輸入自動通知制度を改正、鉄鋼輸入に製鋼所の登録義務付け

(メキシコ)

メキシコ発

2024年04月17日

メキシコ経済省は4月15日、同省が貿易に関する規則・指針を定める省令(通称、経済省貿易細則)の改正外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを連邦官報で公布し、翌日に施行した。改正したのは同細則の第2.2.19則、第2.2.26則、別添2.2.1、別添2.2.2で、鉄鋼や鉄鋼製品の輸入に先立って経済省に行う輸入自動通知(2013年12月17日記事2014年8月22日記事参照)の手続きに関するもの。メキシコに輸入される鉄鋼・同製品に対する監視強化の一環として、経済省と米国通商代表部(USTR)の間で2月末に合意した内容の1つだ(2024年3月4日記事参照)。主な改正内容は次のとおり。

  1. HSコード10桁(8桁+商品情報番号:NICO)で申請
  2. 申請に先立ち、ミル(製鋼所)の事前登録が必要
  3. 申請の際のミルシート(鋼材検査証明書、注1)と品質証明書(注2)の添付義務が復活
  4. 複数回の輸入をまとめてカバーする1年間有効な企業登録制度の創設

1.については、これまではHSコード8桁に基づく申請だったが、今後はNICO(2020年11月19日記事参照)の入力も必要になる。2.については、輸入自動通知申請時にメキシコ貿易手続き単一窓口(VUCEM)の入力フォーマットの選択肢の中から、輸入する鋼材を製造したミル(製鋼所)を選択することを義務付けた。選択肢となるミルの目録PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)の中に当該ミルが存在しない場合、経済省に目録への登録をE-mail(inscripcion.molinos@economia.gob.mx)で申請する必要がある。

簡素化措置として1年間有効な企業登録制度を導入

3.については、2022年10月10日付官報で公布した簡素化措置で、ミルシートの提出義務は一度廃止したが(2022年10月11日記事参照)、今回、米国政府の要請により復活させる。鋼材の半製品(スラブ、ビレットなど)が最初に鋳造された場所を明確に特定する目的があるため、ミルシートには原産国の情報を記載する必要がある。4.については、直近12カ月間の鋼材の輸入実績など特定の要件を満たす企業については、「鉄鋼製品輸入業者登録」に登録することにより、複数回の輸入をカバーする1年間有効な輸入自動通知番号を輸入鋼材別に得られるようにした。これにより、定期的に輸入する鋼材については輸入するたびに輸入自動通知の申請を行う必要はなく、1年間有効な輸入自動通知番号を輸入申告書に入力することで事足りる。ただし、各鋼材別に直近12カ月間で実際に企業が輸入した量が上限となる。企業登録は更新が可能。同スキームを用いる企業は3カ月ごとに経済省に対して輸入した鋼材に関する報告を行う必要がある。

なお、「鉄鋼製品輸入業者登録」に登録された企業が登録申請時に登録した鋼材以外の鋼材を輸入する場合、個別の輸入自動通知申請を別途行うことで、企業登録にひも付けた鋼材以外の鋼材を輸入することが可能。

(注1)鋼材検査証明書。証明書番号、注文者名、サイズ、商品名、規格などの基本事項に加え、その製品独特の製品番号、製鋼番号などが記載される。改正後の経済省貿易細則の別添2.2.2に基づき、HS72.06項~72.16項、72.18項~72.29項、73.04項の鋼材の輸入自動通知にはミルシートの添付(システムへのアップロード)が必要。ミルシートがスペイン語以外で作成されている場合は、翻訳の添付が求められる。

(注2)鋼材を加工した鉄鋼製品の品質証明書。経済省貿易細則別添2.2.2に基づき、HS72.02項、72.17項、72.29項、73.01項、73.02項、73.05項の鉄鋼製品の輸入自動通知には品質証明書の添付(アップロード)が必要。

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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