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特集:中小企業の海外ビジネス、成功の秘訣「人材不足の補完」がベトナム進出の契機に/光電気工事(愛知県)

2020年3月26日

光電気工事(本社・名古屋市)は、マンションなどの建築物の電気設備の設計、施工、管理を行う従業員47人の中小企業だ。自社の人材不足を日本にいるベトナム人エンジニアの採用で補いつつ、ベトナムに立ち上げた現地法人の幹部候補として育成している。同社取締役の大西昭光氏に、ベトナム法人設立までの経緯や現地市場の特徴、展望を聞いた(2月3日)。


同社取締役の大西昭光氏(ジェトロ撮影)

「日本での人材不足をベトナムで補完」が進出の契機

海外進出検討の契機となったのは、人材不足だった。社内の高齢化も進み、従業員の平均年齢は50歳となっていた。新卒採用のために名古屋の大学は全部回った大西氏だが、「当社のような中小企業には大学生は来ない。また、当社の事業である電気設備に関連する技術を習得できる大学の学科は少ない」(同氏)という。他方、職業訓練などを行うポリテクセンター中部には同社が必要とする人材が集まっており、この施設からインターンシップも含め、人材を確保できるようになった。大西氏は「それでも足りなかったため、海外に拠点を設け、その拠点に事業の一部をアウトソーシングできないかと考えた。同業ではないが、ゼネコン業界は設計部隊だけ海外に設けるという事例があるのは知っていた」と説明する。

公的機関のサポートも活用

2016年に中小機構のサポートを得て、海外進出のFS調査を開始。日本と政治的なあつれきが少ないベトナムやタイ、インドネシア、ミャンマーなどを候補とした。加えて、宗教・文化の日本との近似性、人口の多さ、国内政情の安定性などから、ベトナムをターゲットとした。海外進出を具体的に進めようとした際に、ジェトロの支援事業「新輸出大国コンソーシアム」を中小機構から紹介され、2017年に活用を開始。2018年1月に、ホーチミン市に現地法人を設立した。

現地には商機と作業に適した人材が豊富

海外進出のきっかけは自社事業のアウトソースだが、将来的なターゲットは現地へ進出する日系ゼネコンや日系メーカーだ。工業団地のレンタル工場や工場の建設案件に対し、電気工事の設計、施工、管理のサービスを提供する狙いだ。

大西氏は「当社が行う設計、施工には、顧客が提示する建築物の電気図面を見て、電気工事に必要な部材を考え、電気工事の施工図、見積もりを作成する工程がある。特に、電気図面は細かく、確認するためには視力や集中力が必要で、ベトナムにはこうした確認作業に適した若い人材が多い」とベトナム人材を活用する理由を説明する。また、大西氏は「工場での電気系統の不具合により火災の事例もある」と、ベトナムにおける潜在的ニーズを感じている。さらに「日系企業であれば、当社としても資金回収の面でリスクが少ない」と、日系企業をターゲットとするメリットを語る。 他方で、同社が日本で行っているようなマンションなどの中高層ビル関連の案件は、ベトナムではリスクがあり、着手は難しいと現時点では判断している。「建築物の施工に際し、必要とされる品質水準の部材などを確保できるかどうかが懸念材料」(同氏)だという。

日本採用のベトナム人材を現地で「逆輸入」

同社は2017年以降、ベトナム人男性3人、女性1人を日本本社で採用してきた。ベトナム人材は日本で研修を3年間受けた後、現地法人に派遣され、CADや施工費の積算を担う予定だ。2020年に入ってからは2月に1人を採用、さらに4月に2人、10月にも1人を採用する。全てベトナム人で、日本本社での採用が特徴だ。大西氏は「エンジニアは既に本社で採用できており、今後の課題は作業員(ワーカー)の確保。また、ベトナム人が幹部となり、現地法人を運営できないとコスト競争力が実現できない」と考えている。

中小企業の海外進出に重要なのは「行動」

将来的には「首都ハノイに施工の拠点、中部のダナンにCADの拠点を設立したい」という大西氏。中小企業が海外進出する際に重要なことは何かを聞いたところ、「入念に情報収集を行い、進出に向けて実際に行動に移していくことが重要。実際に行動に移していこうとすると、必要な情報をさらに探そうして人的なネットワークが構築され、中小機構や国際協力機構(JICA)、ジェトロといった機関の支援スキームにたどり着いた」と振り返った。

執筆者紹介
ジェトロ海外調査部アジア大洋州課 課長代理
小林 恵介(こばやし けいすけ)
2003年、ジェトロ入構。ジェトロ・ハノイ事務所勤務(2008~2012年)。2015年より現職。専門は、ベトナム経済を中心としたメコン地域の調査。主要業績として『世界に羽ばたく!熊本産品』(単著)ジェトロ、2007年、『ベトナムの工業化と日本企業』(部分執筆)、同友館、2016年、『分業するアジア』(部分執筆)、ジェトロ、2016年など。

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