中南米における米国通商政策による影響-ビジネス機会と脅威関税交渉で揺らぐメキシコのサプライチェーン
通商政策からみるサプライチェーン問題

2026年1月26日

トランプ政権が発足した2025年1月以降、米国の通商政策により最も影響を受けた国の1つがメキシコだ。2025年12月時点でメキシコに対しては、(1)2025年3月4日からの不法移民や違法薬物の流入対策を目的とした、メキシコ製品に対する国際緊急経済権限法(IEEPA)による25%の追加関税のほか、(2)1962年通商拡大法232条(以下、232条)による3月12日からの鉄鋼・アルミニウム製品に対する50%の追加関税(6月4日に25%から引き上げ)、(3)自動車(4月3日から)・自動車部品(5月3日から)への25%追加関税、が課せられている(注1)。さらに、232条においては、他国と同様に(4)銅・木材や中・大型トラック・バス・同部品に対する追加関税も適用されている。ただし、メキシコにはIEEPAによる国別の追加関税が賦課されているため、相互関税の対象にはなっていない。

メキシコにおけるトランプ関税の特徴は、IEEPAおよび232条の自動車部品、中・大型トラック・バス部品に関しては、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の原産地規則を満たした製品であれば、追加関税は無税となることだ。また、自動車完成車および中・大型トラック・バスにおいては、USMCA原産品で、かつ、米国商務省の承認を得たモデルは、非米国産部分に対してのみ追加関税が賦課される。全世界で相互関税が賦課されている中、USMCA原産品であれば無税または追加関税を減少させる措置があることがメキシコの特徴であり、シェインバウム政権が「メキシコは他国と比較して米国との関係において最も良い立場にいる」と公言するゆえんである。

メキシコの米国への輸出は好調

追加関税が賦課された2025年のメキシコの輸出状況を見ていく。2025年1~10月の合計輸出額は5,477億7,500万ドルで、前年同期比6.6%増と好調だ。特に2025年10月の輸出額は、661億3,200万ドルで前年同月比14.2%増と急拡大した(図参照)。月別の輸出額の推移を見ると、前年比でマイナスとなったのは2月と5月のみで、2024年後半からの急激なペソ安基調の影響もあり、輸出全体は好調に推移していたことがうかがえる(注2)

一方、自動車(HS87類)の2025年10月の輸出額は161億2,200万ドルと前年同月比14.0%減で、前年比でプラスの月は3月と6月しかなく対照的だ(注3)。自動車以外のその他工業製品の輸出は好調で、1~10月の合計輸出額は3,461億7,200万ドルで前年比16.0%増となった。特に10月は455億2,100万ドル、前年同月比34.8%増と急増した。この要因の1つとして、米国のデータセンター需要を背景とした機械装置、特にHSコード8471項のデータ処理装置の輸出増が挙げられる。

図:メキシコにおける輸出額および前年同月比
2024年および2025年の1月から10月における、輸出総額・HSコード87類の自動車の輸出額・自動車以外の工業製品の輸出額と、2025年におけるそれら各輸出額の前年同期比を示した図。なお、輸出総額には工業製品以外も含まれるため、自動車とその他工業製品の輸出額の合計は輸出総額の金額と一致しない。1月の輸出総額は2024年421億ドル、2025年444億ドル、自動車の輸出額は2024年127億ドル、2025年125億ドル、その他工業製品の輸出額は2024年238億ドル、2025年273億ドル。2025年における輸出額の前年同月比は総額5.4%、自動車-2.0%、その他工業製品14.5%。2月の輸出総額は2024年508億ドル、2025年491億ドル、自動車の輸出額は2024年167億ドル、2025年141億ドル、その他工業製品の輸出額は2024年284億ドル、2025年301億ドル。2025年における輸出額の前年同月比は総額-3.3%、自動車-15.2%、その他工業製品6.0%。3月の輸出総額は2024年506億ドル、2025年554億ドル、自動車の輸出額は2024年160億ドル、2025年170億ドル、その他工業製品の輸出額は2024年294億ドル、2025年330億ドル。2025年における輸出額の前年同月比は総額9.4%、自動車6.1%、その他工業製品12.1%。4月の輸出総額は2024年515億ドル、2025年543億ドル、自動車の輸出額は2024年165億ドル、2025年153億ドル、その他工業製品の輸出額は2024年295億ドル、2025年337億ドル。2025年における輸出額の前年同月比は総額5.5%、自動車-7.1%、その他工業製品14.2%。5月の輸出総額は2024年558億ドル、2025年555億ドル、自動車の輸出額は2024年177億ドル、2025年161億ドル、その他工業製品の輸出額は2024年319億ドル、2025年342億ドル。2025年における輸出額の前年同月比は総額-0.5%、自動車-9.0%、その他工業製品7.4%。6月の輸出総額は2024年488億ドル、2025年540億ドル、自動車の輸出額は2024年156億ドル、2025年163億ドル、その他工業製品の輸出額は2024年282億ドル、2025年334億ドル。2025年における輸出額の前年同月比は総額10.6%、自動車4.5%、その他工業製品18.5%。7月の輸出総額は2024年546億ドル、2025年567億ドル、自動車の輸出額は2024年171億ドル、2025年159億ドル、その他工業製品の輸出額は2024年326億ドル、2025年365億ドル。2025年における輸出額の前年同月比は総額4.0%、自動車-7.0%、その他工業製品11.7%。8月の輸出総額は2024年519億ドル、2025年557億ドル、自動車の輸出額は2024年164億ドル、2025年162億ドル、その他工業製品の輸出額は2024年311億ドル、2025年355億ドル。2025年における輸出額の前年同月比は総額7.4%、自動車-1.2%、その他工業製品14.4%。9月の輸出総額は2024年496億ドル、2025年565億ドル、自動車の輸出額は2024年154億ドル、2025年154億ドル、その他工業製品の輸出額は2024年298億ドル、2025年370億ドル。2025年における輸出額の前年同月比は総額13.8%、自動車-0.2%、その他工業製品23.9%。10月の輸出総額は2024年579億ドル、2025年661億ドル、自動車の輸出額は2024年187億ドル、2025年161億ドル、その他工業製品の輸出額は2024年338億ドル、2025年455億ドル、2025年における輸出額の前年同月比は総額14.2%、自動車-14.0%、その他工業製品34.8%。

出所:国立統計地理情報院(INEGI)

また、メキシコの主要輸出先国を見ると、米国が首位で、2025年1~10月の輸出額は4,556億6,700万ドルと、全体の83.2%を占めている(表1参照)。米国以外は、2024年と比較して各国で増減はあるものの、順位はほとんど変動しておらず、米国の構成比にも変化はない。そのため、2025年当初に想定されていたトランプ関税による対米輸出の減少や輸出先の変更が起きていると、現時点で結論付けることはできない。

表1:メキシコの主要輸出先国別輸出額 (単位:100万ドル)(△はマイナス値)

2024年(1-10月)
順位 国名 輸出金額 構成比
1 米国 426,946 83.1
2 カナダ 15,803 3.1
3 中国 8,111 1.6
4 ドイツ 6,448 1.3
5 韓国 4,825 0.9
6 スペイン 4,607 0.9
7 ブラジル 4,107 0.8
8 日本 3,662 0.7
9 英国 2,558 0.5
10 グアテマラ 2,454 0.5
11 コロンビア 2,400 0.5
合計 513,658 100.0
2025年(1-10月)
順位 国名 輸出金額 構成比 増減率
1 米国 455,667 83.2 6.7
2 カナダ 18,362 3.4 16.2
3 中国 8,012 1.5 △1.2
4 ドイツ 5,665 1.0 △12.1
5 韓国 5,380 1.0 11.5
6 スペイン 4,063 0.7 △11.8
7 ブラジル 3,643 0.7 △11.3
8 日本 3,437 0.6 △6.2
9 英国 2,941 0.5 14.9
10 コロンビア 2,661 0.5 10.9
11 グアテマラ 2,427 0.4 △1.1
合計 547,775 100.0 6.6

出所:メキシコ中央銀行

混迷を極めるトランプ関税の影響下で、対米輸出が80%超を占める中、輸出を好調に維持できたのは、USMCA原産品であれば、IEEPAや自動車部品に対する232条関税を回避できたことが大きい。2024年通年でのUSMCA利用率は49.6%と約半分であったのに対し、2025年7月には86.3%、9月には87.6%と急激に利用率が上昇している(表2参照)。特にIEEPAの国別関税については、メキシコ製品のほとんどが対象となり、今まで一般関税率が0%または低税率の製品に対しても25%の追加関税が課せられることになった。そのため、メキシコ製品の輸出ではUSMCAの原産地証明書を発行する必要が生じた。7月以降の急激なUSMCA利用率上昇を見ると、USMCA原産品とするために原産地規則を満たさない製品は急ピッチで調達先を変更したと考えられる。このようにUSMCAの利用が広がったこともあり、メキシコの対米輸出額はむしろ増加傾向で、米国から他国への輸出先変更もみられなかった。

表2:USMCA利用率の推移
特恵プログラム 2024年 2025年2月 2025年3月 2025年5月 2025年7月 2025年9月
輸入額 構成比 輸入額 構成比 輸入額 構成比 輸入額 構成比 輸入額 構成比 輸入額 構成比
USMCA 249,843.2 49.6 18,859.0 45.4 22,987.8 48.5 22,114.3 47.7 38,941.7 86.3 38,812.6 87.6
民間航空機 686.5 0.1 60.9 0.1 84.3 0.2 29.5 0.1 22.7 0.1 24.6 0.1
医療品 6.2 0.0 0.5 0.0 2.6 0.0 0.2 0.0 0.8 0.0 1.3 0.0
その他 10.1 0.0 0.0 0.0 1.4 0.0 0.2 0.0 36.4 0.1 0.0 0.0
プログラム利用無し 252,892.6 50.2 22,642.4 54.5 24,332.3 51.3 24,226.2 52.2 6,114.1 13.6 5,444.8 12.3
対メキシコ輸入合計 503,438.6 100.0 41,562.8 100.0 47,408.5 100.0 46,370.4 100.0 45,115.7 100.0 44,283.2 100.0

出所:米国国際貿易委員会(USITC)データベースから作成

トランプ関税やUSMCAの原産地規則に進出企業は苦悩

前述のように、マクロデータでは輸出が好調に見えるが、トランプ関税の影響は企業の産業・業種によって千差万別であり、必ずしも楽観できる状況ではない。

トランプ関税が始まった2025年3月以降、自動車産業分野の進出日系企業が集積するバヒオ地区やモンテレイ・ティファナなど北部地域では、「(自社製品は)USMCA原産品であり、自動車部品に含まれているから問題ない」とする企業がある一方で、「調達先の変更を検討しなければならない」という企業も散見されるなど影響評価は分かれた。また、メキシコでは「輸出向け製造・マキラドーラ・サービス産業(IMMEX)」制度(注4)を活用した一時輸入(保税)でのメキシコ国内渡しも行われている。そのため、実際に輸出者として輸出する企業だけでなく、その前段階のサプライヤーにとってもUSMCAの原産地規則を満たした製品を供給する必要性が高まった。複数の進出日系企業からは「完成車メーカー(OEM)やTier1から自社製品がUSMCA原産品となるか再確認の依頼が来ている」とのコメントもあった。大半の自動車産業のサプライヤーにとって、USMCAの原産地規則は、OEMやコアパーツ(注5)を生産する企業と比べると緩い傾向にあるものの、仮に非原産品となった場合は原材料の調達先変更も視野に入れる必要がある。トランプ関税の余波は輸出者だけにとどまらず、メキシコのサプライヤー全体に波及している。

さらに、2025年6月に通商拡大法232条に基づく鉄鋼・アルミニウムの追加関税が25%から50%に引き上げられ、8月18日以降に鉄鋼・アルミニウムの派生品の対象品目が大幅に増えたことで、自動車だけでなく他の業種もトランプ関税の渦に巻き込まれていった。一部の自動車部品、エアコン部品、家電製品など多岐にわたる品目が鉄鋼・アルミニウム追加関税の対象となったため、素材として使用している鉄鋼やアルミニウムの原産性や含有量を調べ書面化する手続きが必須となった。現時点でも、米国税関・国境警備局(CBP)のガイダンスやQ&Aであいまいな部分が多く、企業も対応に苦慮している(2025年12月25日付ビジネス短信参照)。また、米国産の鉄鋼・アルミニウムは無税となるため、企業によっては米国産への切り替えを考えるものの、関税削減メリットを考慮しても米国産には価格競争力がなく、採算が合わないケースもあり、調達先変更が一筋縄ではいかないのが現状である。こうした事態を受け、進出企業からは、米国の通商問題の長期化を見据えて、米国への輸出比率を減らしつつ、欧州・南米向けに輸出先を切り替えることを検討する声も聞かれる。

不確実性が高いトランプ関税とUSMCAの見直し

2025年12月時点でも、トランプ関税の影響は収まらず、2026年7月に開始されるUSMCAの見直しも不確実性が増すばかりだ。トランプ関税については、メキシコとの交渉が終了したわけではない。2025年7月12日にトランプ大統領がメキシコに対して30%の追加関税を課す旨をSNS「トゥルース・ソーシャル」で投稿した(注6)。その後、7月末にクラウディア・シェインバウム大統領は当該追加関税について90日間の延期を発表し、10月27日早朝の記者会見でさらなる延期を発表した。12月に入り、シェインバウム大統領は当該追加関税についての議論は終了したと発言したものの、トランプ大統領が12月8日に「メキシコが1944年の水の供給に関する協定に違反している」とし、「20万エーカーフィート(約2億4,660万立方メートル)の水を返還しなければ5%の追加関税を課す」と同SNSで発信した。そのため、メキシコにおいてもいまだにトランプ関税に係る交渉が残っており、不安定な状況が続いている。

2025年12月3~5日の3日間にわたり、米国議会ではUSMCA見直しに関する公聴会が開催され、USMCAの継続・維持、通商環境に即した更新、USMCAの廃止などさまざまな意見が飛び交った(注7)。さらに、米国通商代表部(USTR)のジェミソン・グリア代表は12月16~17日、連邦議会で通商を所管する下院歳入委員会および上院財政委員会に対してUSMCAの見直しに関する報告を行い、冒頭陳述のみを公開した(2025年12月19日付ビジネス短信参照)。その中で、メキシコの通商政策に関して、第三国の製品利用を促進し、米国サプライチェーンを侵食している点を課題とした。また、メキシコ・カナダ両国共通の課題として、非自動車産業の製品の原産地規則強化、関税、輸出管理、投資審査における経済安全保障の連携強化などが記載された。グリア代表は、USMCAの見直しに関して「(USMCAの欠陥が)解決可能な場合にのみ更新を勧告する」と発言したが、依然として見直しの合意可能性や二国間協定への移行の疑念が晴れないままの意見表明となった。2026年から具体的な交渉に移行するが、2026年7月に合意に至るかは未知数である。企業にとってはUSMCAの見直し合意に至るまで、引き続きサプライチェーンの見直しや新規・拡張投資の判断が難しい状況が続く。

サプライチェーンを揺るがすメキシコ国内の通商問題

メキシコにおけるサプライチェーンへの影響は、トランプ関税やUSMCAの見直しの交渉状況によるものだけではない。メキシコ国内の通商政策も、トランプ関税やUSMCAの交渉に連動しており、非常に複雑な状況にある。

メキシコ連邦上院は、2025年12月10日に1,463品目(HSコード8桁別)にも及ぶ一般(MFN)関税率を大幅に引き上げる輸出入関税法(LIGIE)改正案を可決し、12月29日に官報公示された(2026年1月6日付ビジネス短信参照)。2026年1月1日から開始され、完成車の関税率は50%、主要自動車部品の多くは25%(一部7%や35%も存在)となる。また、メキシコにおいてセンシティブ品目(注8)とされる鉄鋼や繊維製品も、多くは25~35%の一般関税率が賦課される。メキシコと自由貿易協定(FTA)を締結している国の原産地規則を満たす製品であれば、原産地証明書を用いることにより、FTAに基づく特恵税率を適用できる。しかし、中国、韓国、タイ、インドネシア、インドなどメキシコとFTAを締結していない国の原産品や、FTA締結国からであっても原産地規則を満たさない製品を輸入する際には一般関税を支払わなければならない。

なお、メキシコで原材料を輸入し製品を生産する企業は、産業分野別生産促進プログラム(PROSEC)(注9)の適用や、PROSECの適用外となる原材料に対してはPROSEC登録企業に限りレグラオクターバ(注10)を経済省に申請し許可を得ることで、一般関税率よりも低い優遇関税率での輸入が可能である。しかし、PROSECやレグラオクターバでは、国内生産に用いる材料ではない補修品には適用できない。そのため、輸入者となる企業は、輸入品の原産国を確認し、一般関税が課される製品についてはFTA締結国原産品に変更するなど、サプライチェーンの見直しが必要となる。

また、経済省は2025年11月に、貿易に関する規則・指針を定める省令(通称、経済省貿易細則)の改正案を国家規制改善委員会(CONAMER)に提出した。その中で、鉄鋼に関する輸入自動通知(注11)に関連する細則が改正され、さらなる厳格化が予想される。加えて、今まで対象ではなかったアルミニウムについても経済省貿易細則を改正し、アルミニウムに関する輸入自動通知を行う改正案が示されている(注12)。原材料となる鉄鋼・アルミニウムについては、メキシコ国内に輸入する際、一般関税だけでなく、通関手続きにも多大な負担を強いられることになる。さらに、米国産以外の鉄鋼・アルミニウムについては、最終製品の米国輸出時に232条の派生品対象品目の場合は、その含有量に基づいて50%の追加関税がかかるため、輸入者・輸出者だけでなく、サプライチェーンにつながる全ての企業が関税について注意を払わなければならない状況となった。

サプライチェーン再構築に向けた論点

メキシコ政府はUSMCAの見直しについて、その維持・強化を掲げている。トランプ関税、特に232条の追加関税に対しても交渉を重ねており、USMCA原産品を追加関税から守る姿勢を見せている。一方で、メキシコにおける一般関税率の引き上げやアルミニウムを対象とする輸入自動通知は、トランプ関税やUSMCA見直しの交渉材料であることは明白である。前述のUSTRのUSMCA見直しに係る冒頭陳述では、第三国からの輸入製品に対する規制やトレーサビリティ強化の観点から、メキシコ政府の一連の取り組みを評価するコメントが記載されている。そのため、今後はメキシコ国内の通商政策も厳格化に向かう可能性が高いと考えられる。

メキシコで生産する企業や米国に輸出を行う企業においては、サプライチェーン全体を見渡す必要があり、輸入品においてはPROSECでの対応や、FTA原産品への変更など、国内の通商政策への素早い対応が求められる。また、USMCAの原産地規則厳格化に対応し、追加関税の対象にならないよう、米国材を増やす動きも出てくる可能性がある。進出日系企業の中には、USMCAの原産地規則強化や関税上昇によるサプライチェーンの変更をシミュレーションしている企業も多く存在する。不確実性がさらに高まる北米圏において、いかなるサプライチェーンの変化が生じるか、今後も目が離せない状況が続く。


注1:
各追加関税の詳細は、ジェトロ:米国関税措置への対応を参照。 本文に戻る
注2:
2024年上半期まで1ドル=16ペソ台で推移し、2024年6月以降1ドル=18~20ペソ台と急激にペソ安基調となったことは考慮する必要がある。2025年前半は18~19ペソ台を推移しているが、2025年12月では17ペソ後半とペソ高基調となっている。 本文に戻る
注3:
HSコード87類に分類される製品が対象であり、中・大型トラック・同部品も含まれている。中・大型トラックにおいては、1月から10月までの累計で生産が36.8%減、輸出が31.4%減と急減しており、その影響が色濃く反映されている。そのため、このデータが必ずしも乗用車・ピックアップトラックにおける輸出状況を反映しているわけではないことに注意したい。 本文に戻る
注4:
輸出向け製造・マキラドーラ・サービス業振興プログラム。製品やサービスの輸出を条件に、当該オペレーションに必要な部品・原材料、機械設備の一時輸入(保税輸入)を認めるプログラム。詳しくは、外資に関する奨励(メキシコ)を参照。 本文に戻る
注5:
USMCAの別添4-Bの自動車産業に関する付則のTable A1に掲載されている最重要部品。完成車と同じ純費用方式で75%の域内原産割合(RVC)が求められる。 本文に戻る
注6:
30%の追加関税がどの追加関税を指しているかは厳密には確定していないが、IEEPAの国別関税25%が30%に引き上げられることと考えられている。2025年12月のシェインバウム大統領の関税交渉終了宣言までの詳細は次の記事参照(2025年7月14日付2025年8月1日付2025年10月31日付2025年12月5日付ビジネス短信参照)。 本文に戻る
注7:
公聴会の内容については次の記事参照(2025年12月12日付2025年12月12日付ビジネス短信参照)。 本文に戻る
注8:
一時輸入で、特別な要件を満たすことが義務付けられる品目。IMMEX政令別添II、SAT貿易細則別添28にHSコードが記載されている。 本文に戻る
注9:
メキシコが国内生産を促進する24業種(自動車産業は第XIX業種)において、生産に用いる部品・原材料や機械設備をMFN関税率よりも低い優遇税率で輸入することを可能にするプログラム。詳しくは、外資に関する奨励(メキシコ)を参照。 本文に戻る
注10:
PROSECに登録している生産者は、PROSEC対象となっていない部品・原材料が国内で調達できない、または国内供給能力が不足しているなどを理由に、経済省に対して特別無関税輸入許可を申請できる。この制度のことを「レグラオクターバ」と呼ぶ。特別輸入許可の有効期限は1年で、申請した数量枠内での無関税輸入が可能になる。詳しくは、外資に関する奨励(メキシコ)を参照。 本文に戻る
注11:
鉄鋼製品を確定輸入する際にHSコードに基づき、メキシコ貿易手続き単一窓口(VUCEM)上で事前申請する制度のこと。詳しくは次の記事参照(2024年4月17日付2024年5月30日付2025年7月3日付ビジネス短信参照本文に戻る
注12:
2025年12月時点において、経済省貿易細則の改正はまだ草案段階であり、改正内容が確定したわけではない。ただし、アルミニウムに関する輸入自動通知においては、確定輸入だけでなく、一時輸入も対象とされていることに注意。 本文に戻る
執筆者紹介
ジェトロ・メキシコ事務所
阿部 眞弘(あべ ただひろ)
2017年、ジェトロ入構。サービス産業課、商務・情報産業課、イノベーション促進課、ジェトロ山口を経て、2022年9月から現職。