラリア産、一番人気の寿司ネタであるサーモンはノルウェー産、マグロはモザンビークで獲れたものを仕入れている。
質問:
日本食について今後の展開のアイデアは。
答え:
(マリア氏):
寿司以外の日本食を提供するレストランを新規にオープンする構想を持っている。日本食全般に対する認知度はまだ高いとは言えないため、まずは食への造詣が深い富裕層をターゲットに、店舗規模の小さい高級和食レストランを開くアイデアだ。
「ワビサビ」では、伝統的な寿司と西洋風にアレンジされた寿司の両方を提供しているが、アレンジのされた寿司の人気が高い。麺類はモザンビークでも受け入れられると考えているが、メニュー開発をするにあたり、現地の好みを取り入れ、調達する食材を検討することが重要だと考えている。

人気メニュー「クリスピー・テンプラ・パンコ・ロール」(上)と
「ドラゴン・プラウン・テンプラ・ロール」(下) (ジェトロ撮影)

高まる健康志向が、日本食材への関心を後押し(輸入食材販売店「デリ 968」)

質問:
:どのような経緯で輸入食材店を開業するに至ったか。
答え:
2006年に輸入食材販売店「デリ 968」をオープンし、現在は系列の販売店、カフェ合わせて3店舗をマプト市内で展開しているほか、ホテルやレストランへの食材卸も手掛けている。食材卸業はマプト市内だけではなく、モザンビーク北部の天然ガス開発プロジェクトキャンプ地にも供給している。開業当初から、主要顧客を外国人に設定しており、以前はスペイン、イタリア産食材がメインだったが、在住外国人の多様化に合わせ、今は日本、フランス米国産食材なども取り扱っている。

「デリ 968」店舗内(ジェトロ撮影)
質問:
商品の輸入にあたり、課題は。
答え:
南アの関連会社が調達し、陸路でモザンビークへ輸入している。世界的な新型コロナウイルス感染症拡大による生産会社の規模縮小や、需要の全般的な減退を反映した物流の停滞により、輸入頻度の低下や調達した製品の賞味期限が近い、もしくは切れているなどの問題が発生し、ロスが増えていることが目下の最大の課題だ。
質問:
現状どのような日本食材を取り扱っており、今後どのような展望か。
答え:
日本食材は、醤油やマヨネーズなどの調味料、うどん、カップヌードル、日本酒などを取り扱っている。当地では寿司が根強い人気を獲得しており、自宅で寿司を作るために「スシライス」や醤油などの寿司関連食材を求める外国人、モザンビーク人の固定客がいる。また、昨年から取り扱いを始めた日清食品の中国向けカップヌードル「合味道」や「出前一丁」は人気を博している。マプトでは3年ほど前から、健康やフィットネスに対する関心が高まり続けている。SNSの普及によるブームの拡散と、マプト市内にスポーツジムが次々と開業したことが関心の高まりを後押しした。その一環として、ヘルシーな食材への注目が高まり、日本料理とメキシコ料理への注目度も増しており、メキシコ料理に使うトルティーヤの売り上げは伸びている。ヘルシー食材の枠組みの中で、モザンビーク市場に受け入れられる日本産の食材や日本食向け食材を発掘していきたいと考えている。

日本食の中でも注目株のカップヌードル。
陳列分は1週間ほどで売り切れる(ジェトロ撮影)

モザンビークの日本食レストラン・日本食材取扱店

(1)日本食を提供するレストラン(順不同)
レストラン名 エリア、住所 概要、ウェブサイト
Sumi イニャンバネ州トーフォ 日本人女性が経営する日本食レストラン。イニャンバネ州のビーチリゾート、トーフォの海沿いに立地。
Wabi-Sabi – The Finest Sushi マプト市(サマーシールド地区) すし専門レストラン。ホームページからオンライン注文、予約、市内一部地域へのデリバリーが可能。
ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
Zambi マプト市(バイシャ地区) ポルトガル料理がメイン。月曜日から土曜日の午後5時以降にすし、刺し身などを提供。
ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
Ocean Basket Mozambique マプト市(ポラナ カニッソ地区) 市内最大のショッピングモール「バイア・モール」内のシーフードレストラン。すしを提供。
(2)日本食材取扱店(順不同)
店名 エリア、住所 概要、ウェブサイト
Deli 968 マプト市(ポラナ地区)、(ポラナ カニッソ地区) 輸入食材販売店。しょうゆなどの調味料、袋入りゆでうどんなどを販売。
Di-Vino マプト市(ポラナ地区) 輸入食材販売店。しょうゆなどの調味料を販売。
Deli Boutique マプト市(マージナル地区) 輸入食材販売店。しょうゆなどの調味料を販売。※Deli 968と名称は似ているが、経営母体は異なる。

注1:南アフリカ共和国資本の大手スーパー(Premier、Shoprite)でも、しょうゆなどは販売している。
注2:2021年3月31日時点。
出所:公開情報を基にジェトロ作成

執筆者紹介
ジェトロ・マプト事務所
松永 篤(まつなが あつし)
2015年からモザンビークで農業、BOPビジネスなどの事業に携わる。2019年からジェトロ・マプト事務所業務に従事。

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