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特集:世界の知日家の眼日本の高齢化社会への対応に注目(ベルギー)
ブルーノ・ヘレンドルフ氏:エグモン・ベルギー王立国際問題研究所、欧州政策センター(EPC)共同研究員

2018年8月10日

エグモン・ベルギー王立国際問題研究所と、欧州政策センター(EPC)の両機関でアジア大洋州地域の安全保障や欧州とアジアの関係について研究を行うブルーノ・ヘレンドルフ研究員に、EUからみた日本に対する期待や、日本との経済関係について話を聞いた(6月11日)。

世界での日本の存在感拡大に期待

日EU経済連携協定(EPA)は、異例の速さで妥結したが、その要因として日本とEUが法の支配、人権、民主主義など同じ価値観を共有している点が挙げられる。 EUは日本に対して、重要な貿易相手国としてだけでなく、以前にも増して、世界的な課題への対応で協力できるパートナーとしての役割を期待している。国連、G7、世界経済フォーラムなどの国際組織や、気候変動対策、開発援助などの国際協調において、日本の影響力は評価されている。特にEUは南シナ海問題や、朝鮮半島での核兵器の拡散防止問題など、アジア大洋州地域における日本の役割が非常に重要と認識しており、EUの外交にも大きな影響を与えている。

また世界では、日本はEUと共に、米国との安全保障への協力や、中国の「一帯一路」政策などへの懸念を共有していることから、日本はEUにとって不可欠なパートナーであり、この先の双方のさらなる協調が期待されている。

今後もしばらく続く見込みである「アジアの世紀」に対して、日本が、成長するアジア諸国・地域の活力を取り込みながら、アジアだけでなく世界的な課題に上手に対処することは、日本の経済成長に貢献するだけでなく、世界で日本の存在感を拡大するチャンスである。

日本は世界で最も進んだ高齢化社会

現在の日本経済の特徴として、(1)民間企業の投資が十分に行われてない結果、経済成長の勢いが弱いままであること、(2)政府の債務超過が日本経済への懸念材料となっていること、(3)高齢化社会が急速に進んでいること、が挙げられる。

日本の高齢化社会は、ネガティブに受け取られることもあるが、世界で最も進んだ高齢化社会だからこそ、今後、日本に続く世界各国の高齢化社会で活用できる新しい製品やサービスを開発することができると考える。日本は、ロボット工学や製薬、生産管理システムなど、日本の強みとしている最先端技術分野で高齢化社会に対応する研究開発を加速させるべきであると考える。

日本とベルギーの経済関係でEPAを活用

EUといっても、加盟国は28カ国あり、国の経済レベルや社会構造は一様ではない。EU加盟国の中でベルギーは、成熟経済であり高齢化社会を迎える、という点で日本に似た構造である。日本の高齢化社会への対応では、(1)持続可能な経済、投資、成長を維持する政策への取り組み、(2)策定された政策の費用対効果の検証、など、ベルギーは日本から多くのことを学ぶだろう。どの分野に投資を行うか、などの産業的な戦略は、ベルギーだけでなく、EUも注目している点である。

現在、日本に対するEUやベルギーからの投資レベルは高くないが、日本がより多くの投資を呼び込むことに成功できれば、日本が直面している弱い経済成長を克服する材料となるはずだ。

他方、日EU・EPAの締結は、日本に投資を呼び込む良い機会になるはずである。ベルギー企業は、既に日本と同等の技術的な基盤を持っており、研究開発に適した高いレベルの教育を受けた人材が豊富である。これらを踏まえ、ハイテク機械産業分野などにおいて日本への直接投資をすることは、ベルギー企業にとっても研究開発を加速する上で魅力的である。

ベルギー企業が日本へ進出するに当たっての障害の1つとして、日本市場は伝統的な慣行や政策がサプライチェーンの中に組み込まれており、市場に参入することが難しい点が挙げられている。しかし、テクノロジーを活用して新しい製品やサービスを販売しようとする企業にとっては、既存の市場へアクセスする必要がなく、障害とはならない場合もある。このような企業の多くは中小企業であり、市場参入への環境を整える必要がある。


ブルーノ・ヘレンドルフ氏(ジェトロ撮影)

略歴

ブルーノ・ヘレンドルフ(Bruno Hellendorff)
ルーバン・ラ・ヌーブ大学政治学学士、同大学大学院国際関係学修士。ベルギー王立高等防衛研究所で国家の防衛と安全保障を研究。2011~2018年、ブリュッセルのシンクタンクGRIPで研究員として「アジア太平洋における平和と安全保障」プログラムの調整を行う。主な研究テーマは、海上安全保障、不拡散、EU政策とEU-アジア関係、防衛産業、インドネシアの外交政策など。現職では、アジア大洋州の安全保障や欧州とアジア関係、中国の「一帯一路(BRI)」の地政学と地理学に関して研究。2018年にEPCに「新たな成果を待っている:EUと日本の戦略的パートナーシップは、グローバルかつ地域的な課題に対応できるか?」と題した記事を掲載。
執筆者紹介
ジェトロ・ブリュッセル事務所
大中 登紀子(おおなか ときこ)
2015年よりジェトロ・ブリュッセル事務所に勤務。

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