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特集:世界の知日家の眼日本の発展には絶え間ないイノベーションが必要(コロンビア)
フランシスコ・ホセ・シエラ氏:元駐日コロンビア大使、インコルモトス・ヤマハ会長

2018年8月14日

コロンビア第2の都市メデジンを県都とするアンティオキア県で、40年以上にわたりヤマハ製自動二輪の輸入・製造・販売に携わってきたインコルモトス・ヤマハのフランシスコ・ホセ・シエラ会長は、日本流のビジネスを理解している数少ないコロンビア人の1人である。駐日コロンビア大使として、日本とコロンビアの2国間関係の促進に尽力した外交官としての顔も持つ同氏に話を聞いた(5月28日)。


フランシスコ・ホセ・シエラ氏(ジェトロ撮影)

信頼関係に基づく日本とのビジネスは長期目線で

質問:
長年にわたる日本との関係を、どのように発展させてきたか。
答え:
1975年に日本とビジネスを始めた時から、日本企業の技術力の高さは素晴らしいと感じていた。当時のコロンビアは、自動二輪の保有者数はまだまだ少なかった。日本製以外の自動二輪は、2、3年も乗れば故障してしまう状況だった。日本製の自動二輪は、新品はもちろん中古でも状態が良く、品質に対する安心感からコロンビアにおけるプレゼンスは次第に高まった。ビジネスを始めるに当たっては、日本本社の役員たちとコロンビアで互いに顔を合わせながら真摯(しんし)に協議することで、それから40年以上も続く信頼を得ることができた。日本とのビジネスにおいては、信頼を早期に得ることは容易ではないものの、一度信頼関係が構築されれば長期にわたるものとなる。最近では、現在日本が官民連携で進めている「働き方改革」をコロンビアのインコルモトス・ヤマハでも取り入れている。労働時間を従前の週48時間から40時間に短縮した。さらにフレックス制を採用し、各自の都合に合わせて出勤時間を朝は7時半から9時までの間、退勤時間を夕方は4時から6時までの間とした。ただし、条件が1つある。生産性を落とさないということだ。日本の素晴らしい文化を取り入れていくことで、自社の生産性向上だけでなく、日本企業との信頼関係を強固なものにできていると感じる。

日本はアジアの中心として重要な市場

質問:
近年の日本経済および日本とコロンビアの関係をどう見ているか。
答え:
近年の日本経済は、非常に安定している。政治の安定性が経済を牽引しているとも言えるだろう。また、潜在力や可能性も大いにある。全世界の半数以上の人口を有するアジアの中心として、日本は重要な市場だ。2国間関係については、投資保護協定の締結や租税条約の大筋合意など、近年素晴らしい進展を見せている。

絶え間ないイノベーションでさらなる発展を

質問:
一方で、少子高齢化や経済成長の鈍化など課題もある。日本がさらなる経済発展を遂げるために必要なことは何か。
答え:
高齢化は自然な流れであり、急に止めることは難しい。定年を延長し、年金受給年齢を引き上げることは1つの有効策になるだろう。日本は予防医学が進んでおり、65歳以上の人たちは精神的にも肉体的にもまだまだ若い。知識と経験を有し気力もある人材を、近隣国へ流出させてはならない。独身世帯の増加や少子化については、家族文化の継承という点で家庭における教育が重要になるだろう。家族や友人と過ごす時間は人生における重要な要素の1つだということを、親が子供に見せていかなければならない。政府による給付金などの支援はもちろん重要だが、家庭内での教育と政府支援は車の両輪でなければならない。また、イノベーションも重要な要素だろう。日本が戦後、飛躍的な発展を遂げてきたのは、イノベーションによるものだと言ってもよい。イノベーションは必要性から生まれるものであり、コロンビアの3分の1という国土で発展を続けるためには、絶え間ないイノベーションが重要であると考える。

官民共同でのビジネス関係推進に期待

質問:
今後の日本経済および日本とコロンビアの関係をどうみるか。
答え:
日本経済は今後も安定的に成長していくとみている。日本の規律や秩序を大切にする文化は素晴らしく、コロンビアが日本文化から学ぶべき点は多い。2国間関係については、官民共同で外国直接投資の呼び込みや、外国企業への税優遇措置などを推進していく必要があると考える。経済連携協定(EPA)の早期締結も望まれる。草の根レベルでは、より多くの日本人がコロンビアに興味を持ち、より多くのコロンビア人が日本のことを考える環境づくりに尽力したい。

略歴

フランシスコ・ホセ・シエラ(Francisco José Sierra)
1945年アンティオキア県生まれ。43年間にわたり、ヤマハ製自動二輪の輸入・製造・販売に携わる。自社工場内に、技術研究所や研修・訓練センターを設立し、次世代の技術者の育成や社員の技術向上にも取り組む。また、インコルモトス・ヤマハ財団を設立し、ヤマハ音楽学校の運営や社会貢献事業を推進している。
執筆者紹介
ジェトロ・ボゴタ事務所
茗荷谷 奏(みょうがだに かな)
2016年、ジェトロ入構。ジェトロ・ボゴタ事務所で管理・渉外・調査を担当。

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