特集:対内直接投資に見る中国の動向(2018年上半期)広東省の実行額は3.0%増に(広東省、福建省)

2018年11月9日

2018年上半期の広東省への対内直接投資額(実行ベース)は、前年同期比3.0%増の790億6,916万元(約1兆2,651億円、1元=約16円)となった。契約件数は3.5倍の1万8,633件、契約金額は22.0%減の2,022億7,216万元だった。また、福建省の対内直接投資額は実行ベースで4.1%増の168億3,000万元となった。契約件数は8.5%増の1,051件、契約金額は6.9%増の597億6,000万元だった。

広東省:契約件数と実行額は増加

2018年上半期の広東省の対内直接投資は、契約件数が1万8,633件(前年同期比3.5倍)、契約額が2,022億7,216万元(22.0%減)、実行額が790億6,916万元(3.0%増)となり、契約額は減少したものの、実行額は増加した(表1参照)。

表1:広東省の対内直接投資の推移 (単位:件、%、億ドル、億元)(△はマイナス値)
契約ベース 実行ベース
件数 前年(同期)比 金額 前(同期)年比 金額 前年(同期)比
2016年 8,078 14.9 866.8 54.5 233.5 △ 13.1
2017年 15,599 93.1 730.9 △ 15.7 229.1 △ 1.9
2018年上半期 18,633 3.5倍 2,022.7 △ 22.0 790.7 3.0
注1:
小数点第2位以下は四捨五入しているため、本文の数値と異なる場合がある。
注2:
2016年、2017年の金額は億ドル、2018年上半期の金額は億元。
注3:
2018年上半期は人民元建ての数値しか公表されていない。
出所:
広東省政府データ

第二次産業は3割超の増加、第三次産業は減少

産業別では、実行額で第二次産業が前年同期比37.3%増、第三次産業が8.9%減となった(表2参照)。第二次産業は2016年に前年比37.8%減と大きく減少したが、2017年に前年比プラスに転じ、2018年上半期も引き続いて増加した。第三次産業は2017年に続いて減少した。

表2:広東省の産業別対内直接投資の推移 (単位:件、%、億ドル、億元)(△はマイナス値)
産業 契約ベース 実行ベース
件数 構成比 前年比 金額 構成比 前年比 金額 構成比 前年比
第一次産業 2016年 78 1.0 5.4 8.9 1.0 36.8 1.1 0.5 41.3
2017年 301 1.9 3.9倍 15.2 2.1 71.2 0.8 0.4 △ 29.0
2018年上半期 156 0.8 3.5倍 4.1 0.2 n.a 1.2 0.2 △ 34.5
第二次産業 2016年 893 11.1 △ 24.4 148.9 17.2 1.2 71.5 30.6 △ 37.8
2017年 1,776 11.4 98.9 122.2 16.7 △ 17.9 78.7 34.3 10.0
2018年上半期 1,716 9.2 3.0倍 378.2 18.7 △ 18.9 272.5 34.5 37.3
第三次産業 2016年 7,107 88.0 23.1 708.9 81.8 74.0 160.9 68.9 5.2
2017年 13,522 86.7 90.3 593.5 81.2 △ 16.3 149.6 65.3 △ 7.0
2018年上半期 16,761 90.0 3.5倍 1,640.4 81.1 △ 22.9 517.0 65.4 △ 8.9
注1:
小数点第2位以下は四捨五入しているため、本文の数値と異なる場合がある。
注2:
2016年、2017年の金額は億ドル、2018年上半期の金額は億元。
注3:
2018年上半期は人民元建ての数値しか公表されていない。
出所:
広東省政府データ

製造業の投資が大きく伸びる

広東省の対内直接投資を国・地域別にみると、ドイツが前年同期比2.7倍となったほか、英国が90%増加した。また、業種別では、製造業への投資が34.8%増の39億9,000万ドルだった。

日本からの投資案件をみると、製造業では、アイシン・エイ・ダブリュが4月25日、広州汽車集団乗用車(以下、広州汽車)と合弁会社を設立すると発表した。資本金は1億1,700万ドルで、FF6速AT(オートマチックトランスミッション)の生産、販売を行う。2020年内の生産開始を予定しており、年間生産能力は40万台としている。同社は広州汽車との長期的な関係を構築し、中国におけるパワートレイン事業の競争力向上を目指す。

コーセーは6月29日、中国科学院傘下の研究機関である中国科学院華南植物園(所在地:広東省広州市)と、化粧品原料の共同開発を行うと発表した。中国科学院は中国の自然科学分野ではトップの研究機関で、華南植物園は1万4,500種以上の植物と100万点以上の保存植物標本数を有する。両者は化粧品原料として、植物エキスの開発とその評価研究を共同で行う。

サービス業では、マックスバリュ東海が1月19日に「マックスバリュ聖地新天地店」、4月13日に「マックスバリュ恒宝広場店」を開店した。いずれも広州市内に位置しており、両店舗の開業で同社の広東省での店舗数は9店舗となった。

福建省:契約件数、投資金額ともに増加

2018年上半期の福建省の対内直接投資は、契約件数が1,051件(前年同期比8.5%増)、契約額が597億9,000万元(6.9%増)、実行額が168億3,000万元(4.1%増)と、いずれも増加した(表3参照)。

表3:福建省の対内直接投資の推移 (単位:件、%、億ドル、億元)(△はマイナス値)
契約ベース 実行ベース
件数 前年(同期)比 金額 前年(同期)比 金額 前年(同期)比
2016年 2,355 39.4 156.6 8.3 81.9 6.7
2017年 2,041 △ 13.3 148.8 △ 5.0 85.8 4.7
2018年上半期 1,051 8.5 597.9 6.9 168.3 4.1
注1:
小数点第2位以下は四捨五入しているため、本文の数値と異なる場合がある。
注2:
2016年、2017年の金額は億ドル、2018年上半期の金額は億元。
注3:
2018年上半期は人民元建ての数値しか公表されていない。
出所:
福建省政府データ

産業別の実行額では、サービス業が39.4%増の76億8,000万元と、全体の45.6%を占めた。うち、金融業が54.8倍の30億1,000万元、情報通信・ソフトウエア・情報技術サービス業が6.4倍の9億3,000万元、リース・ビジネスサービス業が2.9倍の13億7,000万元、宿泊・飲食業が69.6%増の4億1,000万元だった。

地区別では、アモイ市が58億8,000万元で全体の34.9%を占めた。台湾の華聯電子とアモイ市政府、福建省電子信息集団の合弁企業である聯芯集成電路製造(アモイ)による投資や、コーヒーチェーン店の瑞幸珈琲の本部設立などが押し上げたとされる。また、省都である福州市への投資は25億8,000万元だった。

日本からの投資は4割強の伸び

福建省の対内直接投資額を主な国・地域別にみると、香港が10.5%増の85億4,000万元、欧州が46.9%増の13億8,000万元、日本が46.1%増の4億4,000万元、米国は2.3倍の1億2,000万元となった。

日本からの投資案件をみると、1月5日に大日本印刷がアモイ市に、米国のフォトマスクメーカーであるフォトロニクスとの合弁会社の設立を完了したことを発表した。資本金は2,400万ドルで、大日本印刷の出資比率は49.99%。今後5年で1億6,000万ドルを投資し、アモイ市に新工場を建設する。2019年春ごろからのフォトマスクの量産開始を予定している。

執筆者紹介
ジェトロ・広州事務所 経済分析部 部長
河野 円洋(かわの みつひろ)
2007年、ジェトロ入構。在外企業支援・知的財産部知的財産課、ジェトロ岐阜、海外調査部中国北アジア課を経て2014年3月よりジェトロ・広州事務所勤務。

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