特集:対内直接投資に見る中国の動向(2018年上半期)中国向け投資の構成比は46.7%に上昇(台湾)

2018年11月9日

2018年上半期の台湾の対中直接投資額(認可ベース)は、件数が前年同期比3.3%増の316件、金額が同4.5%減の42億4,365万ドルとなった。また、台湾企業の対外直接投資総額に占める中国の構成比は46.7%だった。

金融・保険は増加に転じる

2018年上半期の対中直接投資(認可ベース)は、件数が前年同期比3.3%増の316件となり、金額が4.5%減の42億4,365万ドルとなった(表1参照)。

表1:台湾の対中直接投資(認可ベース) (単位:件、100万ドル、%)(△はマイナス値)
投資件数 投資金額
件数 前年(同期)比 金額 前年(同期)比
2016年 323 △ 24.4 9,671 △ 11.8
2017年 580 79.6 9,249 △ 4.4
2018年上半期 316 3.3 4,244 △ 4.5
出所:
台湾経済部投資審議委員会

台湾企業の対外直接投資総額に占める中国の構成比は46.7%と、前年上半期(45.3%)から1.4ポイント上昇した(図参照)。中国以外の国・地域への投資については、米国(中国を除いた金額ベースの構成比28.2%)が最も多く、前年同期比4.8倍の13億6,960万ドル。次いで、英領カリブ海(17.3%)が65.6%減の8億3,763万ドルとなった。そのほか、バミューダ諸島(12.8%)、ベトナム(12.5%)、サモア(5.3%)がそれぞれ6.2倍、4.2倍、5.1倍になった。

図:台湾の対中直接投資(認可ベース)と対外直接投資に占める対中投資のシェアの推移
対中直接投資は、2004年69.4億ドル、2005年60.1億ドル、2006年76.4億ドル、2007年99.7億ドル、2008年106.9億ドル、2009年71.4億ドル、2010年146.2億ドル、2011年143.8億ドル、2012年127.9億ドル、2013年91.9億ドル、2014年102.8億ドル、2015年109.7億ドル、2016年96.7億ドル、2017年92.5億ドル、2018年上半期42.4億ドル。 対中直接投資構成比は、2004年67.2%、2005年71.1%、2006年63.9%、2007年60.6%、2008年70.5%、2009年70.4%、2010年83.8%、2011年79.5%、2012年61.2%、2013年63.7%、2014年58.5%、2015年50.5%、2016年44.4%、2017年44.4%、2018年上半期46.7%。
出所:
台湾経済部投資審議委員会

台湾の対中直接投資を業種別にみると、電子部品が最大で、前年同期比27.6%増の8億9,475万ドルだった(表2参照)。続いて、卸売り・小売りが2.0%増の5億9,660万ドル、卑金属が93.0%増の5億939万ドルとなった。金融・保険が減少から増加に転じる一方、パソコン・電子製品・光学製品は減少に転じた。

表2:台湾の対中投資額上位10業種の件数および金額(2018年上半期) (単位:件、100万ドル、%)(△はマイナス値)
業種 件数 金額 構成比 前年同期比
電子部品 32 895 21.1 27.6
卸売り・小売り 103 597 14.1 2.0
卑金属 12 509 12.0 93.0
パソコン・電子製品・光学製品 8 455 10.7 △ 18.8
金融・保険 3 399 9.4 0.2
自動車およびその部品 5 222 5.2 349.2
プラスチック製品 5 184 4.3 348.2
機械設備 18 153 3.6 0.9
電力設備 4 135 3.2 49.2
ホテルおよび飲食 8 80 1.9 276.5
出所:
台湾経済部投資審議委員会

江蘇省向けが引き続き最大

省・自治区・直轄市別にみると、江蘇省向けが前年同期比22.0%増の11億9,928万ドルで前年同期から引き続き最大となり、総投資額に占める構成比は28.3%と前年同期(22.1%)より拡大した(表3参照)。これは、鴻海精密工業による富智康電子科技(南京)や富智康(南京)智能科技の設立などによるものとみられる。次いで、福建省が前年同期の4.8倍(構成比16.9%)で2位となった。台湾土地銀行によるアモイ分行の設立や、台湾塑膠工業(台湾プラスチック)による福建福欣特殊鋼への間接増資による影響が大きい。そのほかでは、南亞塑膠工業や電子部品大手の国巨(ヤゲオ)による投資案件が牽引し、広東省が前年同期比9.6%増(15.5%)となった。他方、上海市は23.8%減(11.3%)だった。また、内陸地域では、湖北省と重慶市で伸びが拡大する一方、安徽省と湖南省は前年同期より減少した。

表3:台湾の地域別対中直接投資(2018年上半期) (単位:件、100万ドル、%)(△はマイナス値)
省・市 件数 金額 構成比 前年同期比
江蘇省 78 1,199 28.3 22.0
福建省 26 717 16.9 375.5
広東省 59 658 15.5 9.6
上海市 54 479 11.3 △ 23.8
浙江省 24 308 7.3 7.0
湖北省 15 246 5.8 89.7
安徽省 10 146 3.4 △ 59.1
重慶市 5 119 2.8 52.4
北京市 13 84 2.0 64.5
湖南省 4 69 1.6 △ 47.9
注1:
順位は金額順。
注2:
件数は新規投資のみカウント。
出所:
台湾経済部投資審議委員会

上位案件の投資額に占める金融関連の割合は4割超え

個別の投資案件(金額順で上位10件)をみると、投資額が最も大きいのは、彰化商業銀行による彰化商業銀行(中国)の設立だった(表4参照)。2位は鴻海精密工業による富智康電子科技(南京)の設立、3位は台湾土地銀行によるアモイ分行設立となった。

他方、上位10件中7件が製造業で、上位10件の合計投資額に占める製造業の割合は58.0%となった。そのほかは金融関連で42.0%だった。

表4:2018年上半期の台湾の主な対中投資案件 (単位:万ドル)
順位 (投資額) 企業名 投資額 認可時期 概要 事業内容
1 彰化商業銀行 38,886 2018年
1月
彰化商業銀行(中国)の設立 銀行業
2 鴻海精密工業 15,695 2018年
4月
富智康電子科技(南京)の設立 携帯電話の組立
3 台湾土地銀行 15,468 2018年
6月
台湾土地銀行アモイ分行の設立 銀行業
4 台湾塑膠工業
(台湾プラスチック)
14,580 2018年
4月
福建福欣特殊鋼への間接増資 ステンレス鋼の半製品などの製造・販売
5 南亞塑膠工業 14,000 2018年
5月
南亞電子材料(惠州)への増資 銅箔基板、基材およびガラス繊維布などの製造・販売
6 裕隆汽車製造 12,220 2018年
6月
杭州新能源の設立 自動車部品の製造・販売
7 国巨 11,263 2018年
5月
英領ケイマン諸島の君耀控股の全株式を取得し、広東百圳君耀電子の全株式および惠州聯順電子の株式の一部を間接取得 抵抗器、コンデンサーなど受動電子部品の製造・販売
8 広達電脳
(QUANTA)
10,000 2018年
4月
展運(重慶)電子への間接増資 ノートブックPCのプラスチックケースの射出成形・製造
9 鴻海精密工業 7,534 2018年
4月
富智康(南京)智能科技の設立 第3世代以降の携帯電話移動通信システムの開発、PC、携帯電話関連のソフトウエア・ハードウエアの開発およびテストなど
10 富邦金融控股 7,512 2018年
3月
アモイ銀行の株式取得 銀行業
注:
投資額の人民元からドルへの換算は中国人民銀行発表の月別平均為替レートを使用。
出所:
台湾経済部投資審議委員会
執筆者紹介
ジェトロ海外調査部中国北アジア課 アドバイザー
嶋 亜弥子(しま あやこ)
2017年4月より現職。

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