特集:対内直接投資に見る中国の動向(2018年上半期)実行額は微増、契約額は2桁増(四川省)

2018年11月9日

国・地域別では日本が1位に

2018年上半期の四川省の対内直接投資は、実行額が前年同期比1.5%増の49億7,200万ドル、契約額は15.5%増の26億600万ドルとなった(注、表参照)。業種別(実行ベース)では、製造業が37億400万ドルで74.5%を占め、サービス業は6億9,500万ドルで14.0%を占めた。また、新規に設立された外資企業数は299社(40.4%増)であった。

表:四川省の対内直接投資 (単位:件、万ドル、%)(△はマイナス値)
契約ベース 実行ベース
件数 前年比増減 金額 前年比増減 金額 前年比増減
2016年 331 3.8 431,879 18.7 803,125 △ 20.2
2017年 579 74.9 623,800 44.4 815,700 1.6
2018年上半期 229 40.4 260,600 15.5 497,200 1.5
出所:
四川省商務庁提供資料

国・地域別の投資状況(実行額)をみると、上位3カ国は日本、シンガポール、米国で、いずれも前年同期に比べ大幅増となった。アジア諸国からの投資額は41億6,300万ドルとなり、総額の83.7%を占めた。うち、日本からの投資額は2億1,000万ドルで、大幅に増加した。米国からの投資額は1億9,400万ドル、シンガポールは8,800万ドルであった。米国は集積回路などの製造業による投資が、シンガポールは半導体や不動産などの投資が伸びた。

産業別(実行ベース)にみると、第二次産業は1.9%増の37億9,700万ドルで、第三次産業は17.3%増の6億9,500万ドルとなった。

日本からの投資は、2017年に引き続き、原材料の生産工場の建設、中国西南地域での販売強化のための拠点設立、飲食・流通業の店舗の開設などの投資が目立った。

製造業関連では、出光興産が4月12日、成都高新技術産業開発区政府と基本合意に至り、2018年の第1四半期に有機EL材料事業に関する現地法人を設立すると発表した。2019年度中に有機EL材料の製造工場を完工し、生産を開始する予定だ。

サービス業では、ニトリホールディングスが2018年1月に日系家具、インテリアストアとして初めて成都市に進出し、2018年6月22日には同市で3店舗目となるNITORI成都高新世豪広場店を開業した。

また、三越伊勢丹ホールディングスは4月8日、成都で2号店となる食品専門の複合型スーパーマーケットを開業した。同店は成都市南部の高新区に位置しており、地場系複合型ショッピングセンター「成都銀泰中心in99」の地下に出店している。開業式で、同社の杉江俊彦社長は「日本企業の安心感を売りに、四川料理プラス新しいスタイルを提案していきたい」と述べ、日本食の安心、安全、信頼感や、成都での新たなライフスタイルを発信していくことに意欲をみせた(4月20日付ビジネス短信参照)。

「5+1」産業の発展に注力

四川省政府は現在、「5+1」産業の発展に力を入れている。「5」は(1)電子情報、(2)設備機械製造、(3)食品・飲料、(4)先進材料、(5)エネルギー・化学工業の5つを指し、「+1」はデジタル経済を指す。四川省政府は、これらの分野には日本企業が強みを持つ部分が多々あるとして、日本との連携に期待を寄せている。

成都市政府は、デジタル経済が進展する中で、スタートアップ企業によるイノベーションの創出を掲げており、スタートアップ支援機関の創設のほか、成都市南部のハイテク産業区域にユニコーン企業の誘致・育成を目指し、「独角獣島(ユニコーン・アイランド)」と呼ばれる一区画の整備を進めている(9月12日付ビジネス短信参照)。

また四川省は、成都市に建設中の新たな国際空港「天府国際空港」(2020年開港予定)を中心とするエリアの中に、「日中合作産業園区」の設立を計画している(5月23日付ビジネス短信参照)。四川省政府は、産業園区で期待する日本との協力分野として、航空機の整備や物流などの空港関連サービスのほか、電子情報や人工知能などのハイエンド製造、金融、医療・健康、映画・音楽・アニメなどの文化産業を挙げている。

四川省は、より高いレベルの対外開放を通じて、外資の活用を図る構えをみせている。2017年から2018年上半期にかけて、外資誘致に関する国家レベルの3つの重要文書が発表されたことを受けて、四川省も2017年6月に「対外開放を拡大し・投資を促進する若干の措置に関する通知」(川府発「2017」36号)を公布して外資誘致に関する28条の政策を打ち出すなど、より良好なビジネス環境の創出を図っている。

なお、2018年上半期の成都市の対内直接投資は、契約件数が前年同期比51.8%増の255件、実行額が21.3%増の63億2,800万ドルとなった。成都市投資促進委員会は、サービス業への投資額(実行額)が40億5,300万ドルと全体の64.1%を占め、製造業は22億7,500万ドルで36.0%を占めたとした。


注:
四川省当局によると、四川省への投資額のうち、商務部の統計に組み込まれる実行額は10億5,300万ドルのみだが、省政府は親子ローンや外商投資企業の再投資など39億1,900万ドル分を加えた額を実行ベースの投資額(計49億7,200万ドル)として計上している。
執筆者紹介
ジェトロ・成都事務所
王 植一(おう しょくいち)
2014年、ジェトロ入構。2014年11月よりジェトロ・成都事務所勤務。

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