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特集:2021年アフリカビジネスの注目ポイント米国の制裁解除が追い風も、為替やインフレなど課題も多く(スーダン)

2021年2月5日

スーダンは、1956年に英国とエジプトから独立。その後、半世紀にわたり国内各地で紛争が続いてきた。例えば、チャドとの国境であるダルフール地域や南スーダン国境付近ではいまだに紛争状態だ。30年にわたった前オマル・バシール政権は、中東産油国や欧州を中心とするドナー国から金融支援を受けた。しかし、高い貧困率や経済の悪化などで国民からの支持は低かった。結局、2019年12月、パンの価格高騰を契機とした民衆運動により、政権が崩壊した(2019年4月16日付ビジネス短信参照)。

テロ支援国家リスト指定の解除など国際社会からの信用回復

2021年1月現在、暫定政権への移行に伴い、徐々に情勢が好転していく傾向にある。その大きな要因が、米国政府の全面的な制裁解除だ。2017年10月には、約20年続いていたスーダンへの制裁が一部解除された。もっとも、テロ支援国家リスト指定からは解除されなかったため、米ドルでの取引などにリスクが残されていた。その後、2020年12月にリスト指定からの解除が正式に決定(2020年12月22日付ビジネス短信参照)。並行して、2020年6月にはドイツで支援会合を開催。欧州を中心とする約40カ国と15の国際機関が参加し、総額約18億ドルの支援が決定した(2020年7月2日付ビジネス短信参照)。

支援会合では支援の効果に懸念を示す意見もあったという。いずれにせよ、米国政府の決定で、さらにスーダンに追い風が吹くことになったことは間違いないと言えるだろう。

期待される外資のビジネス開拓、インターネット普及で新たな展開も

食品関係を取り扱う地場企業に聞いたところ、前政権下でこれまで厳しくコントロールされてきた軍や警察の活動は緩和されている。複数の日本のNGOも、2020年には日本との往復を何度も繰り返すなど精力的に活動しているようだ。なお、外務省の調査によると、進出日系企業は3社(資源系、製造業)で、在留邦人は約120人。他のアフリカ主要国に比べても多くはない状況だ。

最近は、新型コロナウイルスの感染者数が2020年10月以降、増加傾向にあり、医療体制が他国と比べて充実していない事情から、既述の支援会合の決定では、国民への給付金や人道支援とともに、新型コロナ対策も大きなテーマになった。

スーダンの主要産業は鉱業。鉱物資源、とりわけ豊富な金の採掘量は注目に値する。また、ゴマやハチミツなど、農業国としても知られている。数年前から地元の手財閥企業のGIADが韓国からの自動車生産を受注しているため、韓国車を目にする機会も多い。地政学的な利点もある。そのため、かねて存在感を示してきた欧州勢や中東アラブ諸国に加え、今後は米国企業の参入も十分予測される。例えば2020年3月、ビザがクレジットカード決済でスーダン参入を決めた、と現地紙が報じた。スーダンは債務超過にあり、金融支援が受けにくい状況に陥っている。この状況に、米国政府やEUが支援するとの報道もある。

スーダンでは毎年1月に首都ハルツームで国際総合見本市が開催されている。2021年も予定通り、1月21~28日にリアル開催(対面式で実施)され、コロナ対策が懸念される中でも、ドイツ、イタリア、パキスタン、中国、韓国、台湾などが参加したようだ。

現地在留邦人によると、最近はインターネットの普及に伴い、ビジネスが活発化しているという。2019年は、前政権崩壊による混乱からツイッターやFacebookなどSNSの利用が禁止される事態に至った。しかし、現在は4Gの回線が安定している。スーダンには、4つの主要なインターネットサービスプロバイダーとして、Zain、MTN、Sudatel、Canarがある。 Zain、MTN、Sudatelは、モバイルネットワークを介してインターネットサービスを提供できるGSM(Global System for Mobile Communications)ライセンスを有する。また、スーダン人のYoutuberが増えてきているという。

スタートアップも進展している。アラブ首長国連邦(UAE)や欧州系のスタートアップがスーダンに拠点を構えており、投資や投資家の育成などが進む。

急がれるビジネス環境の改善

約4,300万人の市場に加え、スーダンには人材面の魅力もある。実際、周辺国の研究施設には多くのスーダン人が存在する。また、性格も比較的穏やかであることから、雇用しやすい面も評価されている。徐々に政情が好転していく中、多くのビジネスを創出していくためには、課題として残存するビジネス環境の課題をクリアしていく必要がある。公定レートと並行レートの乖離など、為替問題や米ドルによる商取引の円滑化は特に重要だ。

目下、インフレ率は2020年12月に約270%と高騰している(スーダン通信社)。そのほかにも、物流、治安、密輸、汚職など、課題は多い。

執筆者紹介
ジェトロ・カイロ事務所長
常味 高志(つねみ たかし)
1993年ジェトロ入構。東京本部では、農水産部、展示部、技術交流部、海外調査部、企画部に所属。2007年から4年間、一般財団法人中東協力センター(日本サウジアラビア産業協力タスクフォース事務局)に出向。地方では、ジェトロ徳島、海外では、ジェトロ・カラチ事務所、ジェトロ・リヤド事務所の勤務経験を有し、2018年1月よりジェトロ・カイロ事務所長として赴任(現職)。

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