1月1日から開始される輸出入関税法の改正を官報公示
(メキシコ)
メキシコ発
2026年01月06日
メキシコ政府は2025年12月29日、一般(MFN)関税率を大幅に引き上げる内容の輸出入関税法(LIGIE)の改正を官報公示(添付資料表参照)した。法案は12月10日に上院で可決されていたが、上院のウェブサイトでは議事録しか掲載されていなかったため、今回の公示で正式に内容が確定した(注1)。上院の議事録から輸出入関税率表(TIGIE)に関する変更はなく、対象品目は1,463品目で、関税率にも変更はない。開始は2026年1月1日からとなったが、9月に提出された法案に記載があった有効期限はなくなった。
一方で、付則第4条が追加されており、「本改正の対象となる関税について、競争環境におけるメキシコへの原材料の供給確保を目的として、経済省は自由貿易協定(FTA)を締結していない国からの輸入品に対し、特定の法的措置・手段を講じることができる」と記載された。FTA非締結国からの輸入品のうち、代替不可能な原材料や供給が十分でない製品について、関税率の変更や産業分野別生産促進プログラム(PROSEC、注2)における対象HSコードの変更などが考えられるが、詳細は不明だ。
政府は雇用と産業の保護を主張
12月15日の早朝記者会見で、マルセロ・エブラル経済相は、今回の一般関税率引き上げの目的は「繊維、衣料品、靴、鉄鋼、自動車などの産業で働く約35万人の雇用を守るためだ」と述べた。FTA締結国の製品で原産地規則を満たすものは関税減免措置があるとしつつも、特定の国を対象としたものではないと強調した。9月の法案からの修正については、関税率が大幅に変更されたのは自動車部品、鉄鋼、繊維製品であり、特に国内では代替不可能または困難な品目の関税率を修正・削除したことを明かした。また、中国、韓国、インド、インドネシアなどとも協議を行ったことも示唆した。
また、今回の一般関税率引き上げのもう1つの要因として、「国際的な基準価格を下回る価格で製品がメキシコに輸入されており、公平な競争条件が存在しないこと」を挙げた。そのような製品は「市場を獲得して競合他社が生き残れないことを確信した後で価格を引き上げる」とし、一部の国から廉価で輸入される製品に対して強い警戒感を示した。
輸入品への警戒感と産業強化の観点から、メキシコ政府としては「プラン・メキシコ」(2025年1月17日記事参照)によるメキシコ国内での生産を伸ばす「輸入代替」を促進している。エブラル経済相は、サプライチェーンにおける国産比率の引き上げを目指すとも発言しており、輸入から国内生産への切り替えを図っているとみられる。
(注1)一般関税率引き上げの一連の流れは次の記事参照(2025年9月16日、2025年11月6日、2025年12月12日、2025年12月15日)。
(注2)メキシコが国内生産を促進する24業種(自動車産業は第XIX業種)において、生産に用いる部品・原材料や機械設備をMFN関税率よりも低い優遇税率で輸入することを可能にするプログラム。24業種別の優遇関税の対象品目と税率を定める最新リストが同政令第5条に記載されている。
(阿部眞弘)
(メキシコ)
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