メキシコ経済団体、USMCA見直しに向け戦略的重要性を強調
(メキシコ、米国、カナダ)
メキシコ発
2025年12月05日
日本の経団連に相当するメキシコの企業家調整評議会(CCE)は12月4日付のプレスリリース
で、「2026年7月1日に予定されている米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)見直しに向けて、米国通商代表部(USTR)が開催する公聴会(注1)に参加し、北米貿易におけるメキシコの戦略的重要性を主張した」と公表した。
公聴会に出席したCCEワシントン代表のセルヒオ・ゴメス・ロラ氏は「2026年にUSMCAの延長を迅速に合意できれば、北米が団結し、より強固になり、他地域に対して競争力を備えていることを世界に示す明確なシグナルになる」と述べた。公聴会でCCEが提示した米国経済におけるメキシコの戦略的重要性は次の3点。
- メキシコは米国の主要な輸出先:2025年1~8月までに、メキシコは2,260億ドル相当の米国産品を輸入し、米国の輸出総額の16%を占める。食肉・家畜、乳製品、穀物、砂糖、石油、化学品、プラスチック、繊維、自動車部品など、24分野において、米国の最大の輸出先となった。
- 米国における雇用創出への貢献:メキシコから米国への輸出産品には、他のどの国からの輸出品よりも多くの米国産部材・原料が含まれている。また、メキシコの輸出品の40%は中間財で、米国製造業の競争力を高めている。
- 高度な補完関係にある両国経済:両国の補完的な経済関係により、消費者は低価格で高品質なモノへのアクセスが可能だ。米国の消費者は一年中、新鮮で高品質な果物や野菜を享受できる一方、メキシコの畜産業者は米国産穀物を飼料として利用することで競争力を高め、メキシコの消費者に高品質なたんぱく源を提供している。
加えて、「USMCAの延長に成功した場合、USMCAの原産地規則を満たす全ての製品に対して無関税で取引ができることを保証するべきだ」と強調した。
メキシコ大統領は、非関税障壁に関する議論は終了したと発言
同日の早朝記者会見
で、クラウディア・シェインバウム大統領は、米国が他国に対して関税を引き上げる中でも、メキシコは優位な地位を維持していると発言。さらに、「54の非関税障壁問題(2025年4月3日記事、2025年10月31日記事参照)の見直しは既に完了しており、今後は自動車、鉄鋼、アルミニウムに関する議論を進めたい」と述べ、メキシコに対する追加関税賦課に関して再協議が終了したことを示唆した(注2)。2025年12月5日には、米国・カナダと共同開催するFIFAワールドカップの組み合わせ抽選会に合わせて渡米し、ワシントンでドナルド・トランプ大統領と短時間の会談を行う見込みであることも明かした。
(注1)本公聴会は12月3~5日に米国ワシントンで開催され、米国の業界団体、議員、労働組合、シンクタンク、市民団体など、100以上の団体が参加する。
(注2)米国は8月1日からメキシコに対して30%の追加関税賦課を発表したが、90日間延期され、その後、シェインバウム大統領がさらなる延期を発表していた。追加関税賦課をめぐっては、メキシコの非関税障壁が大きな争点となっていた。
(山中真菜、阿部眞弘)
(メキシコ、米国、カナダ)
ビジネス短信 cc45e8adf19e128d




閉じる
