米国がスーダンのテロ支援国家リスト指定を解除

(スーダン、米国、エジプト)

カイロ発

2020年12月22日

米国政府は12月14日、スーダンをテロ支援国家リスト(SSTL)指定から正式に解除した(在スーダン日本大使館「テロ支援国家リスト指定解除」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。米国は10月23日に、ドナルド・トランプ大統領がスーダンのアブドゥルファッターフ・ブルハン主権評議会議長、アブダッラー・ハムドゥーク首相、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相とともに、スーダンとイスラエルの国交正常化合意を発表した(2020年10月26日記事参照)。同日、スーダン政府が関与したとされる過去の米国大使館爆破事件の賠償金の支払いが確認されたとして、スーダンのSSTL指定解除に関する大統領令に署名し、米国議会に通知した。議会の審議期間が反対決議の採択なく終了し、今般、解除の正式決定が発表された。

スーダンは、2019年4月11日に30年間に及んだオマル・アル=バシール政権が崩壊し(2019年4月16日記事参照)、同年8月に発足した暫定政府が、民政移管と和平の実現、経済危機の解決に取り組んできた。2020年6月には、ドイツなどが「スーダン・パートナーシップ会合」を開催し、ドナー各国・機関から総額約18億ドルの資金供与が決定する(2020年7月2日記事参照)など、国際社会もスーダンの取り組みを支援してきた。SSTL指定解除を受けて、欧米諸国はスーダン政府が抱える多額の対外債務の救済プロセスを本格的に推し進める意向である旨が報じられている。

ハムドゥーク首相は、米国政府の正式な決定を歓迎し、ツイッターで「制裁による約30年間の世界的な孤立の後、スーダンは世界の安定を支援する平和な国として国際社会に正式に復帰した」と述べた。スーダンは人口約4,000万を抱え、アフリカの中では比較的大きな市場で、外資と提携する地場企業も複数存在する。物価高騰や金融不安、貿易障壁など課題が指摘されるが、SSTL指定解除がこうした課題の解決に寄与することが期待される。

(常味高志)

(スーダン、米国、エジプト)

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