四川省、電子などの分野で日本との協業に期待

(中国)

成都発

2018年09月12日

大阪で8月31日、四川省政府主催による「四川省経済・投資セミナー」が開催された。本セミナーは四川省政府とジェトロとの共催で、日本企業に四川省でのビジネス展開を呼び掛けるため、大阪で開催したもの。日本企業と四川省の政府関係者および企業関係者約120人が出席した。セミナーでは、四川省のビジネス環境や最新経済動向の紹介があったほか、地方経済の発展における四川省と日本との協力について四川省政府から期待が述べられた。

四川省長が大阪でのセミナーでビジネスチャンスをアピール

四川省長の尹力氏は、「一帯一路」建設や長江経済ベルト発展戦略の推進に当たり、日本企業によるインフラ開発への参画や電子情報、自動車などの工業分野への進出、さらには教育・医療、健康・養老などの分野での協業への期待を表明した。また、同氏は「四川省は、全国平均を上回る経済成長を続けている。現在、鉄道貨物輸送網の整備により、欧州やASEANとの貿易における物流ハブとしての機能を拡充していることや、ビッグデータや人工知能(AI)、5Gを代表とするデジタル経済と実体経済の融合および発展を推進しており、そこに日本企業のビジネスチャンスがある」とし、四川省への進出を呼び掛けた。

四川省に拠点を置く現地日系企業の代表者による講演も行われた。伊藤忠(中国)西南代表の●(こざとへんに是)憲義氏は「四川省は電子産業ビジネスの最重要産業地域の1つだ」とした。同氏はまた、「近年の中国西部における日系、外資系企業の消費財ブランドの展開需要を取り込むため、倉庫の拡充と物流システムのネットワーク強化を加速している」とも語った。

四川大塚製薬の董事総経理の穆■(くさかんむりに出)生氏は「四川大塚の2017年度の業績は前年比約30%の増収だった。今後、従来の医薬品分野と合わせた、トータルヘルスケア企業を目指す」と述べた。

「5+1」産業の発展に注力

四川省政府は現在、「5+1」産業の発展に力を入れている。「5」は(1)電子情報、(2)設備機械製造、(3)食品・飲料、(4)先進材料、(5)エネルギー・化学工業、の5つを指し、「+1」はデジタル経済を指す。これらの分野は、日本企業が強みを持つ部分が多々あるとして、四川省政府は日本との連携に期待を寄せる。四川省の省都、成都市政府は、デジタル経済が進展する中で、スタートアップ支援やスタートアップ企業によるイノベーションの促進、ユニコーン企業の育成や呼び込みを目指す。

セミナーの中でジェトロは、成都市がイノベーションの創出を目指し、スタートアップ支援機関の創設のほか、成都市内南部に「独角獣島(ユニコーン・アイランド)」と呼ばれるハイテク産業集積地の整備が進められていることを紹介した。四川省は、AI設備、データ分析技術などの分野で日本から企業を呼び込み、ニューエコノミーを牽引する効果に期待を寄せている。

(王植一)

(中国)

ビジネス短信 4601d0918e021a21