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特集:アフリカにおける日本食ビジネスの可能性日本野菜の生産から販売までバリューチェーンを築く(ケニア)
「身近な食堂」でケニア人にも愛される日本食を

2021年5月12日

ナイロビ中心部にあるガソリンスタンドの路地裏に、ケニア在住の日本人に愛される日本食レストランがある。家族で気軽に訪れる場所にしたいと名付けられた「SHOKUDO」は、ナイロビで唯一の日本食材専門店「Jinya」の直営店だ。ケニアではなかなか手に入らない水菜や春菊、大根もここでなら、おいしく食べられるとあり、夕方になると、仕事終わりの日本人駐在員でにぎわう場所となっている。同店ダイレクターのワンガリ・ワチラ氏に話を聞いた(2021年2月26日)。


ダイレクターのワンガリ・ワチラ氏(ジェトロ撮影)
質問:
起業のきっかけは。
答え:
2013年、日本人が経営していた「Jinya」を譲りうけたことがきっかけだ。夫婦で経営していた旅行代理店事業の多角化を検討していたところだった。趣味で農業を営んでいて、食にも関心があった。「Jinya」はもともと、オーナーの自宅で始まった小さなビジネスで、日本人だけを対象としていた。2013年に食材店を開業したが、持続的なビジネスにするためにはケニア人に向けても売っていく必要があり、日本食材を紹介する場として飲食店経営に乗り出すこととした。2019年にレストラン「SHOKUDO」を開業した。

ラーメンは1杯900ケニア・シリング
(Ksh、約900円)(ジェトロ撮影)

味噌(みそ)汁とご飯、生姜(しょうが)焼きの
定食は1,200Ksh(ジェトロ撮影)
質問:
店舗の概要や立地、客層は。
答え:
ナイロビの中でも、ビジネスの中心地であるキリマニ地区に店舗を構えている。加えて、国連機関や大使館が集まるギギリ地区にも新たにレストランを出店する予定だ。ナイロビは国際都市で、若い街だ。新しいモノへの好奇心も旺盛で、日本食の人気も高まっている。ただ、日本食は高級だというイメージが強い。私たちは、リラックスできるカフェのような空間をつくりたかった。「SHOKUDO」という店の名前には、「身近な食堂」という意味を込めた。
質問:
従業員のトレーニングやメニュー開発の工夫は。
答え:
私たちには独自のバリューチェーンがある。日本野菜を生産する畑、運搬、加工、提供、販売まで一貫して管理している。スタッフはそれぞれのフェーズに携わり、日本食の知識を深めていく。特にキッチンには、長年にわたり日本食レストランに勤務してきたシェフが入り、細かい味付けまで指導する。最近はインターネットで検索可能だが、事業を譲り受けた当時は、英語での日本食の情報が少なく、苦労した。旅行先のカナダで買ったレシピ本を参考にして作ったのが、食材店の看板メニューである「イチゴ大福」だ。日本人の顧客の意見をとりいれ、手書きでリバイスしたレシピは、すべてファイルに保管している。
質問:
食材の調達や関心のある日本食材は。
答え:
七味唐辛子やラー油など、味付けに不可欠なものは航空便で輸入している。日本にいるパートナーが、小ロットでの輸出に対応してくれる。現地スーパーなどから日本食材に関する引き合いもあり、今後はロットを増やし、卸にも挑戦したい。小売り用のカレー粉に関心がある。輸出に関心のあるメーカーがいれば、連携を希望する。
質問:
日本食の広まる可能性については。
答え:
外国人とケニア人のいずれにも好まれるスタイルになっていくことが重要だ。2013年から培ってきた経験を生かして、さらなるケニア人の顧客開拓に取り組みたい。
質問:
課題は。
答え:
ケニアで日本食レストランを経営する場合、多くの食材を輸入しなければならない。輸入量が増えれば、通関をクリアするための課題が増えると考えている。我々はケニア企業なので国内の課題には対応するが、輸出側の日本企業からの協力は不可欠だ。例えば、品質表示だけでなく、ラベルの英語化も必須だ。
また、新型コロナウイルス拡大の影響については、主な顧客である駐在員が(一時退避などで)減少したため、2020年は厳しい時期が続いた。日本からの食材輸入も検討していたところ、やむを得ず保留にしている。
質問:
将来の展望は。
答え:
短期的には、2号店のオープンに向けて準備を進める。コスト削減と品質管理のため、調理や加工を1カ所で行い、需要に応じて配送する仕組みを構築する予定だ。
執筆者紹介
ジェトロ・ナイロビ事務所 調査・事業担当ディレクター
久保 唯香(くぼ ゆいか)
2014年4月、ジェトロ入構。進出企業支援課、ビジネス展開支援課、ジェトロ福井を経て現職。2017年通関士資格取得。
執筆者紹介
ジェトロ・ナイロビ事務所 事業・調査担当オフィサー
ベン・ムワサガ
ケニアのスタートアップなどに勤務。2021年1月から現職。

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